PR 公開日 2024/09/17 06:30
【特別対談】山之内 正×岩元秀明(AV Kansai)が語るモニターオーディオ&プライマーの魅力
AV Kansai京都店にて対談
カーオーディオやホームシアターの世界で絶大な知名度を誇る専門ショップ、AV Kansai。同店は大阪・兵庫・奈良に4店舗を展開するが、昨年6月には京都店をオープンさせた。
この京都店はホームオーディオにも力を注いでおり、1Fフロアにはじっくりと音楽が楽しめるホームオーディオ用の試聴室も完備されている。その新店舗を山之内 正氏が訪問。AV Kansai代表の岩元秀明さんにホームオーディオへの愛情を語っていただくとともに、京都店に導入されたMONITOR AUDIO(モニターオーディオ)とPRIMARE(プライマー)の製品について、その魅力を語り合っていただいた。
山之内 AV Kansaiはカーオーディオの専門店ですが、岩元さんは最初はホームオーディオのお店をやりたかったとお聞きしました。個人的にも好きだったということですか?
岩元 中学校時代から好きでした。当時は大阪日本橋に行ってはオーディオ漬けの日々で、レコードを買うためにバイトをするような生活でした。働けるようになってお金を貯めてタンノイの「GRF」を買ったのが初めですね。オーディオがずっと好きで、オーディオ屋さんになりたかったのですが、普通はできませんよね?展示するにもお金がかかりますから。そんな中で車も好きでしたし、カーオーディオだったら初期コストはあまりかからないということで、カーオーディオからスタートしたのです。
山之内 まずはカーオーディオを中心にはじめて、ホームシアターやホームオーディオへとだんだんと広げていった感じですか?
岩元 はい。カーオーディオの方である程度の知名度が上がってきたところで、いまから25年くらい前からホームの分野にも参入しました。でも当初はカーオーディオのイメージが強かったですし、老舗のオーディオショップに通っているお客様からすると「こんな若造に何が分かるのか」という印象もあったと思います。そこでホームオーディオの世界に参入していく手段として、まずはホームシアターからはじめたのです。ホームシアターならホームオートメーションやライティングコントロールなど老舗の方たちがなかなか手を出せない分野の仕事があったので。まずはホームシアターに力を入れ始めました。
山之内 カーオーディオとホームシアターをはじめて、そこからいよいよ念願のホームオーディオのお店を展開されるようになったわけですが、何かきっかけがあったのでしょうか?
岩元 ずっとやりたかったことですから。私自身に年齢的なリミットも近づいてきていますし(笑)。でもいちばんのきっかけは、長年カーオーディオとホームシアターの仕事にかかわり、お客様とともに成長していくに従って「老舗のオーディオショップよりもお前の耳を信頼しているから買う」と仰っていただくお客様が増えてきたことが大きいです。
山之内 そういうお客さんは最初はカーオーディオで付き合いを始めて、そこからホームに入る方なのですか?
岩元 もともと両方やられている方が多いですね。ウェイトとしてカーが8でホームが2だけど、0という方はあまりいないです。簡単でも何らかのオーディオシステムをご購入いただいたり、お持ちの方が多いですね。年をとられて車を降りたらホームオーディオやシアターを始めたいので、今後のためにそろそろ始めないと間に合わなくなると思っていらっしゃる方も多いです。
山之内 私はカーオーディオの審査員もやっていて、岩元さんがチューニングした車も審査するのですが、他の車とやっぱり世界観が違う。スケールの大きさであったり、今色々な表現の表情であったり、音楽としてちゃんと鳴っている。バランスも良くて。そういった意味でコンテストでは常に上位にいらっしゃるお店です。
この音をまとめている人は耳がいいに決まっている。ホームオーディオでも岩元さんに薦められれば導入してみようと思うはずです。で、そうなると、今日のお話のテーマであるモニターオーディオもプライマーも、そういった岩元さんの耳で、これは音がいいということでこの新規の京都店で展示導入されたということですよね?
岩元 そうです。モニターオーディオもプライマーもランク的にはミドルクラスになると思いますが、やっぱり音がいいと思ったから導入しました。
山之内 プライマーとモニターオーディオのそれぞれどんなところに魅力を感じたのでしょうか?
