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各モデルの素性をくっきりと描き出す

これぞ真のリファレンスモニター!AKG「K872」と注目ヘッドホンアンプ4機種を組み合わせレビュー

公開日 2016/11/28 10:00 土方久明
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イヤーパッドが馴染んでからがK872の本領発揮

これは個体の問題かもしれないが、本機は少々側圧が弱めで、今回の試聴ではイヤーパッドが筆者の頭部に馴染むまで少々時間がかかった。イヤーパッドが馴染んでいない状態のまま試聴すると低域が不足して、中高域も密度感のないタイトな音になってしまう。しかし、しばらく装着していると頭にフィットして、K872本来の音で聴けるようになった。お店やイベントなどで試聴する時はぜひ、イヤーパッドが馴染むようある程度の時間聴いてみてほしい。

話を試聴に戻そう。今回は、トランスポートに「MacBookPro」、再生ソフトウェアに「Audirvana Plus」を使用して、各メーカーのヘッドホンアンプと組み合わせた。結論から先に書くと、「K872」は、恐るべき正確さで音を出してくる超高性能スタジオモニターだった。スペックを見ただけではK812を密閉にしただけのモデルに見えるが、音質はそれ以上に大きく進化している。

ユニットの性能が高く、聴こえて来る情報量が豊かで、高域から低域までレンジが広い。しかも聴感上、音の立ち上がりと収束に優れておりスピード感もある。そして音色はフラットだ。密閉型としてはかなり空間が広いことも特筆できる。……と、少々褒めすぎてしまったかもしれないが、今回の試聴時に感じた音には、組み合わせた各ヘッドホンアンプそれぞれの特徴と良さがそのまま表れており、大いに驚かされた。

試聴を行う土方氏


Chord Electronics「Hugo」

英国に本拠を構える人気オーディオメーカー、Chord Electronicsのポータブルヘッドホンアンプ/USB-DAC。汎用DACチップを使用しないFPGAによるDAC部と、バッテリー駆動が特徴だ。

CHORD「Hugo」

「K872」との組み合わせでは、モニターライクなダイレクトな音を備えながら、素晴らしい音楽性を感じることができる。定番の女性ボーカル「ダイアナ・クラール」では、一聴してハスキーでクールな彼女のボーカルがリアルである。感心したのは、ボーカル周りに漂うリバーブ成分に広がりがあること。密閉型でここまで広い空間は今まであまり感じたことがない。情報量や上下レンジも広いが、何よりも優しく語りかけてくるような音楽性の高い「Hugo」の魅力を体験できた。

続いて聴いたバッティストーニ指揮の楽曲では、トランペットの音が艶やかだ。さすがに小型だけあり、他の弩級ヘッドホンアンプ/DACほどの低域の力強さはないが、リアルなのに滑らかでずっと聞いていたくなるような素晴らしい音である。

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