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配信がまさかの大健闘

UHD BDとiTunesの4K/HDR映像をガチンコ比較!「パッケージソフトが最高画質」は本当か?

公開日 2018/02/23 08:00 秋山 真
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Apple TV 4Kの注意点とファイナル・ジャッジメント

以上で5作品全ての比較試聴が終わった。ワーナーには、フォックスやパラマウントと同等のビットレートを採用して欲しいところだが、それでもiTunesの健闘ぶりと、Apple TV 4Kの映像処理技術の高さには、素直に拍手を贈りたいと思う。

最後にApple TV 4Kを使用する上での注意点を1つ。4K/HDRコンテンツ再生中にテレビ側のHDMI入力を切り替えると、戻ってきた時にダイナミックレンジと解像度がおかしくなってしまうことがあるようだ。

具体的には本編のダイナミックレンジがマスターディスプレイの最大輝度250nit、最小輝度0.050nit、コンテンツのピーク輝度250nit、平均輝度が最大100nitになってしまう(当然REGZAでは画面全体が明るくなる)。

左が正常な状態。右は問題が発生している状態で、画面全体が明るくなり階調が飛んでしまっているのが分かる

これはメニュー画面と同じ値なので、Apple TV 4K側が何かを誤検出してこのような状態になっているのだと推測される。おまけに解像度まで2Kコンテンツを超解像無しで4Kに引き伸ばしたような状態になっている。

この問題が発生した場合は、一度本編の再生を止めてメニューに戻り、再び本編再生を開始すると正しい状態に戻ることが多い。それでもダメな場合はApple TV 4Kを再起動しよう。他にもUIで、いくつかのバグが散見されるが、このあたりは将来ソフトウェアアップデートで修正されることを期待したい。



さて、ファイナル・ジャッジの時間だ。

「iTunesはUHD BDに試合で負けて、勝負に勝った」。

これが筆者の偽らざる感想である。

直接比較となると、iTunes版は各採点項目でUHD BD版に準ずる点数をつけざるを得ない。これはビットレートの違いだけでなく、可能性としてエンコーダーの性能差、マスターの画質差(配信エンコード用マスターには非圧縮データではなく、Apple ProRes 422 HQなどのコーデックが使われることが多い)によるところもあるだろう。

しかしながら、総合的には十分に合格点を与えられるクオリティに達していることは間違いない。その証拠に、私は貸出機を返却したその日にApple TV 4Kを購入してしまったほどだ(実のところ、あのスクリーンセーバーを観た瞬間に心は決まっていたのだが)。

とにかくこれほどまでに優秀なメディアプレーヤーが約2万円で手に入るという衝撃は計り知れない。今後は購入を検討しているUHD BDの下調べにiTunes版をレンタルしたり、Amazonプライム・ビデオを観たりと、公私ともにフル活用していくつもりだ。

ふだんから配信コンテンツを楽しんでいる読者はもちろん、できることならUHD BD/BD製作に関わる人達にこそ、Apple TV 4K + iTunesの世界を体験して欲しい。そこには、パッケージメディアがこの先も生き残るためのヒントが隠されているからだ。

秋山 真
20世紀最後の年にCDマスタリングのエンジニアとしてキャリアをスタートしたはずが、21世紀最初の年にはDVDエンコードのエンジニアになっていた、運命の荒波に揉まれ続ける画質と音質の求道者。2007年、世界一のBDを作りたいと渡米を決意しPHLに参加。ハリウッド大作からジブリ作品に至るまで、名だたるハイクオリティ盤を数多く手がけた。帰国後はアドバイザーとしてパッケージメディア、配信メディアの製作に関わる一方、オーディオビジュアルに関する豊富な知識と経験を生かし、2013年より「AV REVIEW」誌でコラムを連載中。ATCとBVMとラーメンとリスをこよなく愛する40歳。

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