岩元 まずはプライマーの方からお話をさせていただきます。お店でホームオーディオを扱い始めた頃、20年ぐらい前でしょうか。プリメインアンプを恐らくDALIのスピーカーと一緒に販売させてもらったのがはじまりです。いろんなメーカーのプリメインアンプをお客様と一緒に比較試聴したのですが、どう聴いてもそのプライマーの音が良かったのです。
山之内 どういうところが良かったのですか?
岩元 圧倒的に優しくて分厚い音だと思います。個人的にはいまの、特に国産のアンプは音がどうしても硬いイメージを持っていまして……。「I15」という比較的リーズナブルなモデルもKEFの「LS50」と組み合わせて聴いていただきましたが、これもまた、音がいいんですね。で、やはり「プライマーは音がいいよな」と思って、セパレートアンプの存在にも注目しました。
プライマーはプリメインのイメージが強くて、雑誌などでもあまり評価されていませんよね?海外製の有名なハイエンド・プリメインアンプを使っている方が、プライマーのプリ「PRE35」とパワー「A35.2」に買い替えられたのですが、値段で言うとこのセパレートのセットの方が安いのに音が全然いいのです。これは製品をお店にしっかりと展示して、宣伝をした方がいいですよとナスペックさんに声をかけたところです。
山之内 私もプライマーの製品は高く評価しています。昔『レコード芸術』で、その月の新譜を色々なコンポーネントで聴くというページがあったのですが、その時に何度も使っていました。読者はクラシックファンなのですが、実際にこの音を聴いてもらうと「自分が聴きたいのはこういう音だ」という方々が結構いらして。ゲストで呼んだ音楽評論家の方々からも高評価だったのを憶えています。
プライマーはブランドとしての良さがあると思います。私も岩元さんがおっしゃったように、音が優しいとか、音楽を本当にじっくり長く聴けるという魅力があると思います。雑誌でもわりと書いてきたつもりなんですけどね(笑)。知名度が上がるまではいってないわけですね。
山之内 プライマーはセパレートでもこの価格で買えるというのは実は貴重な存在ですよね。店内でこれと組み合わせているモニターオーディオのスピーカーには実際どんな印象をお持ちですか?
岩元 モニターオーディオは10数年前から展示しています。印象としてはとにかく聴きやすいスピーカーです。ホームオーディオの世界は高解像度や明瞭度の追求という方向に流れていましたが、このモニターオーディオやソナスファベールは「解像度だけがオーディオじゃないよね」というような方向に向いてきているように感じます。こういったこれからのホームオーディオの世界観を感じることのできるスピーカーだと思います。
山之内 この京都店には「Platinum 300 3G」がセットされていますが、これは今モニターオーディオの中でトップレンジのスピーカーになります。基本的にC-CAM(セラミック・コーテッド・アルミニウム/マグネシウム合金)振動板のウーファーと、トゥイーターはMPD III(マイクロ・プリーテッド・ダイヤフラム)と呼ばれるいわゆるリボン型を前の世代から採用していて、どちらかというと反応の良さとか解像度も含めた現代の音という印象がありますけど、今おっしゃったのはそれとは違う方向で面白いですね。
岩元 このスピーカーに関しては私も実は今日初めて聴いたのですが、イメージしているモニターオーディオの音よりも随分現代的だと思います。ただし、柔らかい部分もちゃんと備えている。解像度は絶対に必要なのですが、それだけではないスピーカーだと思います。
山之内 確かに解像度一辺倒ではありませんよね。世代を重ねるごとに 音色の滑らかさが際立ってくるようになったし、反応はいいのだけど硬い音でもないです。そういう意味では、このメーカーは常に新しい技術を取り入れて「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」のメイン3シリーズに関しては7世代目に入ろうとしています。「プラチナム」もすでに3代目ですから、世代交代によって、新しい技術を積極的に取り入れるので、方向としても岩元さんが指摘された通り現代の音なのだけど、以前から備えていた良さもちゃんと残している。鳴らしやすさについてはいかがですか?
