ボーズイヤホンなどが今後Snapdragon Soundに対応へ
クアルコム、新世代モバイル向け「Snapdragon 8 Gen 2」発表。AIと画像処理強化で「他社SoCを圧倒するパフォーマンス」
■基本性能の向上によりゲーミング体験の向上を引き出す
モバイル向けチップセットの高性能化が進み、スマホでも据え置き型のゲーミングコンソールを凌ぐほど快適なゲーミング体験が楽しめるようになった。クアルコムでは2018年に独自の「Snapdragon Elite Gaming」ブランドを立ち上げ、SnapdragonシリーズのSoCを中心としたモバイルゲーミングの環境を整えてきた。クアルコムのブランディングに賛同するメーカーの端末も近年はさらに種類と数が増えている。
Snapdragon 8 Gen 2はAdreno GPUが約25%高速化し、約45%の省電力化を果たした。Kyro CPUも性能コアが約35%、効率コアが約40%の性能アップを達成している。その効果はスムーズなゲーミング体験を引き出すことにもつながっている。発表会のステージでSnapdragon 8 Gen 2のプレゼンテーションを行ったQualcomm Technologies社のChris Patrick氏は、「Gen 2チップのグラフィックスパフォーマンスは他社のSoCを圧倒するレベル」であることを強調した。
最新のチップセットはモバイルプラットフォームとして初めて、Khronos Groupの3DグラフィックスAPI「Vulkan 1.3」に対応。リアルタイム3D制作ツールの「Unreal Engine 5」による高精細なデジタルヒューマン制作、高度なレイトレーシングのグラフィクス効果も軽々と処理できるほどに、Gen 2チップセットは高い性能を獲得した。
■Snapdragon Soundは空間オーディオやダイナミックヘッドトラッキングを取り込んだ
Snapdragon 8 Gen 2には、5G通信以外のWi-Fi、Bluetoothによる無線通信を統合した14nmのサブシステム「Qualcomm FastConnect 7800」が統合される。
Wi-Fiは5GHz帯と6GHz帯の2つの無線帯域を同時に活用して、最大5.8Gbpsの高速・低遅延、ジッターレスな無線通信を実現するクアルコム独自のHBS(High Band Simultaneous)マルチリンクテクノロジーに対応する。6GHz帯が使えない環境では5GHz帯を複数束ねて、最大4.3Gbpsの実行速度を確保する。
Snapdragon Soundは空間オーディオによる立体音響体験や、センサーにより集めたユーザーのモーション情報とオーディオコンテンツを同期させるダイナミックヘッドトラッキングのテクノロジーを新たに取り込む。
現行Gen 1のチップセットと同様、クアルコム独自のBluetoothオーディオコーデックであるaptX Adaptiveと、最大44.1kHz/16bitのロスレス伝送に対応するaptX Lossless、Bluetoothオーディオデバイスによるハンズフリー通話音質を向上させるサブセットのaptX Voiceへの対応は、Gen 2のチップにも踏襲される。
今回のクアルコムが実施したイベントでは、ボーズの完全ワイヤレスイヤホン「QuietComfort Earbuds 2」が、2023年春に提供を予定するソフトウェア・アップデートによりSnapdragon Soundに対応することが明らかになった。新たにSnapdragon Soundに対応するスマートフォンとペアリングすることで、aptX AdaptiveやaptX Losslessによる高音質リスニングが楽しめる。
またSnapdragon Soundについては、ボーズのほかにも今後60以上のブランドから、70を越える数のデバイスが対応を予定する。