公開日 2018/03/27 13:15
テクニクス最上位ターンテーブル「SP-10R」は80万円で5月25日に発売。プレーヤー「SL-1000R」は160万円
いずれも受注生産
パナソニックはTechnicsブランドより、ダイレクトドライブ方式のターンテーブル「SP-10R」と、SP-10Rを核としたアナログレコードプレーヤー「SL-1000R」を5月25日より発売する。いずれも受注生産となる。
・「SP-10R」ターンテーブル ¥800,000(税抜)
・「SL-1000R」アナログレコードプレーヤー ¥1,600,000(税抜)
いずれの製品も、今年1月に米ラスベガスで開催されたCES 2018でその概要が発表された(関連ニュース)。今回が日本における正式発表となり、国内での価格と発売日が明らかになったかたちだ。
発表に先立ち、パナソニックは同社の宇都宮工場「モノづくり革新センター」にてプレス向け説明会を開催。実際にSP-10RやSL-1000Rを製造する現場を見学することもできた。工場見学の模様は別記事でお伝えする。
Technicsのフラグシップシリーズ「Reference」にラインナップされる新モデル。ターンテーブル「SP-10R」は、設置性において旧来の「SP-10MK2」「SP-10MK3」と互換性のある構造を採用しており、これらを用いたシステムを使っている場合はSP-10Rに置き換えて使用できる。
SL-1000Rは、SP-10Rを核とし、専用のターンテーブルベースやトーンアームを加えたシステム(レコードプレーヤー)となる。
説明会では、テクニクス事業推進室の井谷哲也氏、三浦寛氏が製品のコンセプトや詳細について説明を行った。
■両面に合計18コイルを配置した新開発コアレスDDモーターを採用
SP-10Rは新開発のコアレス ダイレクトドライブモーターを採用。一見するとSL-1200Gのモーターとサイズも変わらず、似ているが、こちらは両面にコイルを配置して12極18コイルで駆動(SL-1200Gは片面にのみコイルを配置)。これにより、約7.9kgの重量級プラッターを高い回転精度で駆動する高トルクを実現した。結果、ワウフラッターは測定限界という0.015%を実現。極めて安定した回転を実現する。
また両面のコイルは、上下で60度ずらして配置されている。これにより上下コイル間の相互干渉を低減して微小な不要振動を抑制。さらに基板剛性の向上により、より静粛な回転を実現している。
製品の詳細について説明を行った三浦浩一氏は「回転精度をさらに高めるために様々な取り組みを行った」とコメント。また、通常はモーターの開発には最低でも2年を要するところを、本機においては、SL-1200Gのモーターをベースに開発を行うことで約1年で成し遂げることができたのだという。
モーターの高トルク化が実現した結果、さらに高い剛性を確保することが必要になるため、モーターの下部にはドーナツ状の金属製アングルを用意。大きなトルクがかかったときにこのアングルが力を分散させることで、十分な剛性を確保できる。
さらにモーターが駆動するプラッターの重量が増加したことを踏まえて、プラッターを支えるスラスト軸受、およびスピンドルの強化も必要になったとのこと。特にスラスト軸受については、スラスト板の素材に新たにポリアミドイミドに変更を行った。軸受を支える保持板も3mm厚のステンレス削り出しとしている。
このようにして、ワウフラッター0.015%という、安定した回転を実現したわけだが、モーター単体でみるとその値は0.005%程度まで達成しているという。
■タングステン・ウェイトを埋め込んだ3層構造プラッター
ターンテーブルのプラッターは、SL1200Gと同様に真鍮・アルミダイキャスト・高減衰ラバーによる3層構造プラッターを採用。本機ではさらに、プラッターの周囲に合計12個のタングステン・ウェイトを埋め込んで大きな慣性モーメントを獲得している。
希少金属のタングステンは比重が非常に高いことで知られており、鉄の2倍以上の比重(19.3)を持っている。これを外周に配置することで、その慣性質量は約1トンを実現する。プラッターの総重量は約7.9kgとなる。
三浦氏は振動減衰特性の向上についてもアピール。SL-1200Gでは3層構造プラッターを採用することで旧来のSP-10MK3から大幅に振動減衰特性を向上させたが、SP-10Rではその値をさらに高めたことを測定結果を示して紹介した。
