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ティアック「UD-505-X」、ヘッドホンアンプのクオリティをチェック!クロック追加でさらなるグレードアップも!?
■ゼンハイザー「HD 800S」でシングルエンド&バランス駆動もチェック
試聴にはゼンハイザー「HD 800S」を用意。HD 800Sにはバランス駆動用ケーブルも同梱されているが、試聴で用いたモデルは4ピンXLR端子仕様が同梱となっているため、別途4ピンXLRメス→6.3mm×2の変換ケーブルを用意した。現在出荷されているものは5極4.4mmプラグ仕様のケーブルが同梱されているので、難なくUD-505-Xと接続できるはずだ。入力ソースにはオーディオ用サーバー、fidata「HFAS1-S10」を用いてのUSB DAC接続を実施。まずはUD-505-X単体でのシングルエンド接続を試してみる。
UD-505-Xは非常にドライブ力があり、300Ωというハイインピーダンス仕様であるHD800 Sでも難なく駆動してくれる印象だ。オーケストラの旋律は潤い良くスムーズな音運び。ダイナミックレンジも広く、クリアで爽快感のある管弦楽器の描写が際立つ。ピアノの低域弦のうなり音も深く伸び、ソロヴァイオリンの浮き立ちもナチュラルで見通しが良い。
ジャズ音源のホーンセクションも爽やかに描かれ、ウッドベースやキックドラムの引き締まった透明度の高い空間へ音離れ良く定位。ピアノは低域から高域まで密度感のある響きを持ち、リヴァーブのニュアンスも清廉だ。女性ボーカルは肉付き良く自然な際立ちで耳当たり良い。ロック音源の細部も粒立ち良く引き出し、リズム隊もダンピング良くまとめてくれている。
ここでCG-10Mを繋いで、外部クロックによる効果を聴く。まず感じるのは、全体的に音像の輪郭が一つ一つ丁寧に描かれており、フォーカス感の良い定位と自然な余韻表現が際立ってきたという点だ。リズム隊のふくらみも適度に抑えられ、その輪郭の滲みもなく、立体感を伴っている。余韻の階調性、音場の静寂性も高まっており、楽器の自然な艶感やウェットなハリも誇張なくスムーズに引き出す。
重心の低い落ち着いた描写はどのジャンルでも感じられ、耳障りになるような歪み感を抑えた、非常に滑らかな響きでまとめられている。ピアノのうなり音もより本質的な弦の揺れとして感じられるほか、ソロヴァイオリンの響きも音離れ良く大人びたトーンで表現。ボーカルも優しさのある抑揚に富んだ描写であり、瑞々しいニュアンスに溢れている。
■高品位クロックによるリアルな空間性はバランス駆動と相性良し
続いてバランス駆動を試してみたが、CG-10Mを繋がない状態でも全体的に落ち着き良く、より彫りの深い音像描写となった。ボーカルや弦楽器の潤いも良く、艶良く伸びやかな表現である。ピアノの低域弦のうなりは幾分引き締まっており、音場の見通しもよりスッキリとした印象だ。
CG-10Mを繋いでみると音場の空気感が一変する。シングルエンド接続でのCG-10M運用と比べても楽器の質感をよりリアルかつ滑らかに引き出しており、音場の雰囲気も大人びた落ち着きあるサウンドへと変化。スッと音が立ち上がるスピードの速さや、付帯感や誇張感なく素直に浮き立つナチュラルな音像の佇まいも格上の表現力といえる。
空間のS/Nも改善しており、オーケストラの静寂感から音が立ち上がる瞬間の空気感も的確に表現。ソロヴァイオリンの浮き立ち感は非常に艶めかしい。抑揚の良い旋律は生き生きとしており、臨場感あるハーモニーが堪能できた。ボーカルの音離れの良さも格別で、楽器数の多いロック音源でも分離良く丁寧に描写。エフェクトに賭けられたショートディレイのニュアンスまで克明に引き出してくれる。マスタークロックジェネレーターが引き出す空間性のリアルさと高S/Nなバランス駆動でのサウンドはとても相性が良いものといえるだろう。
ヘッドホンリスニングの最後にアクティブ・グラウンド方式に切り替え、CG-10Mを繋いだ状態で聴いてみた。バランス駆動時以上にS/Nの高さが際立つ印象で、楽器の質感のトレース力、低域方向の階調表現においてはここまでで一番良いものとなる。アタックの速さとキレ味は十分に再現できているうえで、硬くなりすぎず適度に力をいなすような絶妙なバランスの際立ち感だ。音場の奥行きも深く、ハーモニーのほぐれが良い有機的なサウンドだ。音像の周囲の付帯感もなく、自然な音の佇まいが感じられた。