開発の背景も担当者に聞いた
Unique MelodyのカスタムIEM「MAVERICK」を導入した理由 - リスナーに寄り添うモニターサウンドとは?
Unique Melodyとミックスウェーブの共同開発で生まれたカスタムイヤホン「MAVERICK」。共同開発の背景からそのサウンドまでを、本機を実際に導入した編集部・小澤貴信がレポートする。
■Unique MelodyのカスタムIEM「MAVERICK」を導入する
カスタムIEMの長所は数あるが、まず1つ挙げるとすれば、個々人でまったく異なる耳の形状に最適化したイヤホンを作れることだろう。耳にぴったりと装着できるので遮音性が高く、S/Nが稼げる。イヤーピースのサイズや耳孔への装着具合で、音が変わってしまうことも最小限に抑えられる。
気楽に“流し聴き”をするための普段使いイヤホンには、ダイナミックドライバー1発のユニバーサルタイプでかなり満足していたのだが、家で腰を落ち着けて音楽を聴く時間が最近どんどん減っていくなかで、ポータブル環境も強化したいなと考えていた。
加えて、Apple MusicやTIDALなどの音楽ストリーミングに没頭する中で、ポータブル環境が最も身近な“音楽との出会いの場”になってきた。こちらが迎える体勢ができていなければ、せっかくの出会いの機会も台無しになる。ポータブル環境を“臨戦態勢”にしておかなければ行けないという、強迫観念に近い感覚に近頃苛まれていた。
私個人のリスニングケースをいろいろと検討した結果、導き出した答えは「カスタムIEM」だった。肝心なモデル選びなのだが、いろいろと悩んだ結果、Unique Melody「MAVERICK」のカスタムIEMモデルを導入することにした。
本機を選んだ理由は2つ。1つはユニバーサルタイプの「MAVERICK」の音質がとても気に入り、周囲の評判も良かったこと。もう1つは、Unique Melodyとミックスウェーブの共同開発モデルである本機の企画・開発に携わった宮永賢一氏から聞いた開発思想に共感したことだ。私はカスタムIEMの特徴に惹かれていたが、使う用途はもちろんオーディオリスニングであり、厳然たるモニタリング用の音では楽しめない音楽もあるのではと懸念していた。モニターサウンドを追求しつつ、プロ用途ではなくコンシューマー用途を向いたチューニングを施したという点で、MAVERICKの開発思想には共感するところがあった。
だから今回の記事では、私が実機を聴いた印象は後回しにして、音作りに携わった宮永氏から聞いた、MAVERICKカスタムの開発思想や音作りの過程をまずは紹介したい。宮永氏には納品の後に改めて詳細な話を聴いたのだが、その内容は、MAVERICKカスタムのサウンドを聴いた上ではより腑に落ちるものだった。
■ミックスウェーブとの共同開発により誕生した「MAVERICK」
Unique Melodyはその名前が示す通り、ユニークなドライバー構成を得意とするカスタムIEMブランドだ。ここ日本では、ミックスウェーブが3年ほど前から取り扱いを開始している。5ドライバーのハイブリッド型カスタムIEM「MERLIN」、12ドライバーを搭載したユニバーサル機「MASON」など、2012年の日本導入から今日まで個性的なモデルを多数送り出してきた。
そして2014年には、ミックスウェーブとの共同開発によるユニバーサルモデル「MAVERICK」が登場した。本機は低域を【BA×1+ダイナミック×1】とした5ドライバー・ハイブリッドモデルで、同社の中でも特に個性的なドライバー構成を持つ。
しかし、同じくミックスウェーブが取り扱っている「JH Audio」や「1964 EARS」というカスタムIEMを代表するブランドに比べれば、Unique Melodyはまだまだ新興勢力と言える。JH AudioはカスタムIEMの始祖であるジェリー・ハービーのカスタムIEMブランド。1964 EARSも北米で大きなシェアを持っており、高品質と低価格を両立して国内のカスタムIEMのユーザー層を広げる役割を担った。
とはいえ、ここ数年で続々とカスタムIEMの新ブランドが誕生していく中で、Unique Melodyはかえってその存在感は増してきた。その背景には、ミックスウェーブが積極的に開発に携わることで、日本市場で求められる製品像や音質傾向、先行するカスタムIEMブランドに引けを取らない品質基準を実現してきたことがある。こうしたアプローチのひとつの到達点となったのが、ユニバーサルモデル「MAVERICK」だった。
そして今年5月には、MAVERICKのカスタムIEMバージョン(以下「MAVERICKカスタム」と記す)が登場した。
■MAVERICKとはどんなイヤホンなのか
まずMAVERICKカスタムの仕様について、改めて紹介しよう。本機は5ドライバー搭載のハイブリッドモデル。高域がBAドライバー×2、中域がBAドライバー×1、そして低域はダイナミックドライバー×1+BAドライバー×1という、5ドライバー構成を取る。またダイナミックドライバーの音質チューニングのために、フェイスプレートには空気孔が設けられている。