このプラッターは、極めて高精度な回転バランス調整が施されているという。プラッターは回転体であり、高速で回転した際にバランスがずれ、回転が振動に変わってしまう恐れがある。これを避けるために回転バランス調整を行うのだが、SP-10RではSL-1200Gと比較して1/5という精度まで追い込んでいる。三浦氏は「プラッターの質量はSL-1200Gから2倍になっているので、実質1/10まで精度を追い込んでいる」と話していた。
■ノイズ補正回路を備えたコントロールユニット。ピッチ調整も精度が向上
電源などを内蔵するコントロールユニットは別筐体となっており、不要ノイズの本体への影響を排除する。筐体の奥行きはSP-10MKIIの外径と同じサイズになっており、旧製品のユーザーの置き換えにも対応できる。
コントロールユニット内には、スイッチング電源(SMPS)、電源に起因するノイズやAC経由で外部から混入するノイズを補正する回路が納められている。これにより、ターンテーブルに送り出す電源をクリーンに保ち、結果として高いS/Nが確保できる。
ユニットの前面には有機ELディスプレイと各種ボタンを配置。回転数はコンマ2ケタの精度で表示可能。LP盤(33 1/3回転)、EP盤(45回転)だけでなく、SP盤(78回転)も選択可能となっている。
また、このパネルからピッチ調整も行える。ピッチ調整機能はSP-10MKIIIから採用されているが、従来の「%」でのピッチ調整に加えて、本機では新たに回転数で直接ピッチを変更することが可能になった。「33.34」というように0.01rpmの精度で最大約±16%の範囲で回転数を指定することが可能で、より詳細なピッチ調整が行える。
■異種素材による5層構造ボディ。SL-1000R用のトーンアームも新開発
ボディは25mm厚の切削アルミ板→アルミダイカスト→BMC→30mm厚の切削アルミ板→BMCの5層構造となっている。これにより非常に高い剛性を実現した。
高減衰を実現するシリコンインシュレーターも採用。SL-1200GAEにおいて開発されたαGELによるシリコンラバーによるインシュレーターを本機でも採用している。ただし、重量が増しただけ調整を行っているという。ハウジングには亜鉛ダイキャストが用いられている。
SL-1000Rについてはトーンアームも新規に設計されており、高い初動感度を特徴とする。アームパイプはマグネシウム製、ハウジング部はアルミ削り出しによる金属シャーシとなる。また可動部には高精度ベアリングを用いている。
有効長は254mm(SL-1200Gは230mm)。トーンアームの高さ調整は0-15mmまで調整できるように拡張された(SL-1200Gは0-6mm)。内部配線にはOFC線を用いている。
出力端子は5pin DIN端子を採用。また、SL-1200Gでは樹脂成形だった端子のハウジング部が、SL-1000Rではアルミ削り出しとなった。
サブウェイトは小・中・大の3種類が用意される。また、それぞれのサイズを連結して使用することもでき、さらに重量のあるカートリッジにも対応できる。
質疑応答では、井谷氏、三浦氏が本機の細部について説明も行った。ターンテーブルシートについては旧SL-1200シリーズで採用していたものを、SL-1200G/GRなどと同様に本機でも用いている。井谷氏によるとSP-10Rに合わせて新たなターンテーブルシートの開発にも取り組み3種類の試作品を作ったものの、従来のものの方が音質に優れていたため、引き続きこちらを採用したという。
ターンテーブルの起動時間は約0.7-0.8秒とのこと。「もっと速くしようと思えばさらに速くできたが、そうなるとノイズの発生などの問題もあるため、音質面も踏まえたベストな値としてこの起動時間を設定した」という。ターンテーブルの停止は、電子ブレーキを用いて行われる(SP-10MKIIIはメカニカルブレーキだった)。ボタンを押してから45度以内に停止できるという。
■トーンアームが最大3基追加できる専用アームベースを用意
SL-1000Rについては、トーンアームの追加や交換に対応するトーンアームベースもオプションで用意。最大3本までトーンアームが取り付けられる。トーンアームベースは対応メーカー/ブランド別に10種類を用意する。価格はいずれも10万円となる。
トーンアームベースは本機に合わせて新たに開発されたもので、本体に簡単に取り付けができる。アンカー機構を用いてトップパネルに取り付ける方式で、水平が自然に保てる機構になっているという。また、取り付けた際にネジ頭が見えないような工夫も施されている。ラインナップは以下の通り。
●トーンアームベースのラインナップ
