米国のハイエンドブランドに再評価の機運
GRADOの最高峰ヘッドホン「PS2000e-balanced」レビュー。アンバラと聴き比べて分かった実力
■GRADOのなかでも精緻でナチュラル。高級機ならではの音場表現力も備える
GRADOは並み居る高級ブランドの中では個性派の筆頭という捉え方をされているように感じるが、特にバランス駆動化を果たしたPS2000e-balancedはこれまでのGRADOヘッドホンの概念を覆す、精緻でナチュラル志向の解像度を持つ万能モデルとなっており、そのサウンドの実力、アンバランス仕様との音質差に驚くことだろう。
決して安くはないが、他の高級機では持ち得ない、快活ながらもきめ細やかで、落ち着きも伴うサウンドは貴重なものといえる。ひとつひとつの音を丁寧に磨き上げ分離良く並べていくような、高級機ならではの音場表現力も兼ね備えており、接続するアンプの環境に応じて、そのサウンドも大きく変化することだろう。
個人的にもまた別の機会にBTL駆動形式のバランス駆動アンプに繋いで聴いてみたいと思えるほど、魅力的な音を持つヘッドホンであった。
(岩井 喬)
■試聴音源
・飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章(96kHz/24bit)
・『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜届かない恋(2.8MHz・DSD)
・デイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ(CDリッピング:44.1kHz/16bit)
・シカゴ『17』〜ワンス・イン・ア・ライフタイム(192kHz/24bit)
・長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』〜レディ・マドンナ(筆者自身による2.8MHz・DSD録音)
・Suara「キミガタメ」11.2MHzレコーディング音源