公開日 2019/06/11 11:19
6/2開催「第7回ヨーロピアン カーオーディオコンテスト」レポート。AV Kansaiが今年も圧倒的強さを見せた
石川県・こまつドームで開催
毎年初夏に開催される「ヨーロピアンサウンド カーオーディオコンテスト(通称:ユーロコン)」が、今年も6月2日に石川県・こまつドームで開催され、大盛況のうちに終了した。その模様をレポートする。
ユーロコンは2013年に静岡県浜松市でスタート。2回目から場所をこまつドームに移し、今回が7回目の開催となる。今年から審査委員として新たにオーディオ評論家の生形三郎氏が加わり、さらにパワーアップした7名の審査員の体制でコンテストが競われた。また、主催者にトライム株式会社が参画したことで、新たにイタリアのaudison、フランスのBRAMの製品も審査コースに加わった。
今回のユーロコンでは、全部で13のコースが設けられていた。《プロフェッショナルクラス》では、ショップのデモカーやそれに準じる車が対象となる「ディーラー プロフェッショナルコース」と、ユーザーカーでシステムの金額によってA〜Dまでの4コースに別れる「ユーザー プロフェッショナルコース」。《エキスパートクラス》では、morelの3way、2way、DYNAUDIO Esotar・VENTURE AUDIO、DYNAUDIO Estotec、DLS/Symphonyなど、ブランドごとに8つのコースが設けられている。
上述の通り今年からは「BLAM・audisonコース」も新たに加わった。「ユーザー プロフェッショナルコース」と《エキスパートクラス》の部門はダブルエントリーが可能のため、双方にエントリーして複数の評論家に審査をしてもらう参加者も非常に多かった。
今回の参加台数は148台、ダブルエントリーを含めて述べ223台のエントリーがあった。東北地方から九州まで、全国からこの日のために研鑽を積み重ねてきた車が集まり、そのサウンドクオリティを競い合った。
審査項目も昨年と大きな変化はなく、ステレオイメージや帯域バランス、さらに提出する「コンセプトシート」に沿った再現性を実現できているかどうかを各審査員が点数化し、その総合点でコンテスト結果が決定される。審査員は2曲の課題曲を5分程度試聴したのち、コンセプトシートに評価と点数を記入、その評価を元に参加者に簡単な講評とアドバイスを行なっていく。
今年の課題曲は、《プロフェッショナルクラス》では辻井伸行「グリーグ:ピアノ協奏曲 第1楽章」、ケンドリック・ラマーの「キング・クンタ」(『To Pimp A Butterfly』)の2曲が選ばれている。クラシックとヒップホップという、ある意味対極とも言える楽曲がセレクトされているため、非常に苦労したエントラントが多かったようだ。
一方の《エキスパートクラス》ではドゥダメル指揮、ロサンゼルス・フィルの『チャイコフスキー:バレエ《くるみ割り人形》』から「第15曲: 終幕のワルツ」と、JUJUが久保田利伸とデュエットした「Englishman In New York」(『DELICIOUS 〜JUJU's JAZZ 3rd Dish〜』より)の2曲が選ばれている。クラシックではワルツのリズム感、JUJUではヴォーカル、そしてベースの定位感が大きな審査のポイントになっていたという。
輸入代理店によるデモカーも6台用意されており、こちらは審査の待ち時間に自由に試聴することができた。今年はBRAXのハイエンドDSP「BRAX-DSP」が非常に話題を集めており、デモカーはもちろん、複数のエントラントの車に搭載されていた。
近年のカーオーディオコンテストでは、上位入賞するために「ハイレゾ」は必須と言えるほどの影響力を高めている。そのため、DSPにも大容量データをハイスピードで処理する高度な処理能力が必要とされてきているのだ。
「BRAX-DSP」は内部データ処理を192kHz/32bitにまで高め、AKMの最高級AD/DAコンバーターを搭載、電源部も強化するなど、徹底した音質設計が特徴となっている。実際に「BRAX-DSP」を搭載したデモカーを試聴すると、特に「グリーグ:ピアノ協奏曲」のピアノ協奏曲の冒頭のせり出しやサウンドステージの広がり感に圧倒される。ダイナミックレンジの広がりなど、ハイサンプリングで処理することによるメリットを生かしたセッティングを感じさせた。
再生ソースは昨年に引き続き、DAPを活用した再生方式が圧倒的な人気を誇った。特にソニーのNW-WM1Z(通称:金DAP)とAstell&KernのSP1000が人気を分ける。音質面はもとより、ハイレゾファイルをそのままワンタッチで出力できるUIの分かりやすさも魅力だろう。いずれもデジタルデータのまま出力してDSPに入力し、帯域分割を行い各アンプ・スピーカーに伝送する。
