[2022-2023]伊尾喜大祐が徹底レビュー!
嵐にガンダム、トップガン! 画質&音質の良さで選んだ4K UHD BDベスト10
『トップガン マーヴェリック』
伝説のパイロットであるマーヴェリックが、米国海軍のエリートパイロット養成学校:トップガンに教官として帰還する……、言わずと知れた『トップガン』の36年振りの続編だ。「おうちで追いトップガン!」とばかりに、2022年のホームシアター市場を大いに盛り上げた超大作。配信版の音声は小型スピーカー用にチューニングされていたが、4K UHD BD版では劇場に匹敵するワイドレンジな轟音が楽しめる。
映像は2.39:1のシネスコ場面は4Kカメラ、1.90:1のIMAX場面は6Kカメラで撮影されている。4Kカメラパートも十分に高精細だが、6Kカメラパートはフォーカス感がより引き締まり、視力が上がったかと錯覚するほど。CH1の空母シーンでは、HDRの効果によりオレンジの陽光が美しく、前作のイメージを見事に踏襲。CH2のマッハ10で飛ぶ超音速機の轟音、CH5やCH9の飛行訓練では縦横無尽に飛ぶ戦闘機群が音場を翻弄。そしてCH12からのクライマックスでは戦闘機群と追撃するミサイル群が音場を埋め尽くし、筆舌に尽くしがたい臨場感で味わえる!
[SPEC]●制作:2022年/米 ●監督:ジョセフ・コシンスキー ●出演:トム・クルーズ、エド・ハリス、マイルズ・テラー 他 ●本編映像:130分、スコープ、Dolby Vision ●本編音声:英語Dolby Atmos、日本語Dolby Digital 5.1ch 他
『NOPE/ノープ』
人里離れた牧場の空に、突如現れた謎の「物体」。『未知との遭遇』から始まる物語は『ジョーズ』の如く変貌し、遂には『新世紀エヴァンゲリオン』を彷彿させる “何か” との対決に?! シネスコの画面サイズを基調に、様々な「事件」のシーンでは映像が上下に拡大して1.78:1のIMAXサイズに変化し、大きなビジュアルインパクトを体感させてくれる本作。
Dolby Atmosによる超絶の3Dサウンドも効果満点で、「ノープ!」(ウソだろ!)な怪事件の真っ只中に観る者を叩きこむ。CH5とCH8では奇怪な音が空を周回し、CH10ではテレビスタジオの阿鼻叫喚、CH12は空高くから重低音を轟かせて襲い来る「物体」など……、これほどまでに天井スピーカーから独立したサウンドが溢れている作品は、他にそうそうあるまい。IMAX劇場に観客が詰めかけただけに、できる限りの大画面と大音量で追体験したい作品だ。
[SPEC]●制作:2022年/米 ●監督:ジョーダン・ピール ●出演:ダニエル・カルーヤ、キキ・パーマー、スティーヴン・ユァン 他 ●本編映像:131分、スコープ、HDR10 ●本編音声:英語Dolby Atmos、日本語Dolby Digital 5.1ch 他
『ブレット・トレイン』
とにかく運の悪い殺し屋・レディバグの使命は、東京発京都行きの弾丸列車=ブレット・トレインからブリーフケースを盗み出すこと。しかしこの列車には、なぜか世界中から殺し屋たちが大結集! 簡単だったはずのミッションは、ひたすら “最悪” へと猛スピードで加速する!
ポップなジャパンカルチャーがクローズアップされた本作だけに、東京のネオン街や客室内の照明、終盤の朝日など、 HDRならではのコントラストと極彩色が彩る画作りとなっている。4.5K/2.6Kカメラでの撮影、4K DIマスターの映像は切れ味が満点で、肌の階調や衣服の質感、車内のインテリアの質感も隅々まで克明に描く。Dolby Atmosの3Dサウンドも豪快かつ緻密なデザイン。通奏低音の如き車内の走行音の包囲感、セリフや銃撃音の豊かな量感に耳が奪われる。超特急が果てしなく暴走するクライマックスは、ホームシアターが激震必至!
[SPEC]●制作:2022年/米国 ●監督:デヴィッド・リーチ ●出演:ブラッド・ピット、ジョーイ・キング、アーロン・テイラー=ジョンソン 他 ●本編映像:約126分、スコープ、Dolby Vision ●本編音声:英語Dolby Atmos、日本語DTS-HD Master Audio 5.1ch 他
『ラストナイト・イン・ソーホー』
60年代英国カルチャーに憧れるエロイーズ。ソーホーで一人暮らしを始めた彼女は、なぜか夜ごとに1965年の世界に迷い込み、歌手志望のサンディと行動するようになるが……、2人の行く末には恐ろしい事件が待っていた。地に足の付いた現代パートとガラリと趣を変える、原色のネオン輝く「スウィンギン・ロンドン」の力強い色彩が印象的な本作。
撮影は35mmカメラで、きめ細かなフィルムグレインがポップで懐かしい映像世界を紡ぎ出す。ヒロインがファッション専攻の学生という設定だけに、生地の素材感も質感も豊かに描かれる。音声はDolby Atmosで収録されており、クラシカルな挿入曲の立体的なリミックスは大きな聴きどころ。さらに効果音はもちろん、セリフまでもアトモス音場に大胆に配置されている。物語の中盤以降では、連続して起こるヒロインの悪夢のような体験を、観る者・聴く者に体感させることに……!
[SPEC]●制作:2021年/英 ●監督:エドガー・ライト ●出演:トーマシン・マッケンジー、アニャ・テイラー=ジョイ、マット・スミス 他 ●本編映像:118分、スコープ、Dolby Vision ●本編音声:英語Dolby Atmos、日本語Dolby Digital 5.1ch 他