・「SH-TB10TC1」(Technics「EPA-100mk2」に対応)
・「SH-TB10SM1」(SME「M2-9R」に対応)
・「SH-TB10SM2」(SME「M2-12R」に対応)
・「SH-TB10RT1」(Ortofon「AS-212S」「RS-212D」に対応)
・「SH-TB10RT2」(Ortofon「AS-309S」「RS-309D」に対応)
・「SH-TB10JL1」(JELCO「SA-250」に対応)
・「SH-TB10JL2」(JELCO「SA-750L」に対応)
・「SH-TB10KD1」(IKEDA「IT-345 CR1」に対応)
・「SH-TB10KD2」(IKEDA「IT-407 CR1」に対応)
・「SH-TB10」(ユニバーサル型、孔なし)
※()内は対応するトーンアームのブランドと品番
■SP-10の輝かしい系譜も改めて紹介
説明会の冒頭では井谷氏が、SP-10Rに至るTechnicsの歴史についても紹介。Technicsは1965年に誕生、その最初の製品は小型スピーカー「Technics 1」だった。当時はオーディオブランドとしては新参者だった同社がその存在感を大きく示したのが、1970年に登場した世界初のダイレクトドライブ採用ターンテーブル「SP-10」だった。本機は業界の常識を覆したモデルとして、全世界に普及したと井谷氏は語る。
1975年には「SP-10MKII」が登場。当時最新のクオーツ技術を採用することで高い回転精度を実現し、世界28カ国で約3000台が放送局に納入されたという。その中にはBBCなどの著名な放送局が多数含まれる。
1981年に発売された「SP-10MKIII」は、超重量級プラッターをカッティングマシーンにも用いられる高トルクモーターで駆動。ダイレクトドライブ方式の頂点を極めたモデルとして君臨した。
このように歴代のSP-10は放送局の業務用途からHi-Fiオーディオに至るまでの領域で長年にわたり高く評価され、いまでも多くの愛好家が現役で使用している。また、SL-1200G/GAEが登場したときにも「SP-10を復活させてほしい」という要望は非常に大きかったという。
■主な仕様
SP-10R メインユニットの外形寸法は365W×109H×365Dmm、質量は約18.2kg。コントロールユニットの外形寸法は110W×84H×350Dmm、質量は約2.1kg。
SL-1000Rの外形寸法は531W×188H×399Dmm、質量は約40.2kg(ダストカバーあり)。
・「SP-10R」ターンテーブル ¥800,000(税抜)
・「SL-1000R」アナログレコードプレーヤー ¥1,600,000(税抜)
いずれの製品も、今年1月に米ラスベガスで開催されたCES 2018でその概要が発表された(関連ニュース)。今回が日本における正式発表となり、国内での価格と発売日が明らかになったかたちだ。
発表に先立ち、パナソニックは同社の宇都宮工場「モノづくり革新センター」にてプレス向け説明会を開催。実際にSP-10RやSL-1000Rを製造する現場を見学することもできた。工場見学の模様は別記事でお伝えする。
Technicsのフラグシップシリーズ「Reference」にラインナップされる新モデル。ターンテーブル「SP-10R」は、設置性において旧来の「SP-10MK2」「SP-10MK3」と互換性のある構造を採用しており、これらを用いたシステムを使っている場合はSP-10Rに置き換えて使用できる。
SL-1000Rは、SP-10Rを核とし、専用のターンテーブルベースやトーンアームを加えたシステム(レコードプレーヤー)となる。
説明会では、テクニクス事業推進室の井谷哲也氏、三浦寛氏が製品のコンセプトや詳細について説明を行った。
■両面に合計18コイルを配置した新開発コアレスDDモーターを採用
SP-10Rは新開発のコアレス ダイレクトドライブモーターを採用。一見するとSL-1200Gのモーターとサイズも変わらず、似ているが、こちらは両面にコイルを配置して12極18コイルで駆動(SL-1200Gは片面にのみコイルを配置)。これにより、約7.9kgの重量級プラッターを高い回転精度で駆動する高トルクを実現した。結果、ワウフラッターは測定限界という0.015%を実現。極めて安定した回転を実現する。
また両面のコイルは、上下で60度ずらして配置されている。これにより上下コイル間の相互干渉を低減して微小な不要振動を抑制。さらに基板剛性の向上により、より静粛な回転を実現している。
