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最先端カートリッジが生み出される現場に潜入

オルトフォン・ファクトリーツアー、デンマークの工場から届けられる「クオリティ」と想いを探る

公開日 2018/12/14 23:50 季刊・アナログ編集部
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■各社員から感じられるのは仕事に対するプライド

オルトフォンの工場を見ていると感じるのは、実に効率良く作業ができる環境が整えられているということだ。また、それぞれの従業員に工程の質問をしても嫌な顔ひとつせずに応じてくれる。誰もがオルトフォンでの仕事に対して誇りをもっていることがその様子からでも良く分かる。

取り付けられたスタイラスは、拡大鏡でその取付角度が厳密にチェックされる

カンチレバーにスタイラスをつけているところ。この精密な作業は見ているだけでも緊張する


こちらはMMカートリッジを組み立てている社屋1階の部屋の様子。基本的な作業は全て手作業だが、コイルなどは一部機械を使用するなどオートメーションされた環境で行われている

組み上がったカンチレバー達。ここまで精密な作業のため、この工程は全て手作業だ
さらに、オルトフォンにしかない強みは、やはりカートリッジと精密部品を手がけるマイクロテックが同じ社屋にて作業を進めていることだ。今回工場を案内してくれたヨハンセン氏は「常に最新の技術を見つけ出して、それをどう使えば私達のパッションを伝えることのできるプロダクトを生み出せるのかを考えている」と話すが、双方で刺激を受けながら最先端の製品を生み出せる環境を整えるということはそう簡単にできるものではない。

■大事なのは技術ではなくそれを使いこなす人財


オルトフォンの工場には、旋盤などの加工機械が古いものから新しいものまでずらりと並ぶ部屋がある。スタッフのアイデアは日々ここで一度試作された上で、トライ&エラーが繰り返されている

昼休みの食堂の様子。働く環境は非常に考慮されており、従業員のモチベーションも高い
オルトフォンのプロダクトはSPUであれMCであれ、そしてConcordeであれ、全てに最先端の技術が盛り込まれている。ただし、技術だけではなくそこにいる人々のアイデアやパッションがあるからこそ、100年という長い年月の間、アナログの分野で発展し続けることができたのだろう。オルトフォンがオルトフォンであり続けられる理由。そんなことを垣間見た貴重な体験だった。

工場見学中に目にしたオルトフォンの歴代の看板達。創業時のエレクトリカル・フォノ・カンパニーのものもきれいな状態で保存されている。こうしたことも、自社の歴史に対する敬意の現れと言っていいだろう

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