配信がまさかの大健闘
UHD BDとiTunesの4K/HDR映像をガチンコ比較!「パッケージソフトが最高画質」は本当か?
■レヴェナント
というわけで今回は、iTunes、UHD BD共に、全てHDR10での比較視聴となる。
まずは「レヴェナント」だ。UHD BDの初期に登場し、4K/HDRの真の素晴らしさを世に知らしめた作品である。多くのシーンが自然光の下で撮影されており、誇張感の無いリアルなHDRグレーディングは未だにピカイチだ。しかし6.5K撮影・4K DIのわりにはディテールが甘めなのが以前から気になっていた。これはUHD BDとしては異様にビットレートが低いのが理由ではないかと考えている。
例えばチャプター13で主人公が河に流されるシーン。エンコード的には高いビットレートが要求される映像のはずだが、UB900のビットレート表示は20Mbps前後を行ったり来たり。ときおり30Mbps台に上がっても瞬間的なものだ。HEVCを使っているとはいえ、これはいくらなんでも低すぎる。
次に同じシーンをiTunes版で確認してみると、なんと圧縮品質に関してはほとんど同じ!これでは、昨年末に見分けが付かなかったのも無理はない。そこで特殊な方法を使ってビットレートを調べてみると、全編を通して最大約30Mbps、平均約24Mbpsという、UHD BD版と同じような値が出ているではないか!これはNetflixが採用している平均15-16Mbpsを大きく上回る値で、北米のようなブロードバンド回線の遅い地域は大丈夫なのかと心配してしまうレベルだ。
しかし「レヴェナント」のUHD BD版とiTunes版が全く同じ画質なのかというと、そう単純な話ではない。どちらもディテールが甘いのは同じなのだが、それでもUHD BD版の方が精密さと立体感で勝っている。カメラに例えるならば、同じカメラボディを使っていてもiTunesがキットレンズで、UHD BDが何十万円もする最高級レンズで撮った写真といった感じだ。
また色味もかなり異なる。わかりやすいのがチャプター15の焚き火のシーン。UHD BD版と較べるとiTunes版は全体的に退色した印象で、特に肉を焼く男の頬の赤みが出ない。その他の作品でも、総じてiTunesは赤が弱く、結果的に若干グリーン寄りのカラーバランスとなる。
この理由だが、筆者はUB900のクロマアップサンプリングの優秀さにあると考えている。というのも、他社製UHD BDプレーヤーとの比較でも、これと同じ現象がよく見られるからだ。さすがはパナソニックといったところだが、この差をきっちり表現できるX910の描画能力も見事である。
さらにX910といえば、REGZA独自の信号情報とハイダイナミックレンジ情報の表示機能がある。そこで両者のメタ情報を較べてみると、UHD BD版はグレーディングに使ったマスターディスプレイの最大輝度が1,000nitとあるだけで、それ以外の情報は非表示となっている。これは意図的か技術的かは別として、オーサリング時にメタ情報を入れなかったからだ。
ところがiTunes版の方は最小輝度が0.005nit、コンテンツのピーク輝度が846nit、平均輝度が最大313nitときちんと表示されている。実際のところはUHD BD側も同じ値なのだろう。
「レヴェナント」に限らず、UHD BDにはメタ情報を非表示にしている作品がたくさんある。無用なクレームを避けたいという気持ちは分かるが、UHD BDを支持してくれるファンに対して不誠実な印象は拭えない。やましいことが無いのであれば堂々と開示して欲しい。
というわけで今回は、iTunes、UHD BD共に、全てHDR10での比較視聴となる。
まずは「レヴェナント」だ。UHD BDの初期に登場し、4K/HDRの真の素晴らしさを世に知らしめた作品である。多くのシーンが自然光の下で撮影されており、誇張感の無いリアルなHDRグレーディングは未だにピカイチだ。しかし6.5K撮影・4K DIのわりにはディテールが甘めなのが以前から気になっていた。これはUHD BDとしては異様にビットレートが低いのが理由ではないかと考えている。
例えばチャプター13で主人公が河に流されるシーン。エンコード的には高いビットレートが要求される映像のはずだが、UB900のビットレート表示は20Mbps前後を行ったり来たり。ときおり30Mbps台に上がっても瞬間的なものだ。HEVCを使っているとはいえ、これはいくらなんでも低すぎる。
次に同じシーンをiTunes版で確認してみると、なんと圧縮品質に関してはほとんど同じ!これでは、昨年末に見分けが付かなかったのも無理はない。そこで特殊な方法を使ってビットレートを調べてみると、全編を通して最大約30Mbps、平均約24Mbpsという、UHD BD版と同じような値が出ているではないか!これはNetflixが採用している平均15-16Mbpsを大きく上回る値で、北米のようなブロードバンド回線の遅い地域は大丈夫なのかと心配してしまうレベルだ。
しかし「レヴェナント」のUHD BD版とiTunes版が全く同じ画質なのかというと、そう単純な話ではない。どちらもディテールが甘いのは同じなのだが、それでもUHD BD版の方が精密さと立体感で勝っている。カメラに例えるならば、同じカメラボディを使っていてもiTunesがキットレンズで、UHD BDが何十万円もする最高級レンズで撮った写真といった感じだ。
また色味もかなり異なる。わかりやすいのがチャプター15の焚き火のシーン。UHD BD版と較べるとiTunes版は全体的に退色した印象で、特に肉を焼く男の頬の赤みが出ない。その他の作品でも、総じてiTunesは赤が弱く、結果的に若干グリーン寄りのカラーバランスとなる。
この理由だが、筆者はUB900のクロマアップサンプリングの優秀さにあると考えている。というのも、他社製UHD BDプレーヤーとの比較でも、これと同じ現象がよく見られるからだ。さすがはパナソニックといったところだが、この差をきっちり表現できるX910の描画能力も見事である。
さらにX910といえば、REGZA独自の信号情報とハイダイナミックレンジ情報の表示機能がある。そこで両者のメタ情報を較べてみると、UHD BD版はグレーディングに使ったマスターディスプレイの最大輝度が1,000nitとあるだけで、それ以外の情報は非表示となっている。これは意図的か技術的かは別として、オーサリング時にメタ情報を入れなかったからだ。
ところがiTunes版の方は最小輝度が0.005nit、コンテンツのピーク輝度が846nit、平均輝度が最大313nitときちんと表示されている。実際のところはUHD BD側も同じ値なのだろう。
「レヴェナント」に限らず、UHD BDにはメタ情報を非表示にしている作品がたくさんある。無用なクレームを避けたいという気持ちは分かるが、UHD BDを支持してくれるファンに対して不誠実な印象は拭えない。やましいことが無いのであれば堂々と開示して欲しい。