MAVERICKは、カスタムIEMモデル/ユニバーサルモデル共にUnique Melodyとミックスウェーブと共同で開発された。ミックスウェーブのメンバーとして、企画から音質チューニングにまで携わったのが宮永氏である。
■Unique MelodyのカスタムIEM「MAVERICK」を導入する
カスタムIEMの長所は数あるが、まず1つ挙げるとすれば、個々人でまったく異なる耳の形状に最適化したイヤホンを作れることだろう。耳にぴったりと装着できるので遮音性が高く、S/Nが稼げる。イヤーピースのサイズや耳孔への装着具合で、音が変わってしまうことも最小限に抑えられる。
気楽に“流し聴き”をするための普段使いイヤホンには、ダイナミックドライバー1発のユニバーサルタイプでかなり満足していたのだが、家で腰を落ち着けて音楽を聴く時間が最近どんどん減っていくなかで、ポータブル環境も強化したいなと考えていた。
加えて、Apple MusicやTIDALなどの音楽ストリーミングに没頭する中で、ポータブル環境が最も身近な“音楽との出会いの場”になってきた。こちらが迎える体勢ができていなければ、せっかくの出会いの機会も台無しになる。ポータブル環境を“臨戦態勢”にしておかなければ行けないという、強迫観念に近い感覚に近頃苛まれていた。
私個人のリスニングケースをいろいろと検討した結果、導き出した答えは「カスタムIEM」だった。肝心なモデル選びなのだが、いろいろと悩んだ結果、Unique Melody「MAVERICK」のカスタムIEMモデルを導入することにした。
本機を選んだ理由は2つ。1つはユニバーサルタイプの「MAVERICK」の音質がとても気に入り、周囲の評判も良かったこと。もう1つは、Unique Melodyとミックスウェーブの共同開発モデルである本機の企画・開発に携わった宮永賢一氏から聞いた開発思想に共感したことだ。私はカスタムIEMの特徴に惹かれていたが、使う用途はもちろんオーディオリスニングであり、厳然たるモニタリング用の音では楽しめない音楽もあるのではと懸念していた。モニターサウンドを追求しつつ、プロ用途ではなくコンシューマー用途を向いたチューニングを施したという点で、MAVERICKの開発思想には共感するところがあった。
だから今回の記事では、私が実機を聴いた印象は後回しにして、音作りに携わった宮永氏から聞いた、MAVERICKカスタムの開発思想や音作りの過程をまずは紹介したい。宮永氏には納品の後に改めて詳細な話を聴いたのだが、その内容は、MAVERICKカスタムのサウンドを聴いた上ではより腑に落ちるものだった。
■ミックスウェーブとの共同開発により誕生した「MAVERICK」
Unique Melodyはその名前が示す通り、ユニークなドライバー構成を得意とするカスタムIEMブランドだ。ここ日本では、ミックスウェーブが3年ほど前から取り扱いを開始している。5ドライバーのハイブリッド型カスタムIEM「MERLIN」、12ドライバーを搭載したユニバーサル機「MASON」など、2012年の日本導入から今日まで個性的なモデルを多数送り出してきた。
そして2014年には、ミックスウェーブとの共同開発によるユニバーサルモデル「MAVERICK」が登場した。本機は低域を【BA×1+ダイナミック×1】とした5ドライバー・ハイブリッドモデルで、同社の中でも特に個性的なドライバー構成を持つ。
しかし、同じくミックスウェーブが取り扱っている「JH Audio」や「1964 EARS」というカスタムIEMを代表するブランドに比べれば、Unique Melodyはまだまだ新興勢力と言える。JH AudioはカスタムIEMの始祖であるジェリー・ハービーのカスタムIEMブランド。1964 EARSも北米で大きなシェアを持っており、高品質と低価格を両立して国内のカスタムIEMのユーザー層を広げる役割を担った。
とはいえ、ここ数年で続々とカスタムIEMの新ブランドが誕生していく中で、Unique Melodyはかえってその存在感は増してきた。その背景には、ミックスウェーブが積極的に開発に携わることで、日本市場で求められる製品像や音質傾向、先行するカスタムIEMブランドに引けを取らない品質基準を実現してきたことがある。こうしたアプローチのひとつの到達点となったのが、ユニバーサルモデル「MAVERICK」だった。
そして今年5月には、MAVERICKのカスタムIEMバージョン(以下「MAVERICKカスタム」と記す)が登場した。
■MAVERICKとはどんなイヤホンなのか
まずMAVERICKカスタムの仕様について、改めて紹介しよう。本機は5ドライバー搭載のハイブリッドモデル。高域がBAドライバー×2、中域がBAドライバー×1、そして低域はダイナミックドライバー×1+BAドライバー×1という、5ドライバー構成を取る。またダイナミックドライバーの音質チューニングのために、フェイスプレートには空気孔が設けられている。
MAVERICKは、カスタムIEMモデル/ユニバーサルモデル共にUnique Melodyとミックスウェーブと共同で開発された。ミックスウェーブのメンバーとして、企画から音質チューニングにまで携わったのが宮永氏である。
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