公開日 2015/10/24 21:20
<ヘッドホン祭>来日中の米Westone幹部にインタビュー。3Dスキャン耳型採取も体験
ブース内で3Dスキャン実施中
フジヤエービック主催のヘッドホン/イヤホン関連イベント「秋のヘッドフォン祭 2015」が東京・中野サンプラザにて開催されている。テックウインドのブースでは、Westoneのイヤホン各種をラインナップ。カスタムIEMのハイエンドモデル「ESシリーズ」のほか、8月にリリースされたばかりのエントリーモデル「Sシリーズ」、ユニバーサルモデル「Wシリーズ」などを用意して、それぞれの試聴デモを行っている。
さらに今回のWestoneブースには、米Westone APACマネージャー ハンク・ネザートン氏が登場。同氏にインタビューを行うことができたので、その模様をお伝えしたい。
なお今回は、ブース内でカスタムIEM入門機Sシリーズを注文した方を対象として、特別に3Dスキャナーを使用した耳型採取を行っていることもポイントだ。そこでネザートン氏に、3DスキャンとSシリーズの開発について中心に話を伺ってみた。ちなみに取材にあたり、記者も3Dスキャンによる耳型採取を特別に体験させて頂いた。
■ここ1年で人の耳を直接3Dスキャンできるようになった
−− 今回は、3Dスキャンによる耳型採取を体験させて頂いてありがとうございました。片耳2〜3分ずつで終わって、通常の耳型採取と比べてとても手軽でした。さっそく伺いたいのですが、御社では3Dスキャンによる耳型採取にいつ頃から取り組んでいたのですか?
ネザートン氏: Westoneでは、もともと補聴器製品向けに10〜15年くらい前からスキャナー技術を取り入れていました。しかし耳を直接3Dスキャンする技術は確立されておらず、採取された耳型を3Dスキャンしてデータ化するという手法で長らく取り組んできたんです。一般向けに、人の耳を直接3Dスキャンしてインプレッションをデータ化できるようになったのは、ここ1年ほどのことです。
−− そうだったんですね。こんなに手軽に耳型採取ができるようになったのは、ユーザーにとっては嬉しいことですね。
ネザートン氏: この方法であれば耳に負担が掛からないですし、さらに本国へはデータを送るだけで良いので、製品製造までにかかる時間も短縮できます。従来の方法では、採取した耳型を郵送するという時間と手間がかかりましたが、これを省略できることで製品完成までの時間を短くできるわけです。
−− ユーザーにとっては、少しでも早く製品を手にしたいのでありがたいですね。ちなみにデータ化されるということは、一度耳型採取をすれば、今後は同じデータを元にWestoneのカスタムIEMを作れるということでしょうか?
ネザートン氏: そうです。3DスキャンしたインプレッションデータはWestoneのデータベースに蓄積されますので、そのあとはWestone製カスタムIEMを作る際にいちいち耳型採取をしなくても良くなります。
−− それはすごく便利ですよね。ちなみに、今回のイベントでは特別に実施された形でしたが、まだ日本では3Dスキャンサービスを本格展開されていないですよね。今後、日本での本格展開は考えていますか? すごく便利なので、実施されたら多くの方が喜ばれると思います。
ネザートン氏: 色々と調整も必要なのではっきりは申し上げられませんが、できるだけ早く、可能であれば年内にもスタートしたいとは思っています。ちなみに8月から日本で発売開始したカスタムIEMの入門機 Sシリーズは、3Dスキャンによる耳型採取で作るイヤモニ第一弾としてラインナップした製品なんです。3Dスキャンの技術ありきで製品企画がスタートしています。ただ、日本では3Dスキャンをスタートしていないので、現在では従来の耳型採取をして頂くことになっています。それもあるので、日本でも3Dスキャンをできるだけ早くスタートさせたいと思っています。
−− ぜひ期待しています。では続いて、そのSシリーズについて伺いたいと思います。
■入門機として低価格化しながら、妥協せず“Westoneらしい音”を追求したSシリーズ
−− Sシリーズは、Westoneから登場したカスタムIEMのエントリーモデルということで話題を集めました。まず、カスタムIEMながら約34,000円前後から作れるという低価格をどうやって実現したのですか?
