AirPlayで逆に分かりづらくなったワイヤレス音楽再生 − 本当に便利な方法はどれ?
(5)DLNAプレーヤーアプリでNAS内の楽曲を再生し、AirPlayでApple TVに転送
(NAS→iOSデバイス→Apple TV→アンプ)
便利さでは一番なのがコレ。PlugPlayerなどのDLNAアプリを使用してNAS内の楽曲を再生。さらにその音声をAirPlayによってApple TVに転送し、再生する方法だ。NASとApple TVのあいだを、iOSデバイスで中継すると考えるとわかりやすい。
わりと単純な結論に至るまでにずいぶん引っ張ったな、と言われるとその通りなのだが、AirPlayが登場するまでは、このような経路でデータを送ることができなかったことを思い出していただきたい。
この方法の最大のメリットは、NAS内のライブラリすべてを利用できること。ロスレスや非圧縮で音楽データを管理している場合、データ量はすぐに膨大になってしまう。またデータ量が多いために、iOSデバイスと同期する時間もバカにならない。NASのライブラリに直接アクセスすれば、データの大きさなど気にせず、ライブラリにフルアクセスできるというわけだ。
また、PCやMacを立ち上げる必要がないというのも(しつこいようだが)個人的には非常に嬉しいポイントだ。PCを引っ張り出したり、起動するのを待つなどといった余計な動作や手間が不要になり、iOSデバイスとApple TVさえあればすぐに再生を始められるのは、とても快適だ。
ということで、いまは(5)の方法をメインに使っている。これなら、PCがどういう環境にあろうが、NASさえ落ちていなければ再生できるので、妻も理解しやすかったようだ。
なおiOSアプリからのAirPlay音声ストリーミングには、非常に多くのアプリが対応している。YouTubeやradikoなどの音声をAirPlayで聴くこともできるので、様々な応用が考えられそうだ。
なお(5)の方法は、Apple TVをネットワークオーディオプレーヤーに置き換え、さらにAirPlayを省略(データを直接プレーヤーに送信)すると、一般的なネットオーディオでよく用いられるスタイルになる。つまり、NAS(DMS)からネットワークオーディオプレーヤー(DMR)に楽曲を転送し、それをDLNAコントローラーアプリ(DMC)で操作するという流れだ。
これならAirPlayを使った方法のように、音声データがiOSデバイスを一旦経由する必要がなくなり、音質的にも有利なことは間違いない。
AirPlayを使うメリットも、もちろんある。AirPlayがアップル製の規格なので、アップルロスレスなど、多くのネットワークオーディオプレーヤーがDLNA経由ではサポートしていないファイルを再生できる。すでに膨大なアップルロスレスのライブラリがあるという方にとっては、AirPlayは非常に魅力的な機能だろう。また、iOSデバイス内の音声データを直接飛ばすのであれば、手軽で便利、かつデータが流れる経路もシンプルなのでオススメだ。
ワイヤレス音楽再生のスタイルはそろそろ固まったかな…と思っていた矢先、今度は3月11日に公開予定のiOS 4.3(関連ニュース)に「iTunesホームシェアリング」機能が追加されることが発表された。
iTunesホームシェアリングでは、iOSデバイスからPC/Mac内のiTunesライブラリにアクセスし、直接再生することができる。アップルのサイトに掲載されている画面を見ると、AirPlayも利用できるようなので、また同じような機能が、別のかたちで利用可能になりそうな気配だ。面白そうな機能であることは確かで、当サイトでもくわしいレポートをお届けする予定だが、これでまた混乱する人が増えそうだな、とも感じてしまう。
少なくともワイヤレス音声再生に関して言うと、iOSは今のところ、便利さとわかりやすさを両立させることができていないと感じる。徐々に機能を追加しているため、インターフェースや機能がつぎはぎ気味になっている印象が否めない。
今後のアップデートで思い切って機能を整理し、このあたりのバランスが改善されることに期待したい。