[2022-2023]伊尾喜大祐が徹底レビュー!
嵐にガンダム、トップガン! 画質&音質の良さで選んだ4K UHD BDベスト10
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』
これまでで最も“フィルム・ノワール”の雰囲気が漂う『THE BATMAN-ザ・バットマン-』。ゴッサムシティの市長選が間近に迫ったある夜、現職市長が殺害され、街の有力者たちが次々と殺される異常事態に発展。若き日のブルース・ウェイン=バットマンが調査に乗り出す。映像トーンのダークさも同様で、収録データを確認すると、最大輝度413nits/平均輝度53nitsと極めて暗い傾向だ。
HDR再生で初めて闇の中のディテールがえぐり出される、ホームシアターシステムの暗部表現の限界に挑むような画作りだ。部屋を全暗、もしくは可能な限り暗くして本作を観れば、CH1の闇の中から静かに現れる漆黒のバットマンの姿に鳥肌が立つこと間違いなし。CH1のバットサインをはじめ、CH4のバイクのヘッドライト、CH15の巨大な爆炎など、闇とコントラストをなす光源の表現もリアル。Dolby Atmosによるサウンドも、アクション場面を中心に活躍するが、全編に通奏低音のように流れる不穏で美しいテーマ曲も絶大なインパクト。
[SPEC]●制作:2022年/米 ●監督:マット・リーヴス ●出演:ロバート・パティンソン、コリン・ファレル、ポール・ダノ 他 ●本編映像:約176分、スコープ、Dolby Vision ●本編音声:英語Dolby Atmos、日本語Dolby Digital 5.1ch 他
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』
前作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』で恐竜たちが解き放たれ、遂に“ジュラシック・ワールド”と化した世界。その生態系が崩壊する危機に立ち向かうべく、『ジュラシック・パーク』、そして『ジュラシック・ワールド』の主人公たちが遂に結集する、シリーズの集大成にして完結作だ。
撮影には、シリーズで伝統的に使用されている35mmカメラが採用されており、デジタル撮影だった前作から一転してフィルムルックに回帰。画面サイズもシネスコから2.20:1の70mmフィルムのIMAXサイズとなり、画面いっぱいの恐竜スペクタクルが楽しめる。今回取り上げた中で唯一のDTS:X収録の作品。第1作が映画史上初のDTS音声収録の作品だったので、今回の仕様も感慨深い。CH4の巨大イナゴの群れの飛来音、CH9のバイクを追うラプトルの群れ、CH12の航空機の上空から翼竜が襲来、全編で恐竜たちの足音や咆哮が量感満点で大迫力に描かれている。
[SPEC]●制作:2022年/米 ●監督:コリン・トレボロウ ●出演:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、ローラ・ダーン 他 ●本編映像:147分、スコープ、Dolby Vision ●本編音声:英語DTS:X、日本語DTS Digital Surround 5.1ch
『SING/シング:ネクストステージ』
コアラのバスター・ムーンが率いるロジータやグンターらは地元で人気を博し、連日満席となったニュー・ムーン・シアター。さらなる夢を実現すべく、一向らはエンタメの聖地へと乗り込む! 6年振りの続編は、画質も音質ともども、前作からますます進化。デフォルメされたキャラクターたちながら、4K UHD BDでは、毛並みや肌、衣裳の質感などが恐ろしいほどに細かく表現されている。
ド派手なステージ演出やラスベガスを思わせる歓楽街のネオンサインも、BD版の映像を大きく凌ぐ発色とコントラストを実現している。CH14からのクライマックスのステージを大画面&3Dサウンドで再生すると、自身も特等席でショーを楽しんでいる気分に浸れる。Dolby Atmosによる臨場感も格別。数々のミュージカル場面で、きっと身体が動き出すことだろう! 前作同様、日本語吹替版の完成度も高いことも大満足。休日にホームシアターで、家族揃って極上のライブ体験を楽しみたくなる一作だ。
[SPEC]●制作:2021年/米 ●監督:ガース・ジェニングス ●声の出演:マシュー・マコノヒー、トリー・ケリー、スカーレット・ヨハンソン 他 ●本編映像:110分、ビスタ、Dolby Vision ●本編音声:英語Dolby Atmos、日本語Dolby Digital 5.1ch 他