公開日 2023/06/24 15:25
<OTOTEN>ヘッドホンからサラウンドまで多様な展示、“振動床”やカーオーディオ体験も
オーディオイベントでは珍しい顔ぶれ
国内最大級のオーディオ&ホームシアターイベント「OTOTEN 2023」が、本日6月24日と25日の2日間、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催されている。本稿では、イベントへの入場口となるB1Fブースの模様をレポートしたい。
昨年に引き続いてのリアル開催となった今年のOTOTENは、入場登録こそ必要なものの、熱意のあるオーディオファンが詰めかけ、イベント開場の10時には行列ができていた。入場受付口からそのまま続くかたちで配置されたB1Fの出展ブースは、BtoB向けのソリューションやサラウンド体験など、ピュアオーディオ製品とはまた異なった展示が目立つ。
イベントを主催する一般社団法人日本オーディオ協会は、OTOTEN2023ではその来場者の幅を広げることを目標に展示内容を拡大、「オーディオ、ホームシアターに加え、カーオーディオ、イヤホン・ヘッドホン、マイクなど様々な用途、シーンの提案を行って、さらに楽しんでいただけるもの」にしたと説明している。『明日ちゃんのセーラー服』などの作者として知られる漫画家の博氏が制作したキービジュアルが大きくデザインされた入場ゲートも、その活動の一環だ。
そういった試みを受けてか、OTOTENイベントに初参加のメーカーも多い。オーディオブレインズもその1つで、これまでbeyerdynamic社の設備音響や会議用スピーカーフォンを取り扱ってきたが、この3月からイヤホン/ヘッドホンなどコンシューマーシリーズ製品の取り扱いを開始したことから、ユーザーの認知拡大を狙う。
beyerdynamicの製品を視聴できるのはもちろん、ブースではPowersoftブランドの「Mover ID」という “振動トランスデューサー” のデモスペースが目を引く。これはコンテンツに含まれる低音成分に対し振動を生成して、骨伝導の応用で直接低い周波数を人体に届けるというもので、4DXシネマで座席が振動するようなイメージだ。実際、4Dシネマやテーマパーク、振動床のアミューズメントなどで活用できるものだそうで、デモスペースでは製品サイズからは想像ができない振動が体験できた。
エミライはテレワークやリビングなどの環境で楽しめるような、省スペースで実現できるオーディオシステムを中心に展示を行っていた。Ferrum AudioのDAC/プリ「WANDLA」やDCパワーサプライ「HYPOS」などが並ぶトールボーイスピーカーシステム、FiiO初のアクティブスピーカー「SP3」を使ったデスクトップシステムなどが体験できるようになっていたが、注目なのは調音パネルだ。
これはArtnovionというポルトガルの音響パネルメーカーの製品で、近日の取り扱い開始を予定しているとのこと。同ブランドはB&W本社の視聴室にも採用されており、音響工学を修めた創業者により理論に基づいた設計がなされており、さらにデザイン性に優れていることから、調音効果と導入しやすさを兼ね備えている点が特徴となる。製品はパネルデザインと表面素材、内部構造の組み合わせが5,000種類にのぼるということから、今回展示した製品と同じものが取り扱われるかはわからないが、続報に期待したい。