公開日 2017/03/02 10:00
ソニーの技術 × 独創的アイデア。ambie“耳を塞がないイヤホン”開発者に話を聞いた
<山本敦のAV進化論 第125回>
“耳を塞がないイヤホン”「ambie sound earcuffs」が発表されて以来、大きな話題を呼んでいる。ソニーのオーディオ技術が投入された商品ということで本機に注目している方もいるかもしれない。今回はambie(株)を訪問し、開発者である三原良太氏に「ambie sound earcuffs」がどんな製品なのか、詳しくうかがってきた。
まずambieという会社の成り立ちを振り返ろう。設立は今年の1月11日。ソニーのオーディオやテレビなどの製品を開発するソニービデオ&サウンドプロダクツ(株)と、ベンチャーキャピタルのWiL, LLC.の共同出資によって誕生した。
三原氏はもともとソニーでヘッドマウントディスプレイ「HMZシリーズ」の回路設計や、Bluetoothイヤホンの設計を担当していたというエンジニアだ。ソニーはいまグループ企業の資産を活かしたオープンイノベーションの強化に力を注いでいるが、ambieの誕生はその一例だ。
ソニーとWiLとのコラボレーションが実現した事例として、ほかにスマートロック「Qrio(キュリオ)」などの製品もあるが、今回の「ambie sound earcuffs(以下:ambie)」は、三原氏が起案したアイデアがソニービデオ&サウンドプロダクツの中で注目され、WiLの出資を受けてスピンアウトを果たしたというストーリーだ。現在は三原氏やほかのスタッフで構成されるチームがambieのプロジェクトを動かしている。
ambieの社名は「ambience=環境・雰囲気」から来ている。最初のプロダクトであるambieは、じっくりと耳を傾けて聴くというより、周囲の音や人の声も聞きながら音楽を楽しむための製品であることからも、社名に込められたブランドのコンセプトが浮き彫りになってくる。
余談だが、ソニーは過去にも一風変わったスタイルで音楽を楽しむイヤホンやヘッドホンを形にしてきたブランドだ。筆者が最も強烈に記憶しているのは2007年に発売された“パーソナルフィールドスピーカー”「PFR-V1」だ。
ヘッドバンドの先端に装着した小型の球体スピーカーを2台、耳の前にぶら下げるように装着して、より開放感溢れるヘッドホンサウンドを楽しむという型破りなオーディオ機器だった。当然、聴いている音楽はかなり周囲に漏れるので、アウトドアで使うにはかなりの勇気と周囲への気配りが必要だった。
ほかにも最近の商品としてはネックバンドのように肩に乗せて音を聴く“Future Lab Program”のコンセプトモデル「N」(関連ニュース)がある。それぞれの製品に三原氏は関わっていたのか聞いてみた。
「いえ、私はいずれの製品にも関わったことはありません。ambieの場合、音楽リスニングの先端技術を取り込むことを目指したわけではなく、既にある技術を工夫して商品を作りたいと考えました。完成した商品の原理も、ダイナミック型ドライバーが鳴らしたサウンドを音道管を通して耳に届けるというごくシンプルなものですが、斬新な音楽体験を実現できたと自負しています」(三原氏)。
そのこだわりは「ずっと音楽を聴ける環境」を叶えるオーディオであると三原は語る。「通常のイヤホンやヘッドホンでは、音楽を心地よく楽しむことはできますが、一方では外の音が聞こえなくなってしまいます。長時間身につけている時の閉塞感が辛いという声を聞くこともありました。そこで、“外の音に音楽を添える”という見方から形にしてきた製品がambieです」。
三原氏が語っているように、ambieは複雑な技術を詰め込んだ製品ではないが、そのコンセプトを実現するためのプロダクトデザインは時間をかけて練り上げてきたものだという。カーブした音道管は“音を伝える”ための役割と同時に、“イヤーカフ”と呼ばれる耳に着けるアクセサリーのような感覚で耳に装着して安定するデザインとして機能する。
三原氏は何度もプロトタイプを作りながら形状を追い込んできた。「耳型の模型は人肌と摩擦の具合が違うためリアルな検証が難しかったので、形状の違うプロトタイプを用意して、多くの方々に装着してもらいながらフィールドテストを繰り返してきました」と三原氏。肌に触れたときの痛みや不快感が軽減されるように、ハウジングは薄い樹脂製のジャケットでカバーされている。
本体には9mm口径のダイナミック型ドライバーが1基、開口部を音道管の側に向けて配置されている。ドライバーには2015年10月に発売されたh.earシリーズのイヤホン「MDR-EX750シリーズ」にも搭載されている、外磁型磁気回路が採用されている。9mmという比較的小口径のドライバーでも十分に高い感度を得ることを狙ったものだ。装着感とのバランスを考えれば、ドライバーのサイズはできる限り小さな方が有利だからという理由もある。
