リケーブルも使用した2ペアを紹介
AKG「N5005」の実力を200%引き出す! ハイエンドDAP+アンプとの組み合わせをチェック
そこに追加するアンプはChord「Hugo 2」。ハイレゾUSBデジタル出力対応アダプター「WMC-NWH10」を経由してデジタル接続した。DAC段からHugo 2に任せることで、その特徴的なDAC技術と音作りの方を生かす狙いだ。
この組み合わせでのサウンドはよりパワフル! ハイエンドヘッドホンも余裕で駆動するアンプなので、イヤホンに対して注ぎ込んでくるパワーもすごい。
声や楽器の音像を大柄にしつつ大味にはしないのがポイントだ。大柄さで存在感や迫力を出しつつ、音の立ち上がりの速さや音を緩ませない制動力で切れや精密感も高める。N5005の中低域、ダイナミック型ドライバーのポテンシャルがさらに引き出されている印象。
音がくっきりとしてリズムがビシッと立つので、細かなグルーヴを楽しみたい方には特にフィットしそう。楽器に限らず声のリズムも立つので、ラップ的なニュアンスでリズムをリードするようなボーカルも映える。
例えばRobert Glasper Experimentの同じ曲を聴いても、WM1Z単体だとメロウでソウルフルな印象の方が強く、Hugo 2を加えるとヒップホップ的なリズムが際立ってくるといった具合。気分次第で使い分けて楽しめるだろう。どちらの個性も受け止めて表現できるN5005のキャパシティがあってこその贅沢な楽しみ方だ。
■システム提案B:PLENUE S+Continental Dual Mono+Supernova MKII
続いて提案するのは、
●イヤホン:AKG 「N5005」
●DAP:COWON 「PLENUE S」(¥238,000前後)
●アンプ:ALO audio 「Continental Dual Mono」(¥195,000前後)
●ケーブル:Beat Audio 「Supernova MKII AKG-MMCX」(¥35,100前後)
というセット。
ポータブルとしての基本セットは、N5005とCOWONのハイエンドDAP「PLENUE S」。N5005のチューニング・フィルターはここでも「REFERENCE」を選択。こちらの組み合わせでは、前述のN5005自体のサウンドがストレートに出てくる印象。さらに、DAPの中でも無色透明さが際立つPLENUE Sの音色も噛み合っている。
例えばシンバルの響きやギターのエッジなどの粒子感。粒子の豊かさはWM1Zと同様だが、粒子の手触りは、しっとりとした湿度感を伴うWM1Zに対してこちらはさらっとした印象。全体の雰囲気もよりすっきりとシャープだ。
早見沙織さん「琥珀糖」は、響きも息遣いもすっとした感触になり、すっきりすっぴん的な雰囲気。
ベースやバスドラムなど低音楽器においては、N5005がどちらも得意とする太さと深さの表現のうち、この組み合わせでは太さの方が少し強められる。クラブ系の重低音よりもバンドサウンドのベースやドラムスによりフィットする。
総じてこちらの組み合わせではNシリーズらしい、整えられて現代的な質感や空間、明快な低音といった表現が際立つ。DAPの違いだけでここまでの振り幅が現れるというのがN5005の幅広さであり奥深さだ。