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“Grandioso”直系の回路設計を採用

エソテリックのセパレートアンプ技術を凝縮。新生プリメイン「F-05/F-03A」を聴く

公開日 2016/11/10 11:37 鈴木裕
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Sシリーズのクオリティを踏襲したパワーアンプ部

電源部にはSシリーズと同容量の940VAのEI型電源トランスを中心に据え、ブロックコンデンサーはチャンネルあたり1000×4本。極太ケーブルをボルトで締結するという男らしい設計。8本のバスバーは1.0o圧のOFC素材、スピーカー出力部には機械接点を持たないMOSFETスイッチを使って出力段のコイルをなくすなど、ひたすら低インピーダンス化を目指している。

電源部には940VAの大型カスタムEI電源トランスを採用。セパレートパワーアンプ並みの贅沢な電源部により、理論値どおりのパワーリニアリティを達成。音楽のダイナミクスを忠実に再生する

セパレートパワーアンプSシリーズ同様に、パワーアンプの前段をバランス化。低インピーダンスでクリーンな増幅によって、聴感上のダイナミックレンジがさらに高まる。写真はFシリーズのアンプブロック

トランジスタは上位のセパレート機と同仕様の大型バイポーラLAPTを採用。これひとつで瞬間に34Aという電流供給能力。これを3パラで使い3段ダーリントン構成としている。

GrandiosoM1まで一貫して採用している連続動作17A、瞬間動作34Aという圧倒的な電流供給能力を誇る大型バイポーラLAPT素子を採用。ハイパワーのみならず、高域特性に優れ、繊細な音色を生み出す

F-05はダイナミックパワーを持ち、晴れやかで伸びやかなサウンド

F-05はAB級の増幅段を持ち、120W(8Ω)から240W(4Ω)まで理論値通りの出力値を達成している。エソテリックの試聴室で、K-03XからF-05に入力し、タンノイのケンジントンGR+プレステージGRスーパートゥイーターを鳴らすシステムとして試聴した。


視聴音源:左「Quiet Life/竹内まりや(CD)」、中「アンプラグド/エリック・クラプトン(CD)」、右「ジルヴェスター・コンサート1997/アバド指揮ベルリン・フィル(SACD)」
その音は左右や天井方向にも響きがきれいに広がり、晴れやかで伸びやかな屈託のないものだ。たとえば竹内まりや「シングル・アゲイン」では、ボーカルはしっとりとしつつ、しなやかでナチュラルなトーン。ベースとドラムスのキックの分離は良好で、透明な音場空間の中にストーリーが展開していく。低域のコクというか粘る感じはセパレートのパワーアンプSシリーズと同じ電源トランスやトランジスターを搭載していることを思い出させる。クラシックを聴くと、若干おだやかな音楽のテンションの品のいい音を聴かせてくれる。

F-03Aはハイファイ性能を極め、高い表現力を獲得したA級アンプ

A級の増幅段を持ち、30W(8Ω)から60W(4Ω)まで理論値通りのパワーリニアリティを持っている。F-05と同様の環境で試聴した。

A級のアンプというと、音の温度感が高めとかややナローレンジとかまったりするといった従来からのイメージもあるが、このF-03Aの場合、理想主義的な作動方法であるはずのA級動作によっていい意味でA級らしくない、ひたすらハイファイ性能を極めた高い表現力を持った音を聴かせてくれる。

ドラマティックな曲はぐっとドラマティックに、大編成のクラシックの音数の多いものは、その音数の多さを克明に見せつつ、空間表現力豊かに音楽を聴かせてくれる。その時にA級であるとか、30Wの出力というのは全く頭に浮かばない。レンジ的にも最低域から超高域まで実にリニアリティが高い。音楽の大事なところを見事に聴かせてくれるF-03Aである。



エソテリックはこれまで、GrandiosoシリーズのセパレートアンプC1/M1/S1に続き、ハイエンドセパレートアンプC-02X/S-02、C-03Xs/S-03と、かつてない再生能力と音楽再現性を持ったアンプ類を続々と登場させてきた。そして今回新たに登場した一体型プリメインアンプ「F-05」「F-03A」の両機は、充実した機能を搭載しながら高品位再生を実現する、今までの枠を遥かに超えた待望のハイエンドプリメインの誕生と言えるだろう。

(鈴木 裕)


本記事はオーディオアクセサリー161号からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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