<山本敦のAV進化論 第135回>
HTCの新たな“音楽スマホ”、ハイレゾ/NC対応「HTC U11」の再生能力をチェックする
■付属のUSB/3.5mmジャック変換アダプターやスピーカーの音は?
付属する変換アダプターの音もチェックしてみた。NePLAYERでDACのステータスを確かめてみたところ、アダプターに搭載されているDACの性能は48kHz/24bit対応であるようだ。
サウンドはUSonicイヤホンと比べて量感のバランスもよりフラットに整っている印象だ。ユーザーが愛用していたイヤホン・ヘッドホンのキャラクターを曲げることなく、素直に引き出してくれる。
96kHzぐらいまで対応していると嬉しかったのだが、ハイレゾ対応イヤホンも含め、スマホ本体の付属品でこれだけ充実したリスニング環境が整えられるのは立派だと思う。USB経由のデジタルオーディオ出力にも対応しているので、よりハイグレードなポータブルヘッドホンアンプなどを組み合わせて再生環境を発展できる楽しみもある。
スピーカーのサウンドもあらためてチェックした。HTC U11では本体の中にホーン形状の音道を配置して、スピーカー再生時の音圧を高める設計を採用している。HTC 10ではドルビーオーディオの技術も採用していたが、HTC U11では独自にチューニングを練り上げた。
本体を縦に構えたときに上に位置するフロント側に向いているスピーカーは中高域再生用のトゥイーター、下側のスピーカーはHTC 10からユニットと磁気回路を改善したウーファーになる。ウーファーの開口部はフレームの側面を向いているので、映画やドラマを再生するとセリフがクリアに聴こえて、効果音が回り込んでくるような効果が得られる。スピーカー再生は「音楽モード」と「シアターモード」の2つを用意しているが、「シアターモード」に切り替えるとよりサラウンド感が強くなった。
■独自のUI「エッジ・センス」を音楽再生に活用する
最後に音楽再生に最適な「エッジ・センス」の使いこなし方も検証してみた。本体の設定メニューから短く握る、長く握る動作のそれぞれにアクションが選べる。握る強さも10段階で強弱が変えられるので、筆者は少し感度を高めに「4」ぐらいにしてみた。短く握ると1度、長く握ると2度のフィードバックが返ってきて、操作が正しく認識されたことがわかるようになっている。
音楽再生については「アプリを起動」のメニューからプレーヤーアプリを選択すれば、握る操作で起動できるようになる。例えば起動したプレーヤーアプリのイコライザー設定画面を開くところまで一連のアクションを握る操作に割り当てられればより便利な場合もあるだろうが、現状では対応していない。
それならばと、エッジ・センスでGoogleの音声補助を起動して「マイケル・ジャクソンを再生」と発声した時の反応を確認してみたが、正しく操作を受け付けてくれる音楽系アプリはGoogle Playerミュージックに絞られた。
音楽再生とは関係ないが、エッジ・センスはほかにもスクリーンショットの撮影やテザリング機能のオン・オフ切り替えなど、仕事でよく使う機能が素速く呼び出せて便利だった。この機能に一度なじんでしまうと、併用しているiPhone 7のエッジを思わず握ってしまうほど身に染みついて手放せなくなる。
HTC U11はハイレゾ再生からノイキャン機能まで、音楽を心地よく楽しむための機能を1台に詰め込んだ出来映えの良いスマホだ。HTC 10の思想を継承しながら、よりシンプルに使いこなせるようしっかりとブラッシュアップもされている。
USB接続によるイヤホン再生については、本機では付属のUSonicイヤホンによるアナログ接続を選択したわけだが、今後はデジタル接続のイヤホンが専業メーカーからも発売されたり、他社からも出てくるであろうUSBイヤホンのスマホとの互換性にも気をつける必要があることを、今後の課題としてHTC U11が示してくれたように思う。本機もまた“音楽スマホ”の歴史に名を残すモデルになりそうだ。
(山本 敦)