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【特別企画】aptX HD対応のBluetooth機能も内蔵

PCスピーカーを再定義、クリプトン「KS-55」レビュー。9万円台が「むしろ安い」理由とは?

公開日 2018/11/27 06:15 土方久明
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キャビネットはアルミの押し出し材により成型されており、徹底的に不要共振を防いでいる。その結果、重量は片約2kgもある。Hi-Fiオーディオの世界でもアルミ素材をキャビネットに採用したスピーカーがあるが、アルミ素材を全面に採用できるのはいわゆるハイエンドモデルに限られる。デスクトップ用途を想定したPCスピーカーでアルミ筐体を採用しているだけでも驚くが、質感も高く仕上げも緻密。シルバーに加えて、レッド・カラーが用意されているところも見所だ。


KS-55はアルミ製エンクロージャーを採用
スピーカーユニット周りも抜かりない。2ウェイの各ユニットはそれぞれデンマーク・ティンファニー社製を採用。30mm径のリングダイアフラム・トゥイーターと63.5mm径ウーファー、そしてフォールデッドダクトによるチューンドバスレフ方式により、周波数帯域70Hz〜60kHzの広帯域をカバーする。特に60kHzまでの高域再生に対応するということは、デスクトップ上スピーカーでもハイレゾの優位性である高域限界をしっかり享受できるということになる。

また、KS-55は小型アクティブスピーカーとしては類をみないD/Dコンバーター(DDC)とFPGA(独自にプログラムを書き込める集積回路)、そしてデジタル信号のまま入力が可能なデジタルアンプ・モジュールを搭載することも特徴だ。入力されたデジタル信号は、DDCを通りFPGAを用いたDSPによって高精度な帯域分割が行われ、トゥイーター、ウーファーそれぞれに搭載される50Wのデジタルアンプでマルチ駆動される。

現在のオーディオ機器は、デジタルドメインにおける処理機能を持つものも増えている。しかし、アクティブタイプの小型スピーカー内に、最先端のデジタル処理回路を搭載し、さらにオーディオファイルの中でも一握りのマニアが行っているマルチアンプ構成で各ユニットを駆動させる設計は、驚異的だ。

背面端子部

入力についてはパソコンからの信号を入力するUSB-B端子を備え、192kHz/24bitまでのPCM形式に対応。他にも光デジタル入力、ステレオミニ端子によるアナログ入力を搭載する。


aptX HD対応でハイレゾ相当の音質を可能にするBluetooth機能

そして、ついにクリプトンのアクティブスピーカーとして初めてBluetoothへ対応したのもトピックだ。しかも最大48kHz/24bitの高音質伝送が可能な高音質コーデック「aptX HD」もサポートしている。左右が独立しているセパレートタイプのアクティブスピーカーで、aptX HDに対応したのは本機が世界初である。

余談だが、先だってaptXの技術を開発したクアルコムが「aptX」および「aptX HD」のエンコーダ部分のソースコードをAndroidの開発プロジェクト「AOSP(Android Open Source Project)」に提出したことで、Android OS 8.0を搭載したスマートフォンからは、aptX HDの採用が容易になった(最終的な採用の可否はaptX HDが動作するために必要となる演算能力のSoCが積まれること、またスマホメーカーに委ねられる)。これにより、今後はaptX HDを採用したスマートフォンが増え、Bluetoothによるハイレゾ相当のワイヤレス再生が楽しめるようになるだろう。KS-55がaptX HDに対応したのは、実にタイムリーと言える。


高解像度かつワイドレンジ。サイズを超えた低音再現

まず、USB接続によるハイレゾ再生で音質を確認する。クリプトンは本機を「コンパクトニア・フィールド・オーディオ」と定義しており、パソコンなどとの近接距離によるリスニング用途も推奨している。そこで、筆者宅と音元出版の試聴室の2ヶ所で、MacBook Proの横に設置して試聴した。なお、KS-55は美しい仕上げのレッド・モデルがイメージカラーとして通常ラインナップとして用意されているが、今回はMacとのマッチングを考えてシルバーを用意した。

まずは事前準備。KS-55の設置は簡単だ。左右のスピーカーをベースに置いて、1本の専用ケーブルで結ぶ。次に右チャンネルのスピーカーにアダプターとBluetooth受信用のアンテナを設置するだけ。あとは、ソースに合わせケーブルを接続するか、Bluetoothを使用するならスマホとペアリングするだけだ。設置が容易な点はアンプ内蔵スピーカーの大きなアドバンテージだろう。

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