[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第247回】
この想い Just for you!STAYホームな今こそ「SA700 LS Edition」でLUNA SEA「EDEN」を聴きまくる!
■LUNA SEA完成直前の臨界点、それが「EDEN」
聴き込みまくる前にまずは「EDEN」全体について簡単にまとめておこう。「EDEN」は1993年4月21日に発売されたLUNA SEA 3rdアルバム。メジャーとしては前年の「IMAGE」に続いての作品だ。
その意義については、次の4thアルバム「MOTHER」についてのSUGIZOさん、INORANさんのコメントを見るとわかりやすいかもしれない。以下は共に前述の「SUGIZO & INORAN Complete Guitar Book」でのインタビューからの要約。
SUGIZOさん「『MOTHER』は本当の意味でのデビューアルバムと言えるかもしれない」
INORANさん「『IMAGE』では構築、『EDEN』ではラフに振り切って、その構築と勢いのバランスが完成したのが『MOTHER』」
つまり、次の「MOTHER」がLUNA SEAの第一の完成であり、以降しばらくのLUNA SEAはそこを基準点として進化していくのだ。
ならば「EDEN」のサウンドは「完成直前、未完としての臨界点にあるLUNA SEA」のサウンドと言える。完成と未完の境界にあるその危うさは、LUNA SEAのすべてのアルバムの中で「EDEN」だけが放つ魅力だ。
加えて全体のサウンドの方向性やギター機材も特徴的だったりするので、それらも聴きどころである。そこは聴き込みまくってからの解説で触れていこう。では早速スタート!
■EDENとSA700は共にソリッド&タイトが持ち味!
…最初の聴き込み終了!感想としては、、、「EDEN」とAstell&Kern SA700、期待を超えて相性よすぎる!
EDENサウンドを一言で表すなら「ソリッド&タイト」。皆さんご存知の通り、SUGIZOさんも「Complete Guitar Book」において、「発売当時はサウンドがデッド(リヴァーブ感がない状態)すぎるって言われたけど、そこが新しかったと思うんだ」とおっしゃっているが、まさにそれ!削ぎ落とされた美しさがある。
そして楽器そのものの音像は、ソリッド&タイトであるからこそ、そこに付加され、そこから広がるディレイ等の空間エフェクトのサウンドもよりクリアに際立つ。
硬質な音色。そこから放たれる輝き。それがEDENサウンド…
そしてSA700は、そのEDENサウンドに超絶フィットしている!
Astell&Kernのポータブルプレーヤーの中でも、DAC回路に旭化成エレクトロニクス製DACチップを使っているハイエンドモデルは、音像を硬質なタッチでカッチリと描き出す傾向にチューニングされている印象。その明確な音像があるからこそ、その配置や響きによる空間表現も極めて明瞭なのだ。SA700はその系列の最新モデルであり、サウンドにはその特徴が色濃く現れている。
お分かりだろうか?つまり「EDEN」とSA700はサウンドの持ち味がそもそも近い!だからこそ、SA700はEDENサウンドを正しく解釈し、我々に届けてくれるのだ。「EDEN」のソリッドなサウンド、その心地よい硬質さを、SA700では変に緩めることも嫌な硬さにしてしまうこともなく、正確に精密に届けてくれる!
例えば「BELIEVE」。「Dejavu(2nd Album「IMAGE」収録)」と同じく冒頭の真矢さんのドラムスがまず印象的な曲だが、そのドラムスの音に注目!
それこそ「Dejavu」の音と聴き比べてもらうと分かりやすいかと思う。「Dejavu」のドラムスは、太鼓の胴の響きの柔らかな膨らみが生かされており、ふくよか。対して「BELIEVE」のドラムスの音は、打点で生まれた音がそのまま耳に飛び込んでくるようなダイレクト感やスピード感が持ち味。音の収まりもスパッとキレがよい。
それが「ソリッド」「タイト」ということだ。「BELIEVE」だけでなく「EDEN」のドラムサウンドは全般的にこの傾向が強い。