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【特別企画】ACアダプター「iPower II」でさらにリアルなサウンドへ進化

驚異的ハイCPを誇る入門機、iFi「ZENシリーズ」。“ZEN DAC3兄弟”に通底するサウンド思想を徹底レビュー

公開日 2022/08/13 06:35 岩井 喬
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ZEN DAC&ZEN Air DACをヘッドホン出力でチェック!



最後にZEN Air DACとZEN DACのヘッドホン出力のサウンド確認を行ってみる。こちらもシングルエンド接続のみの確認となるが、ヘッドホンにはゼンハイザー「HD800 S」を用意。電源にはiPower IIを使用した。ハイインピーダンス機であるので、ゲイン調節機能Power Matchを使い音量を稼げば不足感なく適度な音圧で楽しめる。

ゼンハイザーのヘッドホン「HD 800S」でZEN DACとZEN Air DACを聴き比べ!(出力は6.3mmシングルエンドにて)

まずZEN Air DACは軽やかな音運びで質感描写も滑らかで耳当たり良いサウンド傾向だ。DSD音源の耳当たり良く滑らかなトーンは余韻も柔らかくまとめ、終始スムーズで落ち着き良い。ボーカルも肉付き良く有機的な描写で、適度にウェットな艶も感じられる。オーケストラの空間性や音離れ良い音像のリアリティは価格水準を超えるクオリティといえるだろう。

続いてZEN DACでのヘッドホン試聴であるが、丁寧な音像描写とほのかな艶感のあるサウンドという点ではZEN Air DACとも共通性を見出せる。これに加えてより解像度の高さ、低域のキレ味の良さも重なることで、スピード感のあるシャープでクリアな音質傾向を実感。音像のフォーカスも良く、リズム隊のベースラインもタイトにトレースし、分離の良い鮮明な音を届けてくれる。落ち着き良く滑らかな女性ボーカルはボディを僅かに引き締め、クールな雰囲気が漂う。バランス駆動ではどう変化するのか、興味を引き立てる解像度指向のサウンドといえる。

入力されるフォーマットによって前面のライトの色が変わるのもZENシリーズの特徴



少し余裕のあるユーザーであれば音質の良さで絶対的な安定度の高いZEN DAC Signature V2が魅力的な選択肢となるだろう。ACアダプターiPower IIが標準で付属していることに加え、DACの機能が強化されている点も見逃せない。ただし、ライン出力のみの搭載となるため、ヘッドホンと組み合わせたい場合は「ZEN CAN」などを追加する必要がある。

ZEN DACはバランス駆動にも対応するヘッドホンアンプ機能を搭載しているため、まずは入門機としてオススメできる。さらに、iPower IIなどの外部電源まで用意することで驚くほどのサウンド進化を実感できる。だからこそ、全ての始まりであるZEN DACを基準にグレードアップさせてゆく計画を立てるのも理にかなったステップアップ案となろう。

初めてのUSB-DAC、そして初めてのiFi audio製品として今最もお薦めできるのはZEN Air DACだ。こちらはバランス駆動は持たず、6.3mmのシングルエンドのみであることには注意が必要。しかし、RCA出力のサウンドもZEN DAC登場からの3年近くの間の進化が注ぎ込まれた、よりバランスの整ったものとなっている。上位となるZEN DACにも匹敵するサウンド性は数多あるエントリークラス機の中でもダントツのクオリティであり、近年稀にみる驚異的なハイCPを誇るモデルといえるだろう。

なお、ZEN DACならびにZEN DAC Signature V2については、9月1日より昨今の情勢を踏まえての値上げが予定されており、いずれも当初より1万円前後高い価格が予定されている。

だが、無論値上げ後の33,000円(ZEN DAC)、49,500円(ZEN DAC Signature V2)という価格であってもそのクオリティの高さは水準以上であり、ハイCPであることには変わりない。だがより安い新製品のZEN Air DACが登場したことで、入門層にとってもiFi Audioは選びやすいブランドであり続けている。

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