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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第177回】Westoneの新たな挑戦!20万円の超ハイエンド機「W80」をレビュー

公開日 2017/02/03 10:30 高橋 敦
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ドライバーの配置はジグソーパズルのようだったというが、そのジグソーパズルは、単にそのスペースに収まれば良いというものではない。ドライバーから鼓膜までの距離とは音が耳に届くまでの時間であり、音の到達時間とはすなわち位相の話だ。ドライバーの配置は、各帯域/各ドライバーごとの位相管理を含めて調整しなければならない。

スペースには収まっているけれども位相がバラバラなドライバー配置は、形として組み合わさってはいるけれど絵柄はメチャクチャなパズルみたいなものだ。そうならないように、限られたスペースの中で適切なドライバー配置を見つけ出さなくてはならない。各帯域に信号を割り振るネットワーク回路との兼ね合いもあり、容易ではないことだろう。

W60と比べれば丸み厚みが増している。が、Wシリーズ内での比較ではなく一般論としては8ドライバー機としてトップ級にコンパクト

彼らはそれを成し遂げ、このモデルを完成させたのだ。というかそれを成し遂げられたからこのモデルの製品化が実現されたというのが、順序としては正しいのだろう。

至れり尽くせりの超豪華パッケージ!

完成までの苦労が多大だったこともあるのだろうか、彼らもこのモデルへの思い入れは特に強いのではないかと感じられる。新たなハイエンドであるからという理由だけでは釈然としないほど、パッケージが豪華なのだ。「これって何周年記念モデルとかだっけ?」と思うほどのプレミアム感がある。

まずは付属ケーブル。音質重視の標準ケーブルと利便性重視のリモコン付きケーブルの両方が付属するのは普通として、その音質重視の方のケーブルが豪華すぎる。「Westone by ALO プレミアムケーブル」だ。

Westone by ALO プレミアムケーブル。見たところ片側4線合計8線が丁寧に編み込まれている

MFi認証の3ボタンリモコンマイク付きケーブルも付属

詳細は明らかではないが、そもそも「ALO audio」のリケーブルは安くて2万円、上を見れば5万円や6万円はするもので、それが標準付属しているのだ。

なお、同社は純正リケーブルのオプションも豊富。音質はもちろん、付け心地や取り回しなど様々な面からの選択肢できる。MMCX端子は相性問題も出やすいので、純正品での選択肢の多さは嬉しい。しかも「Westone Bluetoothケーブル」なんてものもあるのだ(関連レビュー記事)。

そして付属ケースにおいては、…いやこれもうイヤホン付属ケースの範疇じゃないでしょ?と突っ込まざるを得ないものが付属している。同社曰く「プレーヤーや小物などのアクセサリーも収納可能な仕切り調整可能なバリスティックナイロン製ケース」だ。

こういうサイズ感。手前に「AK70」、奥に普通サイズのイヤモニケースが収まっている状態

こちらが「普通サイズの」イヤモニケース。こちらも付属

…確かにこれはもう、イヤホンケースではない。「イヤホン含めポータブルオーディオのシステム一式を整理整頓するためのケース」といったところだ。

「何故これをイヤホンに付属した?」という気はするが、こういうケースはあったら便利とは思っている方でも実際に単体で購入するのは後回しにしがちな気もする。こういう機会に手に入るならそれはそれで嬉しいのかもしれない。なお、イヤホン単体を持ち歩くための「スモールケース」も付属しているので安心してほしい。スモールっていうかこっちのサイズが普通なのだが。

あとはシリーズ共通で、同社独自のイヤーピース、そして交換可能なフェースプレートといった要素はもちろん継承している。

付属イヤーピース。手前がシリコンで奥がフォーム素材。サイズだけではなく形状のバリエーションも

交換可能なフェースプレート。定番は「右側を赤に」とかだろうか

次ページ音と音の関係性や、間にある気配や空気の表現に優れる

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