マリノサウンドのデモカーでは、Astell&KernのSP1000を使い、iPadによる専用操作アプリ「AK Connect」によるリモート操作を可能にしていた。代表の岩崎潤一さんによると、伝送系を短くすることで音質劣化を防ぐというアイデアだという。5月に納品されたばかりの新しい車へのインストールということだが、特にJUJUと久保田利伸のデュエットには濃密な色気が漂い、ゾクっとするようなエロティシズムを感じさせた。
ほかにも、オリオスペックが開発を行うcanarino 12Vを再生機器として使う車も多数登場。岩手県のカーショップ、サウンドフリークスではcanarino 12VにJRiver Media Centerをインストールし、スマートフォン端末のJRemoteから再生指示を行う「ネットオーディオ」的なスタイルの再生方式を提案する。foobar2000もインストールされており、聴き比べもできるということだが、設定のしやすさなどからJRMCを選択。特に中低域にかけてコシのある豊かなサウンドを展開していた。青森県のイングラフもcanarino 12Vのfoobar2000からiphoneでリモート再生。BRAX-DSPも導入し、キレがありながらもひとつひとつの音に情報量が大きいという2つの特性を高度に両立したサウンドを実現していた。
しかし一方で、CDを再生ソースに使う再生方式もいまだ健在だ。審査委員の鈴木 裕氏は、ハイレゾ時代だからこその問題も発生してきているのではないかと指摘する。システムが複雑化することで伝送系が長くなってしまうことや、ネットワークの活用により生まれる高周波の電磁波の影響など、CD時代にはなかったノイズ源が生まれてきている。CDの魅力も改めて再確認した車もあったという。
今年から登場したトライムはキャデラックのデモカーを用意。audisonのbit One HDのプリアンプ、BLAMのスピーカー、ケーブル類にはサエクのRCAケーブルやスピーカーケーブルSTRATOSPHERE SP-10、スープラのUSBや光デジタルケーブルを活用するなど、アクセサリー類にもこだわったシステム構成を実現している。余裕のある筐体を生かしたステージ感が特徴で、ケーブルによる細部のチューニングが威力を発揮する。
女性エントラントの健闘も光った。DYNAUDIO ESOTECコースにエントリーしていた小川真由美さんは、「温かみのある音」を目標として音質をチューニングしたと語ってくれた。赤と黒をベースとしたおしゃれな車内インテリアも彼女のこだわりだが、のCar-DENのチームとともに自分の理想の音をしっかりイメージした上で、音質を徹底的追求したという。
ユーロコンは2013年に静岡県浜松市でスタート。2回目から場所をこまつドームに移し、今回が7回目の開催となる。今年から審査委員として新たにオーディオ評論家の生形三郎氏が加わり、さらにパワーアップした7名の審査員の体制でコンテストが競われた。また、主催者にトライム株式会社が参画したことで、新たにイタリアのaudison、フランスのBRAMの製品も審査コースに加わった。
今回のユーロコンでは、全部で13のコースが設けられていた。《プロフェッショナルクラス》では、ショップのデモカーやそれに準じる車が対象となる「ディーラー プロフェッショナルコース」と、ユーザーカーでシステムの金額によってA〜Dまでの4コースに別れる「ユーザー プロフェッショナルコース」。《エキスパートクラス》では、morelの3way、2way、DYNAUDIO Esotar・VENTURE AUDIO、DYNAUDIO Estotec、DLS/Symphonyなど、ブランドごとに8つのコースが設けられている。
上述の通り今年からは「BLAM・audisonコース」も新たに加わった。「ユーザー プロフェッショナルコース」と《エキスパートクラス》の部門はダブルエントリーが可能のため、双方にエントリーして複数の評論家に審査をしてもらう参加者も非常に多かった。
今回の参加台数は148台、ダブルエントリーを含めて述べ223台のエントリーがあった。東北地方から九州まで、全国からこの日のために研鑽を積み重ねてきた車が集まり、そのサウンドクオリティを競い合った。
審査項目も昨年と大きな変化はなく、ステレオイメージや帯域バランス、さらに提出する「コンセプトシート」に沿った再現性を実現できているかどうかを各審査員が点数化し、その総合点でコンテスト結果が決定される。審査員は2曲の課題曲を5分程度試聴したのち、コンセプトシートに評価と点数を記入、その評価を元に参加者に簡単な講評とアドバイスを行なっていく。
今年の課題曲は、《プロフェッショナルクラス》では辻井伸行「グリーグ:ピアノ協奏曲 第1楽章」、ケンドリック・ラマーの「キング・クンタ」(『To Pimp A Butterfly』)の2曲が選ばれている。クラシックとヒップホップという、ある意味対極とも言える楽曲がセレクトされているため、非常に苦労したエントラントが多かったようだ。