ネザートン氏: Sシリーズは、素材をフルアクリルにしたことや、フェースプレート交換ができない仕様など、ハイエンド機のESシリーズと比べてオプションが少なくなっています。これによって、低コスト化を実現しました。音楽を聴くのは好きでも、カスタムIEMにまで手を出すのはためらわれるというようなエントリー層が、はじめてのカスタムIEMに選びやすいようにしています。これによって、Westoneのユーザー層を広げていけたらと思います。
−− 音質面についてはどうでしょう?
ネザートン氏: 内部のドライバーはESシリーズとは異なるものを使っていますが、音質には妥協していません。低コスト化は、あくまでも筐体やオプション面だけの工夫です。エントリーモデルでも“Westoneらしい音”を再生できるように工夫しました。
−− “Westoneらしい音”とは、具体的にどういった音でしょうか?
ネザートン氏: ESシリーズ/Wシリーズと共通することで、一言でいえばニュートラルでバランスの良い音です。1つの周波数帯を無理に強調するというようなことがなく、原音に忠実な再生を行い、聴き疲れしない。それが私たちの考える“Westoneらしい音”ですね。Sシリーズにもその思想を投入しています。
−− エントリー機であっても、音質のクオリティという核の部分は上位機種と変わらずWestoneの思想を受け継いでいるわけですね。ハイエンド機からエントリー機まで製品が出揃って、Westoneユーザーの裾野拡大が期待できますね。
ネザートン氏: そうですね。日本のユーザーさんには、いつもWestone製品についてたくさんのアイデアや声を頂いていて、とてもありがたく思っています。WestoneのDNAとして、“ユーザーからのリクエストには応える”という思想があるんです。10月からはESシリーズのオプションとして、ユーザーが自分で用意したオリジナルデザインをレーザーエッチングで彫刻できるよう「カスタムレーザーエッチング」をスタートしましたが、これもユーザーからの要望が多かったために実現したサービスなんです。特に日本からの要望は多かったですよ。
−− そうなんですね。では最後に、そんな日本のヘッドホン/イヤホンファンに向けてぜひメッセージをお願いします。
ネザートン氏: 今回のイベントでも、本当に多くの方がブースに来て下さっています。日本のオーディオファンの皆さんは、確実にアメリカよりも熱心ですね。WestoneのカスタムIEMには1台ごとにシリアル番号が入りますが、これまでのデータベースを見ると日本ユーザーの数が一番多いんですよ。これからもぜひ応援して頂きたいです。
さらに今回のWestoneブースには、米Westone APACマネージャー ハンク・ネザートン氏が登場。同氏にインタビューを行うことができたので、その模様をお伝えしたい。
なお今回は、ブース内でカスタムIEM入門機Sシリーズを注文した方を対象として、特別に3Dスキャナーを使用した耳型採取を行っていることもポイントだ。そこでネザートン氏に、3DスキャンとSシリーズの開発について中心に話を伺ってみた。ちなみに取材にあたり、記者も3Dスキャンによる耳型採取を特別に体験させて頂いた。
■ここ1年で人の耳を直接3Dスキャンできるようになった
−− 今回は、3Dスキャンによる耳型採取を体験させて頂いてありがとうございました。片耳2〜3分ずつで終わって、通常の耳型採取と比べてとても手軽でした。さっそく伺いたいのですが、御社では3Dスキャンによる耳型採取にいつ頃から取り組んでいたのですか?
