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世界基準のブランドならではの設計思想

BenQ “20万円切り”4K/HDR DLPプロジェクター「HT2550」の実力をチェックした

公開日 2018/02/13 10:15 鴻池賢三
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コンパクトで設置性は良好、視聴ではHDR効果が印象的

実機を目の前にして実感するのは「小型軽量」。従来の4Kプロジェクターは「大きくて重い」というイメージがつきまとっていたが、本機はフルHDモデルと同等といっても過言ではない。フルHD解像度のDMDを用いて4K解像度を実現する最大のメリットと言えそうだ。これなら天吊り設置はもちろん、必要な時に設置するカジュアルなリビングシアターでの利用も現実的。フルHDプロジェクターユーザーが本機に買い換える際にも、まったく問題は無いだろう。

本体は極めてコンパクトで、4K/HDRプロジェクターとして現在世界で最も小さい

滑らかな曲面で構成され、洗練の美を感じるデザインや質感の良さもBenQならでは。DLPプロジェクターで世界一の販売台数を誇る「ナンバーワンブランド」の貫禄を感じる部分でもある。ほか、使い勝手を優先した適度なボリュームのリモコンや、ゴシック体をベースに程良く調整された日本語フォントのOSDなど、細部まで完成度が高い。これらの特徴はカタログには現れない部分だが、日々の利用で快適さを少なからず左右するもので、メーカーの良心を感じる。

実際の映像は、やはりHDR効果が印象的だ。基本としてプロジェクターはランプの輝度でピークの明るさが決まってしまうため、HDR映像を投写する場合は、中間や暗部を相対的に引き下げてコントラスト差を作り出すので、どうしても暗部の階調表現に限界がある。本機の場合は、高輝度を活かしたピーク感、言い換えれば「明るい映像の明るい部分」が得意で、そうした観点で評価すべきだろう。

UHD BDで視聴を行う

映画『レヴェナント: 蘇えりし者』では、従来のBlu-ray(SDR)版と、UHD BD(HDR)版の両ディスクを用い、冒頭からのシーケンスで比較してみた。それぞれマスターが異なるので厳密な比較とは言えないが、Blu-ray時代と、本機によるHDR映像がどのように違うのかを確認するには有用だ。

チャプター1最後、湖畔のシーンで木々の隙間から太陽と空が覗くシーン。最大輝度は同じで、太陽のピーク感は同等の印象だが、SDRでは雲が白飛びして白一色になってしまう部分が、HDRなら雲の質感が見て取れ、陽光の繊細な色味も感じられるなど、情報量の差として決定的な違いが確認できた。プロジェクターなので大幅なダイナミックレンジの向上を期待するのは野暮だが、HDRの恩恵は確かに存在するのだ。

『ハドソン川の奇跡』は定点観測しているチャプター5でチェック。夜のマンハッタンの黒が明るく出てしまうなど、暗部の階調や色情報が欠けるのは否めないが、黒に色付きは無い。明転して緊急着陸の回想シーンは、本機の絶対的な輝度性能とHDR効果が活き、戦闘機がゆらゆらと日光を跳ね返す揺らぎに力強さを覚え、色彩も含めた情報の多さから、リアリティーが高く感じられた。

解像度面では、上位モデルであるHT8050やHT9050のように、RGBの滲みを見つけるのが難しいほどの完璧なキレは望めない。だが3倍以上という価格差を考えれば、多くのユーザーが納得できるレベルに到達している。何よりスクリーンに接近しても、フルHDモデルよりDMDの格子が気になりにくく、より大画面に向いているのは確かな事実だ。

もちろんHDソースの再生も可能。本機の4Kアップコンバート画質も優秀だが、4K/60p入力にも対応しているので、高品位なプレーヤーでアップコンバートしてから入力するのも良いだろう。こだわりに応じていろいろ試してみるのも面白い。

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