【特別企画】話題の最新機種をまるごと使い倒す
【レビュー】編集長・風間がボーズのノイズキャンセリング+Bluetoothヘッドホン「QC35」と過ごした1ヶ月
■QC35の音質をチェック。ワイヤレスと思えない解像感
ここでQC35の音質について触れてみよう。今回のテストではiPhone 6と接続した。
まずはコールドプレイ「Viva La Vida」を聴いた。冒頭部では弦楽器がフィーチャーされるのだが、その音の厚み、弓が弦に触れたときの軋みまでがリアルに再現され、基本的な再現性能が高いことがわかる。
イントロのあとにボーカルが始まるが、口の動きが視覚的に想起されるほど、声の細かなニュアンスを拾い取る。ボーカルと併走するバスドラムの響きも滲みを感じさせず、とてもリッチだが、それでいてスッキリとした低音再現性能を備えていることがわかる。
この曲はブレイク部で音場がぐっと広がるのだが、その再現性もかなり高い。Bluetooth接続であることを忘れるほどナチュラルで広大な音場が拡がり、いわゆる圧縮音源らしさが巧みに回避されている。
次に女性ボーカルものを聴いてみようと、柴田淳「青春の影」を聴く。生っぽいボーカルが特徴の曲で、声の鮮度をしっかり表現できるか確かめるため、ハイレゾイヤホンやヘッドホンでもよく聴く曲なのだが、評価の目安としているディテールが、Bluetooth接続でもしっかりと再現できていることに驚く。
解像感をさらに詳しく確かめるため、コーネリアス「Sensuous」の表題曲を再生。冒頭の鈴の音が繊細に左右を移動する様子が丁寧に描かれ、その時点で水準の高さを実感する。その後に続くギターのつま弾きもキレが良い。ワイヤードの中高級機でも、ここまで再生できないヘッドホンはざらにある。本機のポテンシャルの高さを実感させられた。特にこの曲は、無音の中に様々な楽器が現れるという構成のため、本機がノイズを抑えて無音を作り出していることで音楽への没入感がさらに高まる。
そのほかジャズやクラシックなども聴いてみたが、どの曲を聴いてもBluetooth接続とは思えないほどの解像感があり、安心して聴いていられる。
QC35はオールマイティな音質を実現しており、ジャンルや楽曲を問わずにハイクオリティな再生が可能なのだが、中でも相性が最高なのは、現代的な録音の楽曲だ。最近の洋楽などは、個人的にすこし味付けが濃すぎるのではないかと思うほど低域が強めだが、そういった唸るベースライン、深く沈むドラムなどを、これ以上ないほどリッチに再現する。…というと、低域が過剰に出ているヘッドホンを連想するかもしれないが、先ほどから述べているように、本機の味付けが過剰なわけではない。あっさりした低音はあっさりと、深く濃い低音はディープに、つまりは原音に忠実に再現できる能力を持っているのだ。