Bulk Petの技術背景も解説
新たなUSBオーディオ伝送技術「Bulk Pet」で音は良くなる? 対応USB-DAC 3機種でテスト
Bulk Pet2では、やはり上原ひろみのように中高域がクリアだがやはりアイソクロナスの際のような粗さは感じず、刺さりも少ない。Bulk Pet3ではヴォーカルの表現がBulk Pet1に近いが、ベースはより重心が低くなる。Bulk Pet4はやはり、2と3の特徴を合わせ込んだような聴き映えのする音になる。
■Soulnote「D-1」とSoundwarrier「SWD-DA20」でもBulk Petの音質をチェック
続いて、別の対応機種である、Soulnote「D-1」とSoundwarrier「SWD-DA20」でも同様な聴き比べを行ってみた。ただし、この両者ではティアックのような専用の再生ソフトは用意されていないので、再生にはAudirvana Plusを使用した。Bulk Pet転送はアプリケーションではなくドライバーの機能なので、汎用の再生ソフトの利用で基本的には問題ないはずだ。この場合はBulk Petの設定はMacのシステム環境設定から呼び出すことになる。
Soulnote D-1に関しては、Bulk Pet1だとアイソクロナス方式との差はわずかにあるが、ティアックほどは差が少なく感じられる。この機種では、設定がBulk Pet2以降の方がアイソクロナス方式との差がわかりやすいと思う。
Bulk Pet1から4の音の個性の傾向はティアックと似ているが、ティアックほどは標準ドライバーとの差は少ないと感じた。これらはSoundwarrier SWD-DA20でも同様の印象をもった。
■確認できた明確な効果、検証ではモデル毎に効果の度合いに差も
計3モデルのBulk Pet転送対応USB-DACを試聴して、いずれのモデルにおいても標準のアイソクロナス転送方式とBulk Pet方式では音質の差があり、さらに言えばBulk Pet方式の方がより音の分離感が向上し、品位の高い音質になると感じた。
また、Bulk Pet方式の「1」から「4」の設定の違いでも音質差はあった。筆者個人としては、これは良し悪しというよりは、音の個性の違いと感じた。
また3機種を通して聴いてみると、モデルごとに標準方式とBulk Pet方式による音質差の度合いも異なっていた。標準方式からBulk Pet方式にすることで音質に最も大きな変化があったのはティアック UD-505であった。しかし前述のように、ティアックのみ同じインターフェイス製の専用再生ソフトを用いた。専用の再生ソフトが用意されていないD-1とSWD-DA20ではAudirvana Plusを用いたので、再生ソフトの影響もあったかもしれない。この点については断定できない。
総じて、Bulk Pet方式では、確かに音質の向上が感じられる。また「1」から「4」の各設定によっても音の個性が異なるので、スピーカーやヘッドホンによって使い分けるのも面白いだろう。
特にUD-505を専用再生ソフト「TEAC HR Audio Player」と組み合わせて使っているユーザーにとっては、音質向上の度合いが大きいので、ぜひBulk Pet方式を試してみることをお勧めしたい。他の対応機種のユーザーでも、設定を変えながら手持ちの再生機器と実際に組み合わせてみることで、その効果を実感できるのではないだろうか。
(佐々木喜洋)