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8K/4K放送までのショート・アンド・ワインディング・ロード

公開日 2013/03/27 10:17 編集部:風間雄介
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■8K/4K放送への課題は山積。4K放送をどう位置づけるか?

ただし、今後の8K/4K放送に課題が無いわけではない。むしろ山積していると表現した方が正しいだろう。

まずユーザー側の視点に立ってみると、4Kと8Kの放送がそれほど時間をおかずに開始されるため、どの時点で対応製品を買うべきか見極めが難しくなることが挙げられる。これはかなり深刻な問題だ。折しも今年は、4Kテレビが本格的に離陸しようという年である。テレビメーカー各社は、フルHDテレビの買い替えなどのため、4Kテレビを本気で売り込もうとしており、実際に魅力的な製品が続々と登場してくるはずだ。当サイト読者のようなAVファンはこういった製品を積極的に購入するだろうが、一般ユーザーの場合、8K放送がそのうち始まるのであれば、それが開始されるまで購入するのを控えようと考えてもおかしくない。むしろ、そう考えるほうが多数派ではないか。

すぐに旧世代のテレビになると分かっているものに投資しようというのは、高画質というものにそれなりの対価を支払っても良いと考えるAVファンだけ、ということになりかねない。8Kという将来像を語ることが、せっかくの4Kムーブメントに水を差す可能性があるというのは何とも皮肉だ。

現在のフルHDから4K、そして4Kから8Kという移行を、いかにスムーズに、メーカーにとってもユーザーにとってもメリットのあるかたちで行えるか。特にその中間の解像度である4Kをどう位置づけ、プロモートしていくかを考えるのは、喫緊の課題と言えるだろう。

■未決定の技術仕様が多く、放送局の投資負担も問題に

技術的な課題もまた多い。冒頭紹介した「奇跡」という言葉に象徴されるように、課題だらけと言っても良いかもしれない。まず受像機の問題。4K解像度のテレビはすでに発売されているが、8K解像度のディスプレイは、まだ展示会で超大型のPDPなどが展示されている程度にとどまっている。この分野の技術の進化は早いとは言え、試験放送の目標としている3年以内に市販の8Kテレビが登場するというスケジュールは、かなり実現が難しそうだ。

次ページ放送事業者の投資負担をどう軽減するか?

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