製品の詳細について説明を行った三浦浩一氏は「回転精度をさらに高めるために様々な取り組みを行った」とコメント。また、通常はモーターの開発には最低でも2年を要するところを、本機においては、SL-1200Gのモーターをベースに開発を行うことで約1年で成し遂げることができたのだという。
モーターの高トルク化が実現した結果、さらに高い剛性を確保することが必要になるため、モーターの下部にはドーナツ状の金属製アングルを用意。大きなトルクがかかったときにこのアングルが力を分散させることで、十分な剛性を確保できる。
さらにモーターが駆動するプラッターの重量が増加したことを踏まえて、プラッターを支えるスラスト軸受、およびスピンドルの強化も必要になったとのこと。特にスラスト軸受については、スラスト板の素材に新たにポリアミドイミドに変更を行った。軸受を支える保持板も3mm厚のステンレス削り出しとしている。
このようにして、ワウフラッター0.015%という、安定した回転を実現したわけだが、モーター単体でみるとその値は0.005%程度まで達成しているという。
■タングステン・ウェイトを埋め込んだ3層構造プラッター
ターンテーブルのプラッターは、SL1200Gと同様に真鍮・アルミダイキャスト・高減衰ラバーによる3層構造プラッターを採用。本機ではさらに、プラッターの周囲に合計12個のタングステン・ウェイトを埋め込んで大きな慣性モーメントを獲得している。
希少金属のタングステンは比重が非常に高いことで知られており、鉄の2倍以上の比重(19.3)を持っている。これを外周に配置することで、その慣性質量は約1トンを実現する。プラッターの総重量は約7.9kgとなる。
三浦氏は振動減衰特性の向上についてもアピール。SL-1200Gでは3層構造プラッターを採用することで旧来のSP-10MK3から大幅に振動減衰特性を向上させたが、SP-10Rではその値をさらに高めたことを測定結果を示して紹介した。
このプラッターは、極めて高精度な回転バランス調整が施されているという。プラッターは回転体であり、高速で回転した際にバランスがずれ、回転が振動に変わってしまう恐れがある。これを避けるために回転バランス調整を行うのだが、SP-10RではSL-1200Gと比較して1/5という精度まで追い込んでいる。三浦氏は「プラッターの質量はSL-1200Gから2倍になっているので、実質1/10まで精度を追い込んでいる」と話していた。
■ノイズ補正回路を備えたコントロールユニット。ピッチ調整も精度が向上
電源などを内蔵するコントロールユニットは別筐体となっており、不要ノイズの本体への影響を排除する。筐体の奥行きはSP-10MKIIの外径と同じサイズになっており、旧製品のユーザーの置き換えにも対応できる。
コントロールユニット内には、スイッチング電源(SMPS)、電源に起因するノイズやAC経由で外部から混入するノイズを補正する回路が納められている。これにより、ターンテーブルに送り出す電源をクリーンに保ち、結果として高いS/Nが確保できる。
ユニットの前面には有機ELディスプレイと各種ボタンを配置。回転数はコンマ2ケタの精度で表示可能。LP盤(33 1/3回転)、EP盤(45回転)だけでなく、SP盤(78回転)も選択可能となっている。
また、このパネルからピッチ調整も行える。ピッチ調整機能はSP-10MKIIIから採用されているが、従来の「%」でのピッチ調整に加えて、本機では新たに回転数で直接ピッチを変更することが可能になった。「33.34」というように0.01rpmの精度で最大約±16%の範囲で回転数を指定することが可能で、より詳細なピッチ調整が行える。
■異種素材による5層構造ボディ。SL-1000R用のトーンアームも新開発
ボディは25mm厚の切削アルミ板→アルミダイカスト→BMC→30mm厚の切削アルミ板→BMCの5層構造となっている。これにより非常に高い剛性を実現した。
高減衰を実現するシリコンインシュレーターも採用。SL-1200GAEにおいて開発されたαGELによるシリコンラバーによるインシュレーターを本機でも採用している。ただし、重量が増しただけ調整を行っているという。ハウジングには亜鉛ダイキャストが用いられている。
SL-1000Rについてはトーンアームも新規に設計されており、高い初動感度を特徴とする。アームパイプはマグネシウム製、ハウジング部はアルミ削り出しによる金属シャーシとなる。また可動部には高精度ベアリングを用いている。
