ツイン・ダイナミックドライバーのハイブリッド機
ライブを聴くような生々しい再現力。Unique MelodyのカスタムIEM「MAVIS」レビュー
■ミックスウェーブ宮永氏に聴く開発秘話
Unique Melodyというイヤホンメーカーの特徴や歴史については、MAVERICKカスタムのレビュー記事で詳しく書いたので、ぜひこちらも読んでみてほしい。ここではプロフィールに簡単に触れておく。
Unique Melodyは、中国・広東省南部の珠海(ズーハイ)市に開発・生産の拠点を置いている。補聴器メーカー出身の創業者と、カスタムIEM愛好家であったサウンドエンジニアが興したメーカーだ。ブランド名を体現するような“ユニークな”ドライバー構成を持つカスタムIEMを多数ラインナップしていたが、その存在は中国国内にとどまっていた。
しかし同社の確かな技術と可能性に目を付けたミックスウェーブが、3年ほど前から日本での販売を開始した。同社の宮永賢一氏は、Unique Melodyは高い技術力を持ちながら、ローカルな存在であることによる情報不足もあって、音質チューニングいう点ではまだ伸びしろがあると感じたのだという。そして現在にいたるまで、日本に導入されるUnique Melodyの音質チューニングには、宮永氏が携わっている。
それではこのMAVISカスタムは、具体的にどのようなサウンドチューニングが行われたのだろうか。その他にも、ハイブリッド型イヤホンの低域をツイン・ダイナミックドライバー構成とするアイデアはどうやって生まれたのだろうかという点も気になっていた。
「正直なところ、Unique Melodyのラボに行く前には、MAVISの構想はまだありませんでした。MACBETHのチューニングのためにラボに行った際に、Unique Melodyのメンバーと話を進めるなかで、MAVISのアイデアが生まれたのです」と宮永氏は語る。
当初、宮永氏の頭にあったのは、Unique Melodyが中国国内のみで展開している「3DD」というモデルだった。これはダイナミックドライバー3基を搭載したイヤホンで、宮永氏はこの3DDを日本向けにチューニングしたモデルを考えていた。MACBETHのチューニングの後に時間があれば取りかかろうと思っていたところ、中国滞在中に取り組む時間ができたことから、早速いろいろと試してみたという。
しかし、ダイナミックドライバー3発という構成は、宮永氏が「安定している」と判断できるようなサウンドがなかなか得られなかった。そこで様々なアプローチを試行錯誤していた中で、「ダイナミックドライバーを低域用に2基に備えたハイブリッド型イヤホン」というアイデアが生まれたという。実際に試してみて、宮永氏は大きな手応えを得た。
ダイナミックドライバーの3基に比べたら、2基構成の開発は簡単だったかというとそんなことはなかった。やはりここでも音質チューニングが問題になったのだ。
品質の高いダイナミックドライバーでさえ、わずかな個体差がある。この個体差が、デュアル使用において位相に悪影響を及ぼす。低域の「量感」と同時に「抜け」を確保するのにも苦労した、と宮永氏は語る。
MAVISでは、個体差のなるべく少ないダイナミックドライバーが選定され、避けられないわずかな個体差に対しても、それを反映したチューニングが行われている。
低域の「抜け」の良さを確保するという問題については、当初は1つだったハウジングのポート(空気孔)を2つにすることで解決した。これにより抜けが良く、スピード感と量感の兼ね合いをとることができたのという。
MAVISカスタムは、7mm径のダイナミックドライバーを2基搭載している(ちなみにMAVERICKカスタムのダイナミックドライバーは10mm径だ)。ドライバーのサイズも、やはりスピード感と量感の兼ね合いを考えながら試聴を繰り返して選定された。
Unique Melodyというイヤホンメーカーの特徴や歴史については、MAVERICKカスタムのレビュー記事で詳しく書いたので、ぜひこちらも読んでみてほしい。ここではプロフィールに簡単に触れておく。
Unique Melodyは、中国・広東省南部の珠海(ズーハイ)市に開発・生産の拠点を置いている。補聴器メーカー出身の創業者と、カスタムIEM愛好家であったサウンドエンジニアが興したメーカーだ。ブランド名を体現するような“ユニークな”ドライバー構成を持つカスタムIEMを多数ラインナップしていたが、その存在は中国国内にとどまっていた。
しかし同社の確かな技術と可能性に目を付けたミックスウェーブが、3年ほど前から日本での販売を開始した。同社の宮永賢一氏は、Unique Melodyは高い技術力を持ちながら、ローカルな存在であることによる情報不足もあって、音質チューニングいう点ではまだ伸びしろがあると感じたのだという。そして現在にいたるまで、日本に導入されるUnique Melodyの音質チューニングには、宮永氏が携わっている。
それではこのMAVISカスタムは、具体的にどのようなサウンドチューニングが行われたのだろうか。その他にも、ハイブリッド型イヤホンの低域をツイン・ダイナミックドライバー構成とするアイデアはどうやって生まれたのだろうかという点も気になっていた。
「正直なところ、Unique Melodyのラボに行く前には、MAVISの構想はまだありませんでした。MACBETHのチューニングのためにラボに行った際に、Unique Melodyのメンバーと話を進めるなかで、MAVISのアイデアが生まれたのです」と宮永氏は語る。
当初、宮永氏の頭にあったのは、Unique Melodyが中国国内のみで展開している「3DD」というモデルだった。これはダイナミックドライバー3基を搭載したイヤホンで、宮永氏はこの3DDを日本向けにチューニングしたモデルを考えていた。MACBETHのチューニングの後に時間があれば取りかかろうと思っていたところ、中国滞在中に取り組む時間ができたことから、早速いろいろと試してみたという。
しかし、ダイナミックドライバー3発という構成は、宮永氏が「安定している」と判断できるようなサウンドがなかなか得られなかった。そこで様々なアプローチを試行錯誤していた中で、「ダイナミックドライバーを低域用に2基に備えたハイブリッド型イヤホン」というアイデアが生まれたという。実際に試してみて、宮永氏は大きな手応えを得た。
ダイナミックドライバーの3基に比べたら、2基構成の開発は簡単だったかというとそんなことはなかった。やはりここでも音質チューニングが問題になったのだ。
品質の高いダイナミックドライバーでさえ、わずかな個体差がある。この個体差が、デュアル使用において位相に悪影響を及ぼす。低域の「量感」と同時に「抜け」を確保するのにも苦労した、と宮永氏は語る。
MAVISでは、個体差のなるべく少ないダイナミックドライバーが選定され、避けられないわずかな個体差に対しても、それを反映したチューニングが行われている。
低域の「抜け」の良さを確保するという問題については、当初は1つだったハウジングのポート(空気孔)を2つにすることで解決した。これにより抜けが良く、スピード感と量感の兼ね合いをとることができたのという。
MAVISカスタムは、7mm径のダイナミックドライバーを2基搭載している(ちなみにMAVERICKカスタムのダイナミックドライバーは10mm径だ)。ドライバーのサイズも、やはりスピード感と量感の兼ね合いを考えながら試聴を繰り返して選定された。
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