PR兄弟機TIGERとの対照的な個性に注目
qdcの手腕が光る一台、「WHITE TIGER」の登場でハイエンドイヤホン選びがまた楽しくなる
IEMブランド「qdc」から、日本限定、かつ300台の数量限定モデル「WHITE TIGER」が登場した。その名前から分かる通り、去年秋に発売された「TIGER」からの派生モデルだ。
ドライバー構成は低域側からBA×2/BA×2/BA×2/静電×2で、TIGERと同様。その名称と外観から単なるカラバリ的なものと誤解されやすいかもしれない。
しかし、実際にはこのWHITE TIGER、独自の個性や強みも備えたモデルに仕上げられている。しかもそれらの個性や強みを、たった一手の変更で生み出しているのが実に見事だ。
その見事な一手とは、TIGERの特徴であったチタン材シェルから “樹脂材シェル” への変更。その一手でWHITE TIGERは、より快適な装着感、新たな音調、さらには価格の引き下げまでを実現している。
前提として、チタンも優れたシェル材だ。頑強で音響特性も好ましく、金属の割に軽量でもある。だが、「金属の割に」の言い回しからわかるように、軽さの点では樹脂には及ばない。TIGERも装着感良好だが、それはさすがqdc!といえるフィット感の高さが、金属の重さという不利を上回ることで実現されている。
しかし、樹脂シェルとの組み合わせこそ、qdcの装着感全力モードであり、それを採用したWHITE TIGERのフィット感や安定感は、ユニバーサルIEM全般で最高クラスといえる。
音調への影響については、まずは製品ページにある以下の記述に注目したい。
「モニターIEMとなるStudioシリーズのエッセンスを加えてチューニング。メタルノズルを採用したことで、TIGERとはまた異なる音の強弱と音の定位に焦点を当てたトーンに」
Studioシリーズとは、同社のスタジオモニター向けラインで、WHITE TIGERと同じく樹脂シェル+メタルノズルを採用している。となるとWHITE TIGERは、Studioシリーズ寄りの音調を狙う意図で樹脂シェルを採用したのか。あるいは他の意図での樹脂シェル採用が先にあって、その特性を生かしてStudioシリーズ寄りの音調にまとめたのか。卵が先か鶏が先か、いずれにせよWHITE TIGERの音調は、樹脂シェルの持ち味を生かしたものと考えられる。
そして直販税込24万7,500円のTIGERに対して、19万8,000円という価格帯を実現。チタンは材料費も加工費も高コストなので、樹脂への変更は大きなコストダウンになるわけだ。しかも、WHITE TIGERのシェルや雲母風フェイスプレートには安っぽさなど皆無、それどころか見ての通りのこの美しさである。
シェルのカラーは、カスタムIEMオプションで選択できないWHITE TIGERのオリジナル色を採用。また、フェイスプレートにもWHITE TIGERオリジナルロゴが配置される。そして、フェイスプレートのエッジ部分は、光を当てるとオーロラのように光る仕様となっており、従来モデル「Anole V14」譲りの特徴といえる。
ここまでが、樹脂シェルで得た強みや個性だが、WHITE TIGERにはもうひとつちょっとした変更点がある。リケーブル端子が、qdc 2pinから0.78mm径CIEM 2pinにされたのだ。前者の方が堅牢で汗の侵入なども防ぎやすい構造ではあるのだが、イヤモニ全般で採用例の多い後者の方がリケーブル製品の選択肢は広い。
両モデルとも標準ケーブルのクオリティが高く、プラグ交換機構でバランス駆動にも対応するため、リケーブルの必要性は低いかもしれない。だがマニアは、必要だからリケーブルするのではない。楽しいからやるのだ。そんなマニア気質にも応える嬉しい仕様と言える。
ではここからは実際に聴いての印象をお伝えしていこう。今回はAstell&KernのハイエンドDAP「KANN MAX」と組み合わせ、バランス駆動にてチェックした。
ドライバー構成は低域側からBA×2/BA×2/BA×2/静電×2で、TIGERと同様。その名称と外観から単なるカラバリ的なものと誤解されやすいかもしれない。
しかし、実際にはこのWHITE TIGER、独自の個性や強みも備えたモデルに仕上げられている。しかもそれらの個性や強みを、たった一手の変更で生み出しているのが実に見事だ。
その見事な一手とは、TIGERの特徴であったチタン材シェルから “樹脂材シェル” への変更。その一手でWHITE TIGERは、より快適な装着感、新たな音調、さらには価格の引き下げまでを実現している。
樹脂材シェルへの変更で得た強みは、フィット感/音質に効果を発揮
前提として、チタンも優れたシェル材だ。頑強で音響特性も好ましく、金属の割に軽量でもある。だが、「金属の割に」の言い回しからわかるように、軽さの点では樹脂には及ばない。TIGERも装着感良好だが、それはさすがqdc!といえるフィット感の高さが、金属の重さという不利を上回ることで実現されている。
しかし、樹脂シェルとの組み合わせこそ、qdcの装着感全力モードであり、それを採用したWHITE TIGERのフィット感や安定感は、ユニバーサルIEM全般で最高クラスといえる。
音調への影響については、まずは製品ページにある以下の記述に注目したい。
「モニターIEMとなるStudioシリーズのエッセンスを加えてチューニング。メタルノズルを採用したことで、TIGERとはまた異なる音の強弱と音の定位に焦点を当てたトーンに」
Studioシリーズとは、同社のスタジオモニター向けラインで、WHITE TIGERと同じく樹脂シェル+メタルノズルを採用している。となるとWHITE TIGERは、Studioシリーズ寄りの音調を狙う意図で樹脂シェルを採用したのか。あるいは他の意図での樹脂シェル採用が先にあって、その特性を生かしてStudioシリーズ寄りの音調にまとめたのか。卵が先か鶏が先か、いずれにせよWHITE TIGERの音調は、樹脂シェルの持ち味を生かしたものと考えられる。
そして直販税込24万7,500円のTIGERに対して、19万8,000円という価格帯を実現。チタンは材料費も加工費も高コストなので、樹脂への変更は大きなコストダウンになるわけだ。しかも、WHITE TIGERのシェルや雲母風フェイスプレートには安っぽさなど皆無、それどころか見ての通りのこの美しさである。
シェルのカラーは、カスタムIEMオプションで選択できないWHITE TIGERのオリジナル色を採用。また、フェイスプレートにもWHITE TIGERオリジナルロゴが配置される。そして、フェイスプレートのエッジ部分は、光を当てるとオーロラのように光る仕様となっており、従来モデル「Anole V14」譲りの特徴といえる。
ここまでが、樹脂シェルで得た強みや個性だが、WHITE TIGERにはもうひとつちょっとした変更点がある。リケーブル端子が、qdc 2pinから0.78mm径CIEM 2pinにされたのだ。前者の方が堅牢で汗の侵入なども防ぎやすい構造ではあるのだが、イヤモニ全般で採用例の多い後者の方がリケーブル製品の選択肢は広い。
両モデルとも標準ケーブルのクオリティが高く、プラグ交換機構でバランス駆動にも対応するため、リケーブルの必要性は低いかもしれない。だがマニアは、必要だからリケーブルするのではない。楽しいからやるのだ。そんなマニア気質にも応える嬉しい仕様と言える。
ではここからは実際に聴いての印象をお伝えしていこう。今回はAstell&KernのハイエンドDAP「KANN MAX」と組み合わせ、バランス駆動にてチェックした。
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