岩元 以前使っていたのは「ゴールド」で「プラチナム」は初になるので、これからどうなのかという話ですが、今朝まっさらな状態で箱から出したのですが、もうこのレベルまでの音が出ているので、とても鳴らしやすいスピーカーなのだと思います。
山之内 さっきヴォーカルやオーケストラを聴かせていただいて、すんなり入ってくる感じなので、ちゃんと馴染んでいますね。音同士がぶつかり合ったり、刺激的な印象も全然ありません。このお店のリスニングスペースはわりと響きがありますから、その環境とのブレンド具合がちょうどいい感じです。まっさらというのは知らなかったけど、意外ですね。
今年春にはモニターオーディオの本社に行ってきたのですが、彼らの物作りへのアプローチは非常に真摯なところがありました。技術だけじゃない。技術と耳。音楽を聴いて追い込んでいく姿勢を貫いていると感じました。そういったところが結局信頼の裏付けとなり、今までモニターオーディオは50年以上にわたり大事なところはちゃんと受け継いでいるという印象でした。ロンドンから電車で1時間くらいのところに本社があるのですが、エンジニアの比率が非常に高い会社です。社員数の中でエンジニアを占める確率はこの規模の民間としては非常に高く、技術志向が強い。実際に訪れて初めて知ったことばかりですが、どれもいい印象でしたね。
プライマーとモニターオーディオは、お店ではどんなお客さんにどんなポイントをお薦めしますか?
岩元 やっぱり本質を求める方にお薦めしたいですね。特にプライマーはコストパフォーマンスが高く、ぜひ聴いてほしい製品だと思っています。いまはネットも含めていろんな情報が氾濫していて、真実と真実でないものも混在しています。そんな中でちゃんと自分の耳で確かめて、値段が高いからいい音だということではなく、値段が安くてもいい音ならばそちらを薦めるべきですし。
モニターオーディオに関しては、逆に先生にお伺いしたいです。「Platinum 300 3G」はかなり評価が高いと聞いているのですが、実際はどうなのでしょうか?
山之内 特に「プラチナム」はモニターオーディオの長い歴史が培った技術の積み重ねがちゃんと反映されたシリーズだと思います。ブックシェルフからフロア型まで音に統一感がある。あとはさっき聴いていてとても印象的だったのですが、音楽の旋律やソロ楽器とかヴォーカルや声の表情をちゃんとおさえている。そういった再現力がポイントだと思います。
世代ごとに新しい技術を導入して構造や素材も進化させることで、「モニターオーディオが求めてる音とはこうだ」というのをちゃんと具体化しているスピーカーだと思いますね。ですからこの音を信頼している人はオーディオ業界にも多くて、試聴時のリファレンスとしてもよく使われています。単にクールすぎたり分析的ということでは全然ない。そこを現代のスピーカーの中でとてもバランスよくおさえているブランドだと認識してます。
岩元 モニターオーディオと聴くとモニターチックなのかなと、そういう印象を受けるかもしれないけど、全然そうではない。もう少し味わいがある。モニターオーディオだけど、モニターサウンドではない。音楽をモニターしているという意味を社名に込めたのかなという気はしますけど……。
山之内 最後にいいことを仰いましたね。ぜひこの京都店で音を体験していただきたいと思います。今日はありがとうございました。
Platinum 300 3Gは現在のモニターオーディオの到達点を知るには最適なスピーカーである。フラグシップの「HYPHN」は次世代を見据えた特別な存在だが、Platinum 300 3Gは現行ラインナップの事実上の頂点に位置し、これまで培ってきた技術革新の成果をもらさず聴き取ることができる。
演奏の振幅の大きさを極限まで引き出しつつ、ディテールの繊細な描写力も際立つ。声や弦楽器の柔らかい音色やなめらかな質感を忠実に引き出すことが最新世代の進化の証だ。
プライマーのアンプは音色や表情を正確に再現することに加え、深みのある音でエモーショナルな表現を引き出す一面もある。誇張や過剰な演出とは縁のない素直な音には、洗練された外観との共通点がある。さりげなく存在を主張するものの、他を押しのけて前に出ようとする姿勢とは対極にある。
AV Kansaiのリスニングルームでは、精緻なディテール再現など、Platinum 300 3Gの長所を引き出しながら、音が無味乾燥にならない柔軟な一面を発揮した。エモーショナルな表現も得意とする。
Photo by 大野 博
■Shop Information
AV Kansai 京都店
〒611-0041 京都府宇治市槇島町薗場29-79
TEL.0774-21-4441
営業時間:10:00 - 20:00
定休日:水曜日
※ホームオーディオのご試聴は事前予約がお薦め
(提供:ナスペック)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.194』からの転載です
この京都店はホームオーディオにも力を注いでおり、1Fフロアにはじっくりと音楽が楽しめるホームオーディオ用の試聴室も完備されている。その新店舗を山之内 正氏が訪問。AV Kansai代表の岩元秀明さんにホームオーディオへの愛情を語っていただくとともに、京都店に導入されたMONITOR AUDIO(モニターオーディオ)とPRIMARE(プライマー)の製品について、その魅力を語り合っていただいた。
オーディオ好きが高じてカーオーディオショップをスタート
山之内 AV Kansaiはカーオーディオの専門店ですが、岩元さんは最初はホームオーディオのお店をやりたかったとお聞きしました。個人的にも好きだったということですか?
