公開日 2017/08/21 20:06
GENELEC、THE ONESシリーズの新モニタースピーカー「8331」「8341」を発表
これまでの課題を克服した“スタジオモニターの未来”
ジェネレックジャパン(株)は、先日開催した設立レセプション(関連ニュース)において、GENELECモニタースピーカーの最新シリーズ“THE ONES”の新製品「8341」「8331」を発表した。THE ONESシリーズでは先行して最上位となる「8351」が発表されていたが、今回の発表によりシリーズの全体像が明らかになったかたちだ。
同社のマネージング・ディレクターであるSiamäk Naghian氏は、THE ONESは「将来へ向けた製品あり、過去を参照する機器」と紹介。来年40周年という大きな節目を迎えるGENELECの歴史における、ひとつの集大成であることを強調した。
THE ONESはこれまで同社が標榜してきた「正確で忠実な音」を念頭に、これまでも同社スピーカーに搭載してきた独自の補正技術 SAM(Smaert Active Monitering)およびGLM(GENELEC Loudspeaker Manager)をソフトウェアとして組み込んだ上で、新開発の同軸ユニットを採用したシリーズだ。この同軸ユニットの開発は90年代からスタートしていたという。Naghian氏は「これまでの短所を克服する製品として自負しています。これまでのGENELECのデジタルとアナログの技術を組み合わせた製品であり、我々に限らずモニタリングの将来をもになう製品であると思います」とプロダクトへの自信をのぞかせた。
今回発表された2つのTHE ONESは、「8331」が最も小型。「8341」は、「8351」と8331の中間にあたる製品となる。ユニットのサイズも8331が最も小型となり、上下に2つ搭載される楕円形ウーファーのサイズは130×65mm。8341はそれぞれ170×90mmとなる。このユニットの違いによってSPL(音圧レベル)や周波数特性、S/Nなどの諸特性に差は出てくるものの、基本的な設計は同一となっている。
THE ONESは、トゥイーターとミッドレンジは同軸構成で、この同軸ユニットの上下に楕円形のウーファーを2つ、バッフル面内部にマウントしている。製品解説を行ったR&Dマネージャー Aki Makivirta氏によれば、「THE ONESでは、フロントバッフルの全体を指向性のコントロールに活用しています。サイズの制約からウーファーを置くことができないため、本機で3ウェイを実現するためには新しい発明が必要でした。そこで私達はウーファーを楕円形としてバッフルに隠して、スリットから低音を出すという手法を開発したのです」とのことで。これにより3ウェイを採用しながらもミキサー卓の上にも起きやすいコンパクトなサイズを実現した。
そもそも3ウェイの採用についてMakivirta氏は、「2ウェイと比較して3ウェイは、よりリニアなレスポンスを獲得できることと、より高い音圧レベルを実現できます」と解説。同軸ユニットを中心として上下にウーファーを配置したことについても、「すべての音を同軸上に配置した場合、音の試聴距離を縮めることができます。全ての音は空間上に均一に放射され、スピーカーの距離が変わっても音が変わらないということは大きな利点です」とその理由を説明した。
結果としてTHE ONESは、縦向きでも横向きでもほとんど変わらない特性を実現。モニターとして設置する際の自由度を向上させている点も見逃せないポイントと言える。一見、これまでのGENELEC製品とは外観イメージが異なるTHE ONESだが、デザインを始めとして全ての要素にGENELECのノウハウが生かされている。
アナログ入力に加えて、192kHz/24bitでの入力に対応したAES/EBU入力を搭載することもTHE ONESの特徴だ。SAMやGLMといった同社独自の補正技術の活用という意味はもちろんのこと、コンシューマー的な目線から見ればデジタルプレーヤーからの直結などセッティングをよりシンプルにできることも大きな魅力となる。またTHE ONESをデイジーチェーン接続することでマルチch再生が行えることも、デジタル入力を採用したTHE ONESならではの特徴ということができるだろう。
発表会では、THE ONESの知覚面からの解説もチーフ・テクノロジストのThomas Lund氏より行われた。Lund氏は「GENELECはいつも定位を大事にしている」と話し、人間の聴覚について解説。「人間の外耳は人によって大きくことなりますが、この外耳を上手に使うことで人は音を聴いています。身体的な特徴に合わせた音の聴き方をこの外耳を使って自己共有していくのですが、これがスピーカーリスニングの大きな利点でもあります」とLund氏は語り、「オーディオのプロフェッショナルとして、聴感の疲労がどのように起きるのかも把握して置く必要がある」と続けた。
この聴感の疲労の原因として「音圧」と「イメージング」を挙げ、GENELECのスピーカーがこれらを解決してより効果的なモニタリングを行うためのアプローチをしていうことをアピール。9種類のディップスイッチによって置き場所に合わせた適切なセッティングをサポートできるほか、同軸ユニットやGLMを搭載したことでより自然かつ理想的な環境とすることができたことを解説した。
興味深かったのは、Lund氏が語った以下のような考え方だ。「これからは“SLOW LISTENING”という言葉がキーワードになると思います。昔のレコーディングといまの最先端のレコーディングを聴き比べて見て欲しいのですが、その答えは明らかです」とそれぞれの音源をTHE ONESでデモンストレーション。「答えは聴く皆様におまかせしますが、どのようなスピーカーを持ってしても、このような間違いを治すことはできません」とLund氏はコメント。スタジオモニターにおける今後のGENELECのスタンスを示唆する言葉とみてもよいだろう。
