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コンパクトなハウジングで装着感も良好

エレコム「EHP-DH1000A」レビュー。同軸デュアルダイナミックドライバーで透明感と量感を両立

公開日 2018/02/01 10:00 野村 ケンジ
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まず最初に気がつくのが、質感の良い低域だ。ボリューム感はかなり多めだが、ほどよく締まった表現のうえ解像感もしっかり確保されているため、チェロなどはとても存在感のある演奏に感じられる。ドラムのタムやバスドラも、ヘッドの貼り方や素材まで伝わってきそうな情報量の多さもあってリアルに感じられる。

そういった傾向から、名盤洋楽との相性も良好だ。たとえばアース・ウィンド・アンド・ファイアーは、重心の低いどっしりとした落ち着きのある音色傾向ながら、低域がボケないため、グルーブ感の良いリズミカルな演奏が楽しめる。

奇しくも”コンパクト”で”デュアル構成”な製品の組み合わせ

さらに相性が良かったのが、アコースティック系、クラシック系の音楽ジャンルだ。ヴァイオリンのソロはとてもエッジが立っていて、演奏の細やかなニュアンスがしっかりと伝わってくる。音色的には、普段よりやや力強い演奏に感じられるが、これといった違和感もなく、かえって臨場感の高さが好ましく思える。

ピアノの音も好印象だ。低域の量感が多いためか、左手の音はやや柔らかめだが、右手の音は鋭く立ち上がり、倍音のそろいの良さもあっていっさい詰まりのないのびのびとした音色を聴かせてくれる。ピアノの音をここまで素直に表現してくれることから、ユニットの素性の良さ、特に高域ユニットの素性の良さがしみじみと感じられる。

女性ヴォーカルも、なかなか魅力的だ。サラ・オレインを聴くと、彼女らしい美しく伸びやかな歌声はそのままに、低域がほんの少し柔らかい、心地の良い歌声を聴かせてくれる。本来の音色は変わらず、ほんのちょっと低域の量感が増えたためにいつもより落ち着きのある歌声が楽しめる、そんなイメージだろうか。

また、同じ女性ヴォーカルではChouChoとの相性が抜群だった。いつもよりほんのちょっとハスキーな歌声なのだが、それがかえって味わい深く、耳に心地よく響いてくれる。優しい歌声の女性ヴォーカルをクッキリとした歌声で楽しみたい、という人にはピッタリの製品かもしれない。



このようにEHP-DH1000Aは、デュアルダイナミック構成のメリットを巧みに活かした独自の2ウェイシステムを採用することで、たっぷりとした量感と音色の良質さを併せ持つ低域と、ストレートな表現の中高域を巧みに両立させた、まとまりの良い製品に仕上がっている。筐体のコンパクトさ、ケーブルの扱いやすさなどユーザビリティも含め、魅力ある製品だと思う。

2つのドライバーに上手く分担させ、特性の異なる低域/中高域をうまくミックスした

もちろん、音の好みは人によって千差万別なので、まずは試聴してみて欲しいが、多くの人がハッと思う、印象的なサウンドを持ち合わせていることは断言しよう。

(野村 ケンジ)

【Specification】
●形式:デュアルダイナミック型 ●ドライバー径:10.7mm(低域用)+8.8mm(高域用) ●インピーダンス:14Ω ●音圧感度:103dB/mW ●最大入力:100mW ●再生周波数帯域:10Hz〜45kHz ●コード:1.2m(Y型) ●プラグ:3.5mmステレオミニ(L型) ●質量:約11g ●付属品:イヤーキャップ(S/M/L)、コードキーパー、収納ポーチ

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