岩元 中学校時代から好きでした。当時は大阪日本橋に行ってはオーディオ漬けの日々で、レコードを買うためにバイトをするような生活でした。働けるようになってお金を貯めてタンノイの「GRF」を買ったのが初めですね。オーディオがずっと好きで、オーディオ屋さんになりたかったのですが、普通はできませんよね?展示するにもお金がかかりますから。そんな中で車も好きでしたし、カーオーディオだったら初期コストはあまりかからないということで、カーオーディオからスタートしたのです。
山之内 まずはカーオーディオを中心にはじめて、ホームシアターやホームオーディオへとだんだんと広げていった感じですか?
岩元 はい。カーオーディオの方である程度の知名度が上がってきたところで、いまから25年くらい前からホームの分野にも参入しました。でも当初はカーオーディオのイメージが強かったですし、老舗のオーディオショップに通っているお客様からすると「こんな若造に何が分かるのか」という印象もあったと思います。そこでホームオーディオの世界に参入していく手段として、まずはホームシアターからはじめたのです。ホームシアターならホームオートメーションやライティングコントロールなど老舗の方たちがなかなか手を出せない分野の仕事があったので。まずはホームシアターに力を入れ始めました。
山之内 カーオーディオとホームシアターをはじめて、そこからいよいよ念願のホームオーディオのお店を展開されるようになったわけですが、何かきっかけがあったのでしょうか?
岩元 ずっとやりたかったことですから。私自身に年齢的なリミットも近づいてきていますし(笑)。でもいちばんのきっかけは、長年カーオーディオとホームシアターの仕事にかかわり、お客様とともに成長していくに従って「老舗のオーディオショップよりもお前の耳を信頼しているから買う」と仰っていただくお客様が増えてきたことが大きいです。
山之内 そういうお客さんは最初はカーオーディオで付き合いを始めて、そこからホームに入る方なのですか?
岩元 もともと両方やられている方が多いですね。ウェイトとしてカーが8でホームが2だけど、0という方はあまりいないです。簡単でも何らかのオーディオシステムをご購入いただいたり、お持ちの方が多いですね。年をとられて車を降りたらホームオーディオやシアターを始めたいので、今後のためにそろそろ始めないと間に合わなくなると思っていらっしゃる方も多いです。
山之内 私はカーオーディオの審査員もやっていて、岩元さんがチューニングした車も審査するのですが、他の車とやっぱり世界観が違う。スケールの大きさであったり、今色々な表現の表情であったり、音楽としてちゃんと鳴っている。バランスも良くて。そういった意味でコンテストでは常に上位にいらっしゃるお店です。
この音をまとめている人は耳がいいに決まっている。ホームオーディオでも岩元さんに薦められれば導入してみようと思うはずです。で、そうなると、今日のお話のテーマであるモニターオーディオもプライマーも、そういった岩元さんの耳で、これは音がいいということでこの新規の京都店で展示導入されたということですよね?
岩元 そうです。モニターオーディオもプライマーもランク的にはミドルクラスになると思いますが、やっぱり音がいいと思ったから導入しました。
プライマー -優しくて分厚い音が魅力-
山之内 プライマーとモニターオーディオのそれぞれどんなところに魅力を感じたのでしょうか?
岩元 まずはプライマーの方からお話をさせていただきます。お店でホームオーディオを扱い始めた頃、20年ぐらい前でしょうか。プリメインアンプを恐らくDALIのスピーカーと一緒に販売させてもらったのがはじまりです。いろんなメーカーのプリメインアンプをお客様と一緒に比較試聴したのですが、どう聴いてもそのプライマーの音が良かったのです。
山之内 どういうところが良かったのですか?
