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【DAR】iFi-Audioの最新DAC「nano iONE」をいち早くレポート! Bluetoothで本当に「良い音」を手に入れる
■オーディオファイル並の実力を持っていると信じていい
nano iONEをCuriosのUSBケーブルでAURALiC Aries Mini(ネットワークプレーヤー)に接続し、USBケーブルで安価なヘッドファイ装置(Rupert NeveのヘッドホンアンプとFinal Sonorous IIIヘッドホン)につなぐと、ヘッドステージがより高くなり、中域がより透明になる。
AURALiC Aries Miniの内蔵DACは決してできの悪いものではないが、その音質はiFi-Audioとは対照的だ。AURALiC Aries Miniのデジタル・フィルターが「バランス」モードに設定されている時でさえ、nano iONEの方が中低域が豊かで、重心が低いのだ。この点だけを取っても、私はこの再生システムチェーンにnano iONEを入れておきたいと思う。
AudioQuestのDragonFly Blackとは良い勝負になる。DragonFly Redとの勝負では、DragonFly Redの方が僅差で勝ちだ。しかしこれらのDragonFlyとの勝負は適当ではない。というのも、これらはS/PDIFやBluetoothを装備していないからだ。AudioQuestのBeetle が市場に出れば、それがnano iONEのいちばん近い競争相手になるだろう。
低音の重量感という点では、3つの中ではnano iONEがいちばん軽い。ありがたいことに、Final Sonorous IIIはローエンドのアクションが豊かなので、ここでは低音が軽いことはまったく問題にならない。(例えば)OPPOのヘッドホンPM-3を所有していて、低音が出すぎてヴォーカルの明瞭さが弱まると感じている人は、このことを頭に入れておいたらいいだろう。
もっと良い点があるかって? ANC(アクティブ・ノイズ・キャンセレーション)回路があるが、さすがにこれがあっても、鉛を金に変えることはできない。スイッチモードのUSB電源アダプターを、もっと高品質な電源アダプターに取り替えよう。
iFi-Audioからは低ノイズの電源アダプターiPower(日本での販売価格は6,800円/税抜)が発売されているが、Sonore microRendu(ネットワークプレーヤー)の効率の良い電源技術をそのまま引っ張ってきたリニア電源アダプターTeradak U9は、USB出力から5Vの電圧を押し出すことができる。
AppleのiPhoneの電源アダプターと比較すると、このTeradakを使った方が音の肉付きが良くなるのだが(低音の重量感も増す)、それに加えてトップエンドがもっと聴きやすくなる。筆者にとっては、これこそがより良いデジタルオーディオ再生の証となるのだ。
nano iONEでは様々な応用技術が功を奏しているが、これは印象的だ。MacBook AirやSonos Connectのパフォーマンスを高める能力を実際に耳で聴くことができるのだから、あらゆる人に適したハイファイ製品ということになる。AURALiC Aries Mini(の鍵となる領域)で音質が改善し、AudioQuestのDragonFly Redに肉薄するという事実を見れば、オーディオファイル並の実力を持っていると信じていいということだ。
iOS機器を使ってBluetoothで音楽を聴く人々を、選択肢のない状態から抜け出させることを至上目標に置くというのは、iFi-Audioの賢明な決断である。そしてノックアウトレベルの機能を備えた機器が超お買い得価格で買えるというのだから、これはもう「ノックアウト賞」 を与えるしかない。カポ〜ン!
※本記事はドイツのオーディオレビューサイト「DAR」所収記事を翻訳したものです。
元記事はこちら ※英文です
DAR(Digital Audio Review)とは
手頃な価格のハイファイ機器のニュースやレビューに特化したドイツのウェブサイト。記事の大部分は、運営者であるジョン・ダルコ氏によって書かれており、一部6moonのスラヤン・エーバン氏らによる寄稿も掲載されている。レビューの基本に「比較する」というポリシーを持っており、それぞれの人気モデルの中にあってどのような魅力があるのかなどを詳細にレポート。また、レビューを消費者の視点からの主観的なリスニングに基づくものとしており、結果として面白くて魅力的な製品情報を伝えることを目的としていることも特徴だ。
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