有機ELならではの高い黒の表現力
【測定】ベゼルレスが斬新な「Galaxy S8」。有機ELディスプレイの画質を徹底チェック!
いま、大型テレビ製品は各社から有機ELモデルが出揃い始め、注目を集めている。黒の再現力は映像ファンにとって大いに魅力だ。一方、予算面でのハードルの高さは否めない。
そんな時ふと気になるのが、有機ELパネルを搭載したスマホである。衝動買いできる範囲で有機EL画質が手に入れば、毎日が少し幸せになるかもしれない。そこで今回は、有機ELパネルを搭載するSAMSUNGの最新注目モデル「Galaxy S8」(ドコモSJ-02J)を徹底的に測定分析。ポケットに入る有機EL画質の実力がいま明らかになる!
■評価の方針
本機の特長は“有機ELパネル”の採用で、HDRにも対応しているが、測定用のパターン発生アプリ「Mobile Forge」がHDR未対応のため、今回はHDTV基準で評価する。色温度はD65(6508K)、色域はBT.709、ガンマは2.2がターゲットで、これらに近ければ近い程、制作者の意図を忠実に再現できるディスプレイと判断できる。現時点ではHDTV基準で制作されたコンテンツが大半を占めるので、大いに参考になるだろう。有機ELパネルは液晶と異なる自発光デバイスであり、筆者も測定経験が少ないため、パネルの色域や最大輝度を注意深く測定した。液晶よりもHDR再生に適しているのかどうかは、非常に興味深いポイントだ。
なお、ディスプレイ上の色の見え方は周囲の環境光による色順応が影響する。映像装置の多くは実使用状況を勘案して調整(画作り)されているケースが多く、基準値に合致しないものは全てNGというわけではない。この点を留意の上、以降読み進んで頂きたい。
■測定評価
【基本項目】
まず、有機ELパネルは液晶に比べて暗いと言われるが本当だろうか? 詳しく調べてみた。
全画面白100%(画面全体を最大輝度の白色で埋め尽くした状態)では、328.4cd/m2だった。屋内で使用するディスプレイとしては必要充分だが、最新の高輝度な液晶タイプに比べると約半分といったところでかなり暗い。日中の屋外では非力に感じるだろう。
一方、測定用パターンの面積を25%(全画面の1/4)に小さくすると、483.7cd/m2と出た。これは「Xperia XZ Premium」の495.0cd/m2と大差ないレベル。
自発光ディスプレイでは、明るく表示する面積が広くなるほど消費電力が大きくなるため、熱対策や電源回路の規模の観点から減光するのが一般的で、プラズマテレビや有機ELテレビも同じだ。つまり、全画面を光らせるには液晶タイプに劣るがピーク輝度は遜色なく、HDRのキラキラ感を表現するには充分な能力と言える。
コントラスト比は実用に近い条件として、白100%表示時の輝度を100cd/m2付近に調整した後、「白輝度」と「黒輝度」を測定して算出。黒は消灯で完全に輝度がゼロ(測定限界以下)だったので、計算上はコントラスト比が無限大となってしまう。
あえて数字を付けるとすれば、同一画面で何らかの柄を表示した場合に表示による灯りが黒部分に漏れたり、放たれた光が反射して戻ってくるので、それを0.0005 cd/m2程度と仮定すると20万対1くらいの値が出てくる。あくまでも仮定だが、目視での感覚も含めて液晶とは桁違いの「黒」が再現できるのは事実だ。
視野角特性の面では有機ELは液晶を凌ぐとされるが、本機の場合、視野角が大きくなるほど白色が緑方向にシフトするのが分かる。輝度やコントラスト感の変化が皆無なのはさすがだが、完璧でないことは留意しておきたい。
また本機は画面が長手方向の丸みを帯びたエッジまで届く斬新な設計だが、エッジ部分は色味がややシフトして見える。その補正機能も搭載されているが、本機ならではの特性なので、購入を検討している読者は実機で確認しておくと良いだろう。
【グレースケールトラッキング/ガンマ/色域】
本機には画面モードとして「表示を最適化」「AMOLEDシネマ」「AMOLEDフォト」「標準」の4つのプリセットが用意されている。「表示を最適化」では、色温度を「寒色」から「暖色」まで5段階で選択でき、さらに「拡張オプションとして」RGBをそれぞれ12段階で調整できる。まずは4つの画面モードの特性を知るべく、一通り測定してみた(動画映像を色鮮やかにする「エンハンス」機能は全てオフの状態)。
そんな時ふと気になるのが、有機ELパネルを搭載したスマホである。衝動買いできる範囲で有機EL画質が手に入れば、毎日が少し幸せになるかもしれない。そこで今回は、有機ELパネルを搭載するSAMSUNGの最新注目モデル「Galaxy S8」(ドコモSJ-02J)を徹底的に測定分析。ポケットに入る有機EL画質の実力がいま明らかになる!
