海上忍のラズパイ・オーディオ通信(23)
ラズパイオーディオのケースはどうする? DACボード「Terra-Berry」専用ケースを検証
このTerra Berryも、単品で導入すれば前述した"むき出し状態"で利用せざるを得ないが、発売からほどなくして専用ケースが発売された。ケースと名乗りはしているが、Raspberry Pi用なだけに単なるケースにあらず、専用パーツを同梱することでさまざまな機能を実現している。
電源スイッチの装備はその筆頭格だ。Raspberry PiはUSB Micro-B端子を接続すると電源ONになり、ソフトウェア制御で電源をOFFにする仕様のため、物理的な電源スイッチは存在しないが、このケースには押し込み式の電源ボタンが前面に用意されている。
ボタンを押すと付属の電源基板(Terra Berryの上部に搭載される、つまり内部はRaspberry Pi+Terra Berry+電源基板の3層構造)に信号が伝わり、そこからTerra Berryへ指示が飛ぶ。Raspberry Pi本体へ電源供給しているのはTerra Berryだから、このような流れとなるわけだ。
なお、推奨ディストリビューション「Volumio 2.0(リリース候補版)」のシステムを調べてみたが、GPIOの信号を見てシャットダウン用スクリプトを実行する常駐プロセスの存在は確認できず、ボタンを押すとただちに電源が切断される仕様のようだ。
いきなりボタンを押すとmicro SDに悪影響を及ぼしかねないため、VolumioやMoode Audioなどシステム側の操作画面(WEB UI)からシャットダウン手続きを行ったうえで押すほうがいいだろう。
■オーディオ機器の風格を備えた外観
ケースの外観は、なかなかのものだ。欅製サイドパネルは約1.5cmと厚く存在感があり、オーディオ機器としての風格を添えてくれる。もう少し薄いほうがアルミ部分とのバランスをとれるような気もするが、音質面でのチューニングを重ねたうえでの判断とのことだ。
なお、側面には一切穴が穿たれておらず、Raspberry Pi本体のHDMIやUSB Micro-B端子を使う術はない。電源は背面のUSBポート横に用意されたDC 12Vのみ、映像出力に対応しないオーディオ専用設計だ。自前の電源を持つTerra Berry専用ケースなのだから、この仕様はある意味当然だろう。
本ケースには、電圧5V以上のACアダプタからの入力で5Vを生成する電源基板が付属している。Terra Berry自体は、Raspberry Piから5V電源の供給を受けることもできるが、その場合SoCやレギュレータに由来するノイズの影響を受けてしまい、電源からのノイズ対策という点では心もとない。この電源基板の存在こそが、本ケースのアドバンテージなのだ。