一方の《エキスパートクラス》ではドゥダメル指揮、ロサンゼルス・フィルの『チャイコフスキー:バレエ《くるみ割り人形》』から「第15曲: 終幕のワルツ」と、JUJUが久保田利伸とデュエットした「Englishman In New York」(『DELICIOUS 〜JUJU's JAZZ 3rd Dish〜』より)の2曲が選ばれている。クラシックではワルツのリズム感、JUJUではヴォーカル、そしてベースの定位感が大きな審査のポイントになっていたという。
輸入代理店によるデモカーも6台用意されており、こちらは審査の待ち時間に自由に試聴することができた。今年はBRAXのハイエンドDSP「BRAX-DSP」が非常に話題を集めており、デモカーはもちろん、複数のエントラントの車に搭載されていた。
近年のカーオーディオコンテストでは、上位入賞するために「ハイレゾ」は必須と言えるほどの影響力を高めている。そのため、DSPにも大容量データをハイスピードで処理する高度な処理能力が必要とされてきているのだ。
「BRAX-DSP」は内部データ処理を192kHz/32bitにまで高め、AKMの最高級AD/DAコンバーターを搭載、電源部も強化するなど、徹底した音質設計が特徴となっている。実際に「BRAX-DSP」を搭載したデモカーを試聴すると、特に「グリーグ:ピアノ協奏曲」のピアノ協奏曲の冒頭のせり出しやサウンドステージの広がり感に圧倒される。ダイナミックレンジの広がりなど、ハイサンプリングで処理することによるメリットを生かしたセッティングを感じさせた。
再生ソースは昨年に引き続き、DAPを活用した再生方式が圧倒的な人気を誇った。特にソニーのNW-WM1Z(通称:金DAP)とAstell&KernのSP1000が人気を分ける。音質面はもとより、ハイレゾファイルをそのままワンタッチで出力できるUIの分かりやすさも魅力だろう。いずれもデジタルデータのまま出力してDSPに入力し、帯域分割を行い各アンプ・スピーカーに伝送する。
マリノサウンドのデモカーでは、Astell&KernのSP1000を使い、iPadによる専用操作アプリ「AK Connect」によるリモート操作を可能にしていた。代表の岩崎潤一さんによると、伝送系を短くすることで音質劣化を防ぐというアイデアだという。5月に納品されたばかりの新しい車へのインストールということだが、特にJUJUと久保田利伸のデュエットには濃密な色気が漂い、ゾクっとするようなエロティシズムを感じさせた。
ほかにも、オリオスペックが開発を行うcanarino 12Vを再生機器として使う車も多数登場。岩手県のカーショップ、サウンドフリークスではcanarino 12VにJRiver Media Centerをインストールし、スマートフォン端末のJRemoteから再生指示を行う「ネットオーディオ」的なスタイルの再生方式を提案する。foobar2000もインストールされており、聴き比べもできるということだが、設定のしやすさなどからJRMCを選択。特に中低域にかけてコシのある豊かなサウンドを展開していた。青森県のイングラフもcanarino 12Vのfoobar2000からiphoneでリモート再生。BRAX-DSPも導入し、キレがありながらもひとつひとつの音に情報量が大きいという2つの特性を高度に両立したサウンドを実現していた。
しかし一方で、CDを再生ソースに使う再生方式もいまだ健在だ。審査委員の鈴木 裕氏は、ハイレゾ時代だからこその問題も発生してきているのではないかと指摘する。システムが複雑化することで伝送系が長くなってしまうことや、ネットワークの活用により生まれる高周波の電磁波の影響など、CD時代にはなかったノイズ源が生まれてきている。CDの魅力も改めて再確認した車もあったという。
今年から登場したトライムはキャデラックのデモカーを用意。audisonのbit One HDのプリアンプ、BLAMのスピーカー、ケーブル類にはサエクのRCAケーブルやスピーカーケーブルSTRATOSPHERE SP-10、スープラのUSBや光デジタルケーブルを活用するなど、アクセサリー類にもこだわったシステム構成を実現している。余裕のある筐体を生かしたステージ感が特徴で、ケーブルによる細部のチューニングが威力を発揮する。
女性エントラントの健闘も光った。DYNAUDIO ESOTECコースにエントリーしていた小川真由美さんは、「温かみのある音」を目標として音質をチューニングしたと語ってくれた。赤と黒をベースとしたおしゃれな車内インテリアも彼女のこだわりだが、のCar-DENのチームとともに自分の理想の音をしっかりイメージした上で、音質を徹底的追求したという。