最先端カートリッジが生み出される現場に潜入
オルトフォン・ファクトリーツアー、デンマークの工場から届けられる「クオリティ」と想いを探る
■ファクトリーで活躍するのは熟練の女性作業員達
ひと通り会社の説明を受け、まず最初に案内されたのは、2階の社屋でも最も広い部屋だった。この部屋はSPUやMCといったカートリッジのアッセンブルとクオリティチェックを行っている。
工場内を歩いているとオルトフォンには女性の社員が非常に多いことに気づいた。これまで見てきた工場でも、精密な工程は女性が行っていることが多かったが、オルトフォンはその比率が特に高い。カートリッジは、オーディオ分野ではずば抜けて精密な作業が要求されるが、オルトフォンではやはり個人個人の特性に仕事を割り振って自然とこのような比率となっているようだ。
■長年にわたるノウハウで生み出されるSPU
この部屋を歩いていると、ひとりの女性を紹介された。名前はマリアナさん。SPUのコイルを巻くのは彼女の仕事で、今日のSPUのサウンドクオリティを維持する重要な存在となっているそうだ。
実際にその作業を見せていただくと、非常に手際よく、ひとつのコイルがあっという間に、それでありながら実に精密に巻かれていく。聞くところによるとSPUが登場してからずっとオルトフォンに勤務しているとのことで、何十年にもわたり彼女がSPUのコイルを巻いてきたという。なるほど、SPUが多くのオーディオファイルに愛されるわけだ。ちなみに、先日発表され大きな話題となっている最新モデルSPU Centuryも彼女の手によるものだそうだ。
SPUでいうと、着磁器もオルトフォンはずっと同じものをメンテナンスしながら使い続けている。オルトフォンは極めて先進的な技術を持つ企業だ。ただし、それはただいたずらに新しいものを採用していくということではない。使い続けるべきものは最良の結果であるかぎり使い続ける。それがオルトフォンの普遍的な価値を生み出す原動力となっているのだ。