各モデルの素性をくっきりと描き出す
これぞ真のリファレンスモニター!AKG「K872」と注目ヘッドホンアンプ4機種を組み合わせレビュー
■OPPO「HA-1」
そのスペックの高さから人気を博しているヘッドホンアンプ/ USB-DAC、OPPO「HA-1」(製品詳細)。ESS 社製の高性能DACチップ「ES9018」を搭載し、クラスAパワーアンプによる完全差動動作のフルバランス設計のヘッドホンアンプ部を備えていることも特徴だ。
「ダイアナ・クラール」は一聴してクリアーな音色だ。楽曲全体にスピード感がある。頭内にリバーブ成分が広がり、その空気感も素晴らしい。ボーカルの近さが適度であり膨らんでいないのも良い。続いて聞いたフリップサイドは、南條愛乃のボーカルに透明感があり、こちらも好印象だ。エッジの立ったバスドラムなどの打ち込み系音源と「HA-1」には相性の良さを感じた。
1機種目に試聴した「Hugo」の音調とは全く異なる印象を受けたが、これこそK872が組み合わせたDACのキャラクターをそのまま正確に表現することの結果だろう。
■LUXMAN「DA-250」+「P-700U」
ハイエンドヘッドホンアンプのリファレンスモデルとも言える「P-700u」(製品詳細)。ラックスマン独自の高音質増幅帰還回路「ODNF」やソリッドステート方式の電子制御アッテネーター「LECUA」などを内蔵した、フラグシップモデルである。DACを内蔵していないため、同社のUSB-DAC「DA-250」と組み合わせた。
さすがに良い音を出している。「ダイアナ・クラール」は楽曲全体がクリアーで情報量に優れ、何よりもボーカルが生々しく聞こえることに感心する。本機との組み合わせでは特に音色の良さがあったので、続いてJazzを聞いてみた。最初の1音から緊張感が一瞬で伝わってきたことに驚いた。曲の始まりはマイルスの1本のミュートトランペットだが、その音が出る一瞬の“間"まで聴こえてきたのだ。この緊張感をスピーカーで再現するのはかなり難しい。物理特性に優れた高性能ヘッドホンの凄さをまじまじと感じた。