岩元 圧倒的に優しくて分厚い音だと思います。個人的にはいまの、特に国産のアンプは音がどうしても硬いイメージを持っていまして……。「I15」という比較的リーズナブルなモデルもKEFの「LS50」と組み合わせて聴いていただきましたが、これもまた、音がいいんですね。で、やはり「プライマーは音がいいよな」と思って、セパレートアンプの存在にも注目しました。
プライマーはプリメインのイメージが強くて、雑誌などでもあまり評価されていませんよね?海外製の有名なハイエンド・プリメインアンプを使っている方が、プライマーのプリ「PRE35」とパワー「A35.2」に買い替えられたのですが、値段で言うとこのセパレートのセットの方が安いのに音が全然いいのです。これは製品をお店にしっかりと展示して、宣伝をした方がいいですよとナスペックさんに声をかけたところです。
山之内 私もプライマーの製品は高く評価しています。昔『レコード芸術』で、その月の新譜を色々なコンポーネントで聴くというページがあったのですが、その時に何度も使っていました。読者はクラシックファンなのですが、実際にこの音を聴いてもらうと「自分が聴きたいのはこういう音だ」という方々が結構いらして。ゲストで呼んだ音楽評論家の方々からも高評価だったのを憶えています。
プライマーはブランドとしての良さがあると思います。私も岩元さんがおっしゃったように、音が優しいとか、音楽を本当にじっくり長く聴けるという魅力があると思います。雑誌でもわりと書いてきたつもりなんですけどね(笑)。知名度が上がるまではいってないわけですね。
モニターオーディオ -解像度や明瞭度だけでない世界観-
山之内 プライマーはセパレートでもこの価格で買えるというのは実は貴重な存在ですよね。店内でこれと組み合わせているモニターオーディオのスピーカーには実際どんな印象をお持ちですか?
岩元 モニターオーディオは10数年前から展示しています。印象としてはとにかく聴きやすいスピーカーです。ホームオーディオの世界は高解像度や明瞭度の追求という方向に流れていましたが、このモニターオーディオやソナスファベールは「解像度だけがオーディオじゃないよね」というような方向に向いてきているように感じます。こういったこれからのホームオーディオの世界観を感じることのできるスピーカーだと思います。
山之内 この京都店には「Platinum 300 3G」がセットされていますが、これは今モニターオーディオの中でトップレンジのスピーカーになります。基本的にC-CAM(セラミック・コーテッド・アルミニウム/マグネシウム合金)振動板のウーファーと、トゥイーターはMPD III(マイクロ・プリーテッド・ダイヤフラム)と呼ばれるいわゆるリボン型を前の世代から採用していて、どちらかというと反応の良さとか解像度も含めた現代の音という印象がありますけど、今おっしゃったのはそれとは違う方向で面白いですね。
岩元 このスピーカーに関しては私も実は今日初めて聴いたのですが、イメージしているモニターオーディオの音よりも随分現代的だと思います。ただし、柔らかい部分もちゃんと備えている。解像度は絶対に必要なのですが、それだけではないスピーカーだと思います。
山之内 確かに解像度一辺倒ではありませんよね。世代を重ねるごとに 音色の滑らかさが際立ってくるようになったし、反応はいいのだけど硬い音でもないです。そういう意味では、このメーカーは常に新しい技術を取り入れて「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」のメイン3シリーズに関しては7世代目に入ろうとしています。「プラチナム」もすでに3代目ですから、世代交代によって、新しい技術を積極的に取り入れるので、方向としても岩元さんが指摘された通り現代の音なのだけど、以前から備えていた良さもちゃんと残している。鳴らしやすさについてはいかがですか?
