光学・回転系プレーヤーの新しい地平を感じる
【AEx2020「金賞」「特別大賞」受賞】エソテリックの2大巨頭がここに降臨―Grandioso P1X/Grandioso D1X/Grandioso K1X
■ “太い道” のまま音楽を伝えるディスクリートDACの意義
Grandioso D1XとK1Xに搭載されたMaster Sound DACと名付けられた変換部。特にD1Xでは信号伝達が等距離になるよう、32組の回路エレメントを2つの扇型にならべて配置。ひとつひとつのエレメントは、抵抗、ロジックIC、電源回路などすべての構成部品を32回路分独立させている。
スペースの取れないK1Xでは扇型の配置は取れないものの、基本的には同じアーキテクチャーを踏襲。従来の36bitから64bitと大幅に解像度の数字を上げ、DSD 22.5MHzやPCM 768kHzに対応。全ての処理を自社製FPGAアルゴリズムで行っている。
しかし、大事なのはそうした数字の大きさよりも、目指している音である。音楽の躍動感や演奏家がパッセージに込めた情熱や爆発的なエネルギーを再現するのに、デジタルにおいてDACデバイスという高密度集積回路が、最終的には “道” として絞られてしまっているのではないか。ここをハイグレードなパーツ、贅沢な物量を投入して “太い道” のまま構成したらどんなことになるのか。ここがエソテリックのディスクリートDACの本質なんじゃないだろうか。
他にも電源部のおそろしいほどの充実ぶりについて、シャーシコンストラクションの著しい進化について、ES LINK Analogという電流伝送の優位性について、MQAのデコードについて、と書かなければいけないことは多岐に渡るが残念ながら割愛する。