■評価の方針
本機の特長は“有機ELパネル”の採用で、HDRにも対応しているが、測定用のパターン発生アプリ「Mobile Forge」がHDR未対応のため、今回はHDTV基準で評価する。色温度はD65(6508K)、色域はBT.709、ガンマは2.2がターゲットで、これらに近ければ近い程、制作者の意図を忠実に再現できるディスプレイと判断できる。現時点ではHDTV基準で制作されたコンテンツが大半を占めるので、大いに参考になるだろう。有機ELパネルは液晶と異なる自発光デバイスであり、筆者も測定経験が少ないため、パネルの色域や最大輝度を注意深く測定した。液晶よりもHDR再生に適しているのかどうかは、非常に興味深いポイントだ。
なお、ディスプレイ上の色の見え方は周囲の環境光による色順応が影響する。映像装置の多くは実使用状況を勘案して調整(画作り)されているケースが多く、基準値に合致しないものは全てNGというわけではない。この点を留意の上、以降読み進んで頂きたい。
■測定評価
【基本項目】
まず、有機ELパネルは液晶に比べて暗いと言われるが本当だろうか? 詳しく調べてみた。
全画面白100%(画面全体を最大輝度の白色で埋め尽くした状態)では、328.4cd/m2だった。屋内で使用するディスプレイとしては必要充分だが、最新の高輝度な液晶タイプに比べると約半分といったところでかなり暗い。日中の屋外では非力に感じるだろう。
一方、測定用パターンの面積を25%(全画面の1/4)に小さくすると、483.7cd/m2と出た。これは「Xperia XZ Premium」の495.0cd/m2と大差ないレベル。
自発光ディスプレイでは、明るく表示する面積が広くなるほど消費電力が大きくなるため、熱対策や電源回路の規模の観点から減光するのが一般的で、プラズマテレビや有機ELテレビも同じだ。つまり、全画面を光らせるには液晶タイプに劣るがピーク輝度は遜色なく、HDRのキラキラ感を表現するには充分な能力と言える。
コントラスト比は実用に近い条件として、白100%表示時の輝度を100cd/m2付近に調整した後、「白輝度」と「黒輝度」を測定して算出。黒は消灯で完全に輝度がゼロ(測定限界以下)だったので、計算上はコントラスト比が無限大となってしまう。
あえて数字を付けるとすれば、同一画面で何らかの柄を表示した場合に表示による灯りが黒部分に漏れたり、放たれた光が反射して戻ってくるので、それを0.0005 cd/m2程度と仮定すると20万対1くらいの値が出てくる。あくまでも仮定だが、目視での感覚も含めて液晶とは桁違いの「黒」が再現できるのは事実だ。
視野角特性の面では有機ELは液晶を凌ぐとされるが、本機の場合、視野角が大きくなるほど白色が緑方向にシフトするのが分かる。輝度やコントラスト感の変化が皆無なのはさすがだが、完璧でないことは留意しておきたい。
また本機は画面が長手方向の丸みを帯びたエッジまで届く斬新な設計だが、エッジ部分は色味がややシフトして見える。その補正機能も搭載されているが、本機ならではの特性なので、購入を検討している読者は実機で確認しておくと良いだろう。
【グレースケールトラッキング/ガンマ/色域】
本機には画面モードとして「表示を最適化」「AMOLEDシネマ」「AMOLEDフォト」「標準」の4つのプリセットが用意されている。「表示を最適化」では、色温度を「寒色」から「暖色」まで5段階で選択でき、さらに「拡張オプションとして」RGBをそれぞれ12段階で調整できる。まずは4つの画面モードの特性を知るべく、一通り測定してみた(動画映像を色鮮やかにする「エンハンス」機能は全てオフの状態)。