岩元 以前使っていたのは「ゴールド」で「プラチナム」は初になるので、これからどうなのかという話ですが、今朝まっさらな状態で箱から出したのですが、もうこのレベルまでの音が出ているので、とても鳴らしやすいスピーカーなのだと思います。
構造や素材を進化させ音楽の大事な部分を押さえる
山之内 さっきヴォーカルやオーケストラを聴かせていただいて、すんなり入ってくる感じなので、ちゃんと馴染んでいますね。音同士がぶつかり合ったり、刺激的な印象も全然ありません。このお店のリスニングスペースはわりと響きがありますから、その環境とのブレンド具合がちょうどいい感じです。まっさらというのは知らなかったけど、意外ですね。
今年春にはモニターオーディオの本社に行ってきたのですが、彼らの物作りへのアプローチは非常に真摯なところがありました。技術だけじゃない。技術と耳。音楽を聴いて追い込んでいく姿勢を貫いていると感じました。そういったところが結局信頼の裏付けとなり、今までモニターオーディオは50年以上にわたり大事なところはちゃんと受け継いでいるという印象でした。ロンドンから電車で1時間くらいのところに本社があるのですが、エンジニアの比率が非常に高い会社です。社員数の中でエンジニアを占める確率はこの規模の民間としては非常に高く、技術志向が強い。実際に訪れて初めて知ったことばかりですが、どれもいい印象でしたね。
プライマーとモニターオーディオは、お店ではどんなお客さんにどんなポイントをお薦めしますか?
岩元 やっぱり本質を求める方にお薦めしたいですね。特にプライマーはコストパフォーマンスが高く、ぜひ聴いてほしい製品だと思っています。いまはネットも含めていろんな情報が氾濫していて、真実と真実でないものも混在しています。そんな中でちゃんと自分の耳で確かめて、値段が高いからいい音だということではなく、値段が安くてもいい音ならばそちらを薦めるべきですし。
モニターオーディオに関しては、逆に先生にお伺いしたいです。「Platinum 300 3G」はかなり評価が高いと聞いているのですが、実際はどうなのでしょうか?
山之内 特に「プラチナム」はモニターオーディオの長い歴史が培った技術の積み重ねがちゃんと反映されたシリーズだと思います。ブックシェルフからフロア型まで音に統一感がある。あとはさっき聴いていてとても印象的だったのですが、音楽の旋律やソロ楽器とかヴォーカルや声の表情をちゃんとおさえている。そういった再現力がポイントだと思います。
世代ごとに新しい技術を導入して構造や素材も進化させることで、「モニターオーディオが求めてる音とはこうだ」というのをちゃんと具体化しているスピーカーだと思いますね。ですからこの音を信頼している人はオーディオ業界にも多くて、試聴時のリファレンスとしてもよく使われています。単にクールすぎたり分析的ということでは全然ない。そこを現代のスピーカーの中でとてもバランスよくおさえているブランドだと認識してます。
岩元 モニターオーディオと聴くとモニターチックなのかなと、そういう印象を受けるかもしれないけど、全然そうではない。もう少し味わいがある。モニターオーディオだけど、モニターサウンドではない。音楽をモニターしているという意味を社名に込めたのかなという気はしますけど……。
山之内 最後にいいことを仰いましたね。ぜひこの京都店で音を体験していただきたいと思います。今日はありがとうございました。
山之内 正が体験したモニターオーディオ&プライマーの音(山之内)
Platinum 300 3Gは現在のモニターオーディオの到達点を知るには最適なスピーカーである。フラグシップの「HYPHN」は次世代を見据えた特別な存在だが、Platinum 300 3Gは現行ラインナップの事実上の頂点に位置し、これまで培ってきた技術革新の成果をもらさず聴き取ることができる。
演奏の振幅の大きさを極限まで引き出しつつ、ディテールの繊細な描写力も際立つ。声や弦楽器の柔らかい音色やなめらかな質感を忠実に引き出すことが最新世代の進化の証だ。
プライマーのアンプは音色や表情を正確に再現することに加え、深みのある音でエモーショナルな表現を引き出す一面もある。誇張や過剰な演出とは縁のない素直な音には、洗練された外観との共通点がある。さりげなく存在を主張するものの、他を押しのけて前に出ようとする姿勢とは対極にある。
AV Kansaiのリスニングルームでは、精緻なディテール再現など、Platinum 300 3Gの長所を引き出しながら、音が無味乾燥にならない柔軟な一面を発揮した。エモーショナルな表現も得意とする。
Photo by 大野 博
■Shop Information
AV Kansai 京都店
〒611-0041 京都府宇治市槇島町薗場29-79
TEL.0774-21-4441
営業時間:10:00 - 20:00
定休日:水曜日
※ホームオーディオのご試聴は事前予約がお薦め
(提供:ナスペック)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.194』からの転載です
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