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公開日 2015/01/09 13:55

佐渡 裕氏特別インタビュー:復興への祈りを込めた《ローマ三部作》、ハイレゾ配信開始

昨年1月17日の演奏会をライブ録音
山之内 正
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2014年1月17日、兵庫県立芸術文化センターにて、佐渡裕さん率いる同センターのオーケストラの演奏が行われた。阪神大震災の起きた特別な日に行われたこの演奏は、東日本大震災の復興に向けたメッセージでもあった。収録音源は本日よりハイレゾ配信がスタート。オーディオファンにとっても注目される作品であることは間違いない。コンサートの直前、演奏に臨む佐渡裕さんに山之内正がインタビューした。

佐渡裕が特別な思いを持つオーケストラ

指揮者の仕事はステージの上だけでは終わらない。作品の研究や作曲家との調整など演奏と直結する仕事以外にも、オーディションやインタビューなど聴衆から見えないところでたくさんの仕事をこなさなければならない。さらに劇場を代表する芸術監督ともなればプログラムの立案やメンバーの人選など、無数の仕事が日々待ち受けている。

多忙な指揮者のなかでも日本で一番忙しい時間を過ごしていると思われるひとりが、佐渡裕さんだ。兵庫県立芸術文化センターの芸術監督としての仕事に加えて国内外のオーケストラへの客演を多数こなし、オペラ公演のプロデュースや執筆活動、さらに『題名のない音楽会』(テレビ朝日系列)の司会者としても親しまれている。


佐渡 裕 氏(C)飯島隆
京都市立芸術大学卒業。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、パリ管弦楽団、北ドイツ放送交響楽団、ロンドン交響楽団など欧州の一流オーケストラに毎年多数客演。2015年9月よりオーストリアを代表する、100年超の歴史を持つトーンキュンストラー管弦楽団音楽監督に就任。国内では兵庫県立芸術文化センター芸術監督、シエナ・ウインド・オーケストラ首席指揮者、「題名のない音楽会」(テレビ朝日系列)の司会も務める。エイベックス・クラシックスよりCDを多数リリース。
オフィシャルファンサイト:http://yutaka-sado.meetsfan.jp/


録音活動にも精力的に取り組み、特にシエナ・ウインド・オーケストラのCDは吹奏楽ファンから大変な人気がある。そして、同オーケストラのディスクを多数リリースしているエイベックス。クラシックスから発売される注目の新譜が、レスピーギの《ローマ三部作》だ。オーケストラは自ら創設した兵庫芸術文化センター管弦楽団(以下PACオケ)。2014年の1月17日に同センターの大ホールで行われたコンサートをライヴで収録し、ハイレゾ音源とディスクで販売される。このインタビューはその記念すべき演奏会の直前に行われたものだ。

レスピーギ:ローマの祭り、ローマの噴水、ローマの松
佐渡裕(指揮)/兵庫芸術文化センター管弦楽団
レーベル:avex-CLASSICS
配信形式:WAC/FLAC 96kHz/24bit、DSD 2.8MHz
いずれも3,240円(3月31日まで特別価格1,944円


もちろん1月17日は特別な記憶と結びついている。1995年のこの日に阪神淡路大震災が起き、西宮の街も大きな被害を受けた。兵庫県立芸術センターはその体験を乗り越えるための文化復興のシンボルとして2005年の秋にオープン。そして、創設当時から芸術監督として采配を振るう佐渡裕さんが作った同センター専属のオーケストラがPACオケだ。このオーケストラの在り方について、佐渡さんには特別な思いがある。


(C)飯島隆
「2015年で震災から20年目、災害の地に劇場とオーケストラが誕生してから10年目を迎えます。その間、街の人が楽しみにし、心のビタミンをもらえる場所としてやってこられたことが誇りですね。犠牲者のことを思いながら、これまで17日にはレクイエムなどを演奏してきましたが、今回はレスピーギの《ローマ三部作》をやります。まさにオーケストラの醍醐味を味わえる作品を演奏し、たくさんの音楽の喜び、オーケストラの面白さをお客さんに届けたいのです。

今日は最後に《ローマの松》を演奏しますが、東北では陸前高田の一本松が復興のシンボルです。震災のあった阪神淡路の地域に建った劇場は東北の復興のモデルの地にならなければならない。ある種の祈りを東北に届けるということが僕の頭のなかにはいつもあります。東北が復興を遂げるにはまだ時間が掛かりますが、その姿を西宮から発信していきたいんです。」


PACオケは普通のオーケストラとは成り立ちが異なり、優れた演奏家を育成するアカデミーとしての役割も担っている。オーディションで選ばれた世界各地のメンバーは20~30代の若手で構成され、半数が日本以外の国から兵庫に集結。兵庫PAC管での最長3年間に及ぶ在籍期間中に演奏家としてのスキルを磨き上げ、次のステップに踏み出す。芸術監督の佐渡さんが考案し、実践してきた独自のシステムを、オーケストラの演奏にどんな成果をもたらすのだろう。

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