Bulk Petの技術背景も解説
新たなUSBオーディオ伝送技術「Bulk Pet」で音は良くなる? 対応USB-DAC 3機種でテスト
Macにティアックの提供するBulk Pet用のカスタムドライバーをインストールすると、システム環境設定にBulk Pet用の設定パネルもインストールされる。Bulk Petの1 - 4切り替えはそれを使う(ティアックのUSB-DAC用の専用プレーヤーソフト「TEAC HR Audio Player」の場合は、こちらのメニューからも切り変えができる)。
試聴はアイソクロナス方式(従来の標準ドライバーとの互換用)と、1から4のBulk Pet方式の設定を変更し、聴き比べを行った。アイソクロナスモードの音質は標準ドライバーとほぼ同じはずなので、従来方式がアイソクロナスモードでの音質である、と置き換えてもらってよいだろう(バッファ設定は初期値を使用)。
試聴曲は以下の通りだ。
上原ひろみ『Alive』/曲名:「Alive」
おなじみの定番曲で、e-onkyo music提供の96kHz/24bit flacのハイレゾデータを使用した。
Dianna Kral『Wallflower』/曲名:「Super Star」
ヴォーカルの再現性を聴くために選択した。これもe-onkyo music提供の48kHz/24bit ハイレゾデータを使用した。
■Bulk Petにするとクリアネスが向上。モードによる音質の違いも
まずティアックの専用音楽再生ソフト「TEAC HR Audio Player」を立ち上げる。このソフトはインターフェース社の提供するUSBオーディオのソリューションキットの一部である。メニューからコントロールパネルを選択すると、上掲のウィンドウが表示されてBulk Pet方式のいくつかのモードを選択することができる。
試聴結果だが、はじめにAliveでアイソクロナス方式で聴いてからBulk Pet1に変更すると、冒頭部分を一聴し、さっそくその違いに気がついた。音楽の全体にわたって透明感がワンランク上がったように感じられ、音空間の見通しが晴れ上がったように良くなる。躍動感も少なからず上がっている。
次にBulk Pet2に変えると、やはりBulk Pet1と同様にアイソクロナスよりクリアに感じられるが、加えて中高域の明瞭感がより高まったようだ。ただし、シンバルなどの高音がやや耳につく傾向はある。
Bulk Pet3では、1と2に比べると重心が低くなって、最低域がより下に伸びたように聴こえる。スピーカーの低域性能をより引き出しているようだと言うべきだろうか。最後のBulk Pet4は、あたかも2と3の特徴を加えたような印象で、低域と高域の両端がより明瞭になるイメージだ。
全体で言うと、アイソクロナス方式からBulk Pet方式に変えると特にクリアネスの向上を聴き取ることができ、さらに1から4までの設定でもそれぞれ音の個性が感じられた。やや大げさな言い方をするならば、Bulk Pet1が最もフラットな傾向で、Bulk Pet4が一番ワイドレンジだが、やや強調感があるということができるかもしれない。
Dianna Kralのヴォーカルでも興味深い結果が得られた。この曲に関してはアイソクロナスでも透明感は高い。しかし、よく聴くとヴォーカルの「S」音がきつく、楽器の響きにもやや粗さを感じる。これは音質の良し悪しではなく、録音の意図としてそうしているのだろう。
これをBulk Pet1で聴くと、アイソクロナス方式に比べてヴォーカルやベースの分離が優れるだけではなく、ヴォーカルが滑らかでS音の刺さりが少なくなる。音調に、より品位が伴うと表現することもできるだろう。