ネザートン氏: Westoneでは、もともと補聴器製品向けに10〜15年くらい前からスキャナー技術を取り入れていました。しかし耳を直接3Dスキャンする技術は確立されておらず、採取された耳型を3Dスキャンしてデータ化するという手法で長らく取り組んできたんです。一般向けに、人の耳を直接3Dスキャンしてインプレッションをデータ化できるようになったのは、ここ1年ほどのことです。
−− そうだったんですね。こんなに手軽に耳型採取ができるようになったのは、ユーザーにとっては嬉しいことですね。
ネザートン氏: この方法であれば耳に負担が掛からないですし、さらに本国へはデータを送るだけで良いので、製品製造までにかかる時間も短縮できます。従来の方法では、採取した耳型を郵送するという時間と手間がかかりましたが、これを省略できることで製品完成までの時間を短くできるわけです。
−− ユーザーにとっては、少しでも早く製品を手にしたいのでありがたいですね。ちなみにデータ化されるということは、一度耳型採取をすれば、今後は同じデータを元にWestoneのカスタムIEMを作れるということでしょうか?
ネザートン氏: そうです。3DスキャンしたインプレッションデータはWestoneのデータベースに蓄積されますので、そのあとはWestone製カスタムIEMを作る際にいちいち耳型採取をしなくても良くなります。
−− それはすごく便利ですよね。ちなみに、今回のイベントでは特別に実施された形でしたが、まだ日本では3Dスキャンサービスを本格展開されていないですよね。今後、日本での本格展開は考えていますか? すごく便利なので、実施されたら多くの方が喜ばれると思います。
ネザートン氏: 色々と調整も必要なのではっきりは申し上げられませんが、できるだけ早く、可能であれば年内にもスタートしたいとは思っています。ちなみに8月から日本で発売開始したカスタムIEMの入門機 Sシリーズは、3Dスキャンによる耳型採取で作るイヤモニ第一弾としてラインナップした製品なんです。3Dスキャンの技術ありきで製品企画がスタートしています。ただ、日本では3Dスキャンをスタートしていないので、現在では従来の耳型採取をして頂くことになっています。それもあるので、日本でも3Dスキャンをできるだけ早くスタートさせたいと思っています。
−− ぜひ期待しています。では続いて、そのSシリーズについて伺いたいと思います。
■入門機として低価格化しながら、妥協せず“Westoneらしい音”を追求したSシリーズ
−− Sシリーズは、Westoneから登場したカスタムIEMのエントリーモデルということで話題を集めました。まず、カスタムIEMながら約34,000円前後から作れるという低価格をどうやって実現したのですか?
ネザートン氏: Sシリーズは、素材をフルアクリルにしたことや、フェースプレート交換ができない仕様など、ハイエンド機のESシリーズと比べてオプションが少なくなっています。これによって、低コスト化を実現しました。音楽を聴くのは好きでも、カスタムIEMにまで手を出すのはためらわれるというようなエントリー層が、はじめてのカスタムIEMに選びやすいようにしています。これによって、Westoneのユーザー層を広げていけたらと思います。
−− 音質面についてはどうでしょう?
ネザートン氏: 内部のドライバーはESシリーズとは異なるものを使っていますが、音質には妥協していません。低コスト化は、あくまでも筐体やオプション面だけの工夫です。エントリーモデルでも“Westoneらしい音”を再生できるように工夫しました。
−− “Westoneらしい音”とは、具体的にどういった音でしょうか?
ネザートン氏: ESシリーズ/Wシリーズと共通することで、一言でいえばニュートラルでバランスの良い音です。1つの周波数帯を無理に強調するというようなことがなく、原音に忠実な再生を行い、聴き疲れしない。それが私たちの考える“Westoneらしい音”ですね。Sシリーズにもその思想を投入しています。
−− エントリー機であっても、音質のクオリティという核の部分は上位機種と変わらずWestoneの思想を受け継いでいるわけですね。ハイエンド機からエントリー機まで製品が出揃って、Westoneユーザーの裾野拡大が期待できますね。
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