音をチューニングする際に重視したポイントもambieらしくユニークだ。「音楽だけでなく、外の音もはっきりと聞こえるようにチューニングしました。低音域や高音域は外の環境音に混ざると減衰してしまうので、そこを無理に増幅せず中音域をきれいに聴こえやすくなるようチューニングしています」と三原氏は説明する。
まずambieという会社の成り立ちを振り返ろう。設立は今年の1月11日。ソニーのオーディオやテレビなどの製品を開発するソニービデオ&サウンドプロダクツ(株)と、ベンチャーキャピタルのWiL, LLC.の共同出資によって誕生した。
三原氏はもともとソニーでヘッドマウントディスプレイ「HMZシリーズ」の回路設計や、Bluetoothイヤホンの設計を担当していたというエンジニアだ。ソニーはいまグループ企業の資産を活かしたオープンイノベーションの強化に力を注いでいるが、ambieの誕生はその一例だ。
ソニーとWiLとのコラボレーションが実現した事例として、ほかにスマートロック「Qrio(キュリオ)」などの製品もあるが、今回の「ambie sound earcuffs(以下:ambie)」は、三原氏が起案したアイデアがソニービデオ&サウンドプロダクツの中で注目され、WiLの出資を受けてスピンアウトを果たしたというストーリーだ。現在は三原氏やほかのスタッフで構成されるチームがambieのプロジェクトを動かしている。
ambieの社名は「ambience=環境・雰囲気」から来ている。最初のプロダクトであるambieは、じっくりと耳を傾けて聴くというより、周囲の音や人の声も聞きながら音楽を楽しむための製品であることからも、社名に込められたブランドのコンセプトが浮き彫りになってくる。
余談だが、ソニーは過去にも一風変わったスタイルで音楽を楽しむイヤホンやヘッドホンを形にしてきたブランドだ。筆者が最も強烈に記憶しているのは2007年に発売された“パーソナルフィールドスピーカー”「PFR-V1」だ。
ヘッドバンドの先端に装着した小型の球体スピーカーを2台、耳の前にぶら下げるように装着して、より開放感溢れるヘッドホンサウンドを楽しむという型破りなオーディオ機器だった。当然、聴いている音楽はかなり周囲に漏れるので、アウトドアで使うにはかなりの勇気と周囲への気配りが必要だった。
ほかにも最近の商品としてはネックバンドのように肩に乗せて音を聴く“Future Lab Program”のコンセプトモデル「N」(関連ニュース)がある。それぞれの製品に三原氏は関わっていたのか聞いてみた。
「いえ、私はいずれの製品にも関わったことはありません。ambieの場合、音楽リスニングの先端技術を取り込むことを目指したわけではなく、既にある技術を工夫して商品を作りたいと考えました。完成した商品の原理も、ダイナミック型ドライバーが鳴らしたサウンドを音道管を通して耳に届けるというごくシンプルなものですが、斬新な音楽体験を実現できたと自負しています」(三原氏)。
そのこだわりは「ずっと音楽を聴ける環境」を叶えるオーディオであると三原は語る。「通常のイヤホンやヘッドホンでは、音楽を心地よく楽しむことはできますが、一方では外の音が聞こえなくなってしまいます。長時間身につけている時の閉塞感が辛いという声を聞くこともありました。そこで、“外の音に音楽を添える”という見方から形にしてきた製品がambieです」。
三原氏が語っているように、ambieは複雑な技術を詰め込んだ製品ではないが、そのコンセプトを実現するためのプロダクトデザインは時間をかけて練り上げてきたものだという。カーブした音道管は“音を伝える”ための役割と同時に、“イヤーカフ”と呼ばれる耳に着けるアクセサリーのような感覚で耳に装着して安定するデザインとして機能する。
三原氏は何度もプロトタイプを作りながら形状を追い込んできた。「耳型の模型は人肌と摩擦の具合が違うためリアルな検証が難しかったので、形状の違うプロトタイプを用意して、多くの方々に装着してもらいながらフィールドテストを繰り返してきました」と三原氏。肌に触れたときの痛みや不快感が軽減されるように、ハウジングは薄い樹脂製のジャケットでカバーされている。
本体には9mm口径のダイナミック型ドライバーが1基、開口部を音道管の側に向けて配置されている。ドライバーには2015年10月に発売されたh.earシリーズのイヤホン「MDR-EX750シリーズ」にも搭載されている、外磁型磁気回路が採用されている。9mmという比較的小口径のドライバーでも十分に高い感度を得ることを狙ったものだ。装着感とのバランスを考えれば、ドライバーのサイズはできる限り小さな方が有利だからという理由もある。
音をチューニングする際に重視したポイントもambieらしくユニークだ。「音楽だけでなく、外の音もはっきりと聞こえるようにチューニングしました。低音域や高音域は外の環境音に混ざると減衰してしまうので、そこを無理に増幅せず中音域をきれいに聴こえやすくなるようチューニングしています」と三原氏は説明する。
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