有効長は254mm(SL-1200Gは230mm)。トーンアームの高さ調整は0-15mmまで調整できるように拡張された(SL-1200Gは0-6mm)。内部配線にはOFC線を用いている。
出力端子は5pin DIN端子を採用。また、SL-1200Gでは樹脂成形だった端子のハウジング部が、SL-1000Rではアルミ削り出しとなった。
サブウェイトは小・中・大の3種類が用意される。また、それぞれのサイズを連結して使用することもでき、さらに重量のあるカートリッジにも対応できる。
質疑応答では、井谷氏、三浦氏が本機の細部について説明も行った。ターンテーブルシートについては旧SL-1200シリーズで採用していたものを、SL-1200G/GRなどと同様に本機でも用いている。井谷氏によるとSP-10Rに合わせて新たなターンテーブルシートの開発にも取り組み3種類の試作品を作ったものの、従来のものの方が音質に優れていたため、引き続きこちらを採用したという。
ターンテーブルの起動時間は約0.7-0.8秒とのこと。「もっと速くしようと思えばさらに速くできたが、そうなるとノイズの発生などの問題もあるため、音質面も踏まえたベストな値としてこの起動時間を設定した」という。ターンテーブルの停止は、電子ブレーキを用いて行われる(SP-10MKIIIはメカニカルブレーキだった)。ボタンを押してから45度以内に停止できるという。
■トーンアームが最大3基追加できる専用アームベースを用意
SL-1000Rについては、トーンアームの追加や交換に対応するトーンアームベースもオプションで用意。最大3本までトーンアームが取り付けられる。トーンアームベースは対応メーカー/ブランド別に10種類を用意する。価格はいずれも10万円となる。
トーンアームベースは本機に合わせて新たに開発されたもので、本体に簡単に取り付けができる。アンカー機構を用いてトップパネルに取り付ける方式で、水平が自然に保てる機構になっているという。また、取り付けた際にネジ頭が見えないような工夫も施されている。ラインナップは以下の通り。
●トーンアームベースのラインナップ
・「SH-TB10TC1」(Technics「EPA-100mk2」に対応)
・「SH-TB10SM1」(SME「M2-9R」に対応)
・「SH-TB10SM2」(SME「M2-12R」に対応)
・「SH-TB10RT1」(Ortofon「AS-212S」「RS-212D」に対応)
・「SH-TB10RT2」(Ortofon「AS-309S」「RS-309D」に対応)
・「SH-TB10JL1」(JELCO「SA-250」に対応)
・「SH-TB10JL2」(JELCO「SA-750L」に対応)
・「SH-TB10KD1」(IKEDA「IT-345 CR1」に対応)
・「SH-TB10KD2」(IKEDA「IT-407 CR1」に対応)
・「SH-TB10」(ユニバーサル型、孔なし)
※()内は対応するトーンアームのブランドと品番
■SP-10の輝かしい系譜も改めて紹介
説明会の冒頭では井谷氏が、SP-10Rに至るTechnicsの歴史についても紹介。Technicsは1965年に誕生、その最初の製品は小型スピーカー「Technics 1」だった。当時はオーディオブランドとしては新参者だった同社がその存在感を大きく示したのが、1970年に登場した世界初のダイレクトドライブ採用ターンテーブル「SP-10」だった。本機は業界の常識を覆したモデルとして、全世界に普及したと井谷氏は語る。
1975年には「SP-10MKII」が登場。当時最新のクオーツ技術を採用することで高い回転精度を実現し、世界28カ国で約3000台が放送局に納入されたという。その中にはBBCなどの著名な放送局が多数含まれる。
1981年に発売された「SP-10MKIII」は、超重量級プラッターをカッティングマシーンにも用いられる高トルクモーターで駆動。ダイレクトドライブ方式の頂点を極めたモデルとして君臨した。
このように歴代のSP-10は放送局の業務用途からHi-Fiオーディオに至るまでの領域で長年にわたり高く評価され、いまでも多くの愛好家が現役で使用している。また、SL-1200G/GAEが登場したときにも「SP-10を復活させてほしい」という要望は非常に大きかったという。
■主な仕様
SP-10R メインユニットの外形寸法は365W×109H×365Dmm、質量は約18.2kg。コントロールユニットの外形寸法は110W×84H×350Dmm、質量は約2.1kg。
SL-1000Rの外形寸法は531W×188H×399Dmm、質量は約40.2kg(ダストカバーあり)。