[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第240回】
【特別編】LUNA SEAレコード初期4作品一斉レビュー!アナログで振り返る結成30周年の軌跡
◇1993年「EDEN」より「JESUS」
先行シングル「BELIEVE」のインパクトもあってか、それまでのイメージを覆すようなポジティブなアルバム!
…といった印象が当時はあった気もするのだが、後から振り返ると、「LUNA SEA」「IMAGE」と比較すればという話。「LUNA SEA内での当社比では明るいサウンドかもしれないけれど、十分にダークでもあるよね。ていうかやっぱりかっこいいよね」というアルバムだ。
また、LUNA SEA好きなオーディオ関係者の中では、音の良い作品としての評価も高かったりする。曲、アレンジと演奏に抜け感があり、レコーディングやミックスでもその抜け感が生かされているからだろう。ちなみに、FitEarへの協力等でオーディオ界隈にも知られているレコーディングエンジニアの杉山勇司氏がミックスおよびコ・プロデュースとして参加していたりもする。
そんな「EDEN」からピックアップする一曲は「JESUS」!理由は筆者が好きだから!don't you love me?
「JESUS」は何もかも尖った曲といえるが、その中でも特に一番エッジが効いているのはやはり、SUGIZOさんのあのギターリフ!
「でもそれってアナログとの相性はどうなの?アナログって柔らかな優しい音色ってイメージなんだけど?」なんて思った方もご安心を。実はアナログは荒々しさの表現も意外と得意だったりする。
技術的なことはさておき、感覚的に想像してみてほしい。アナログ再生って円盤に凸凹した溝を刻んでそれを針で擦って音を読み出してるんだよ!超プリミティブ!ロックンロール!…実際のところをいえば、例えば中低域だとゴツゴツとした骨太感、高域だとガツンと角の立ったエッジ感などは、アナログ再生とロックの相性の良さがわかりやすく発揮される部分だ。
しかもそれらが「ゴツゴツしてるけど当たりの強さがきつすぎない」「エッジが効いてるけど鼓膜をつんざくような嫌な鋭さではない」というように、「心地よい荒々しさ」となるのが上質なアナログ盤、アナログ再生環境の強み!というわけで、SUGIZOさんのこのリフのエッジ感!ぜひアナログでも堪能してほしい。
そんなわけで「JESUS」に向けてのMONTEREYセッティング例はこちら。
ポイントはもちろん「TREBLE:10」!ギターのエッジ感を最大限に出したい!
実はオーディオにおける一般論としては、トーンコントロール、イコライザー的な機能というものは、あまり派手に極端に設定すると、その機器やその曲本来の音が崩れてしまいがちであり、そのようなセッティングが推奨されることは少ない。TREBLE最大!というのはオーディオ的にはどうかと思われるセッティングだ。
しかしこのMONTEREYは、ギターブランドがギターアンプの姿を模して作り上げたスピーカー。当然、ギタリストが購入してギターアンプ感覚で使うことも想定されていることだろう。
……ギタリストって、ノブを全開にしがちですよね?ならば当然このスピーカーのトーンコントロールは、そういう使われ方も想定した設計になっているはずだ。実際、MONTEREYのトーンコントロールはTREBLEもBASSも、全開にしても音のバランスが大きく破綻することはない。
加えて今回はアナログ再生なので、「心地よい荒々しさ」効果もあり、攻めたセッティングにしても嫌な騒々しさにはなりにくい。なのでここは遠慮なくTREBLE全開でOKなのだ。
またこの「EDEN」は、SUGIZOさんとINORANさんの歪み/クリーン完全分業制が終わりを迎える時期の作品。INORANさんのクリスタルクリーンな音色でのアルペジオ、いわゆる「イノペジオ」が最も詰め込まれまくっているアルバム作品ではないだろうか。その透明感のさらに際立たせる意味からも、TREBLEを上げたセッティングは美味しいと思う。