なお、THE ONESの価格にいては、2017年8月中に発表される予定となっている。
同社のマネージング・ディレクターであるSiamäk Naghian氏は、THE ONESは「将来へ向けた製品あり、過去を参照する機器」と紹介。来年40周年という大きな節目を迎えるGENELECの歴史における、ひとつの集大成であることを強調した。
THE ONESはこれまで同社が標榜してきた「正確で忠実な音」を念頭に、これまでも同社スピーカーに搭載してきた独自の補正技術 SAM(Smaert Active Monitering)およびGLM(GENELEC Loudspeaker Manager)をソフトウェアとして組み込んだ上で、新開発の同軸ユニットを採用したシリーズだ。この同軸ユニットの開発は90年代からスタートしていたという。Naghian氏は「これまでの短所を克服する製品として自負しています。これまでのGENELECのデジタルとアナログの技術を組み合わせた製品であり、我々に限らずモニタリングの将来をもになう製品であると思います」とプロダクトへの自信をのぞかせた。
今回発表された2つのTHE ONESは、「8331」が最も小型。「8341」は、「8351」と8331の中間にあたる製品となる。ユニットのサイズも8331が最も小型となり、上下に2つ搭載される楕円形ウーファーのサイズは130×65mm。8341はそれぞれ170×90mmとなる。このユニットの違いによってSPL(音圧レベル)や周波数特性、S/Nなどの諸特性に差は出てくるものの、基本的な設計は同一となっている。
THE ONESは、トゥイーターとミッドレンジは同軸構成で、この同軸ユニットの上下に楕円形のウーファーを2つ、バッフル面内部にマウントしている。製品解説を行ったR&Dマネージャー Aki Makivirta氏によれば、「THE ONESでは、フロントバッフルの全体を指向性のコントロールに活用しています。サイズの制約からウーファーを置くことができないため、本機で3ウェイを実現するためには新しい発明が必要でした。そこで私達はウーファーを楕円形としてバッフルに隠して、スリットから低音を出すという手法を開発したのです」とのことで。これにより3ウェイを採用しながらもミキサー卓の上にも起きやすいコンパクトなサイズを実現した。
そもそも3ウェイの採用についてMakivirta氏は、「2ウェイと比較して3ウェイは、よりリニアなレスポンスを獲得できることと、より高い音圧レベルを実現できます」と解説。同軸ユニットを中心として上下にウーファーを配置したことについても、「すべての音を同軸上に配置した場合、音の試聴距離を縮めることができます。全ての音は空間上に均一に放射され、スピーカーの距離が変わっても音が変わらないということは大きな利点です」とその理由を説明した。
結果としてTHE ONESは、縦向きでも横向きでもほとんど変わらない特性を実現。モニターとして設置する際の自由度を向上させている点も見逃せないポイントと言える。一見、これまでのGENELEC製品とは外観イメージが異なるTHE ONESだが、デザインを始めとして全ての要素にGENELECのノウハウが生かされている。
アナログ入力に加えて、192kHz/24bitでの入力に対応したAES/EBU入力を搭載することもTHE ONESの特徴だ。SAMやGLMといった同社独自の補正技術の活用という意味はもちろんのこと、コンシューマー的な目線から見ればデジタルプレーヤーからの直結などセッティングをよりシンプルにできることも大きな魅力となる。またTHE ONESをデイジーチェーン接続することでマルチch再生が行えることも、デジタル入力を採用したTHE ONESならではの特徴ということができるだろう。
発表会では、THE ONESの知覚面からの解説もチーフ・テクノロジストのThomas Lund氏より行われた。Lund氏は「GENELECはいつも定位を大事にしている」と話し、人間の聴覚について解説。「人間の外耳は人によって大きくことなりますが、この外耳を上手に使うことで人は音を聴いています。身体的な特徴に合わせた音の聴き方をこの外耳を使って自己共有していくのですが、これがスピーカーリスニングの大きな利点でもあります」とLund氏は語り、「オーディオのプロフェッショナルとして、聴感の疲労がどのように起きるのかも把握して置く必要がある」と続けた。
この聴感の疲労の原因として「音圧」と「イメージング」を挙げ、GENELECのスピーカーがこれらを解決してより効果的なモニタリングを行うためのアプローチをしていうことをアピール。9種類のディップスイッチによって置き場所に合わせた適切なセッティングをサポートできるほか、同軸ユニットやGLMを搭載したことでより自然かつ理想的な環境とすることができたことを解説した。
興味深かったのは、Lund氏が語った以下のような考え方だ。「これからは“SLOW LISTENING”という言葉がキーワードになると思います。昔のレコーディングといまの最先端のレコーディングを聴き比べて見て欲しいのですが、その答えは明らかです」とそれぞれの音源をTHE ONESでデモンストレーション。「答えは聴く皆様におまかせしますが、どのようなスピーカーを持ってしても、このような間違いを治すことはできません」とLund氏はコメント。スタジオモニターにおける今後のGENELECのスタンスを示唆する言葉とみてもよいだろう。
なお、THE ONESの価格にいては、2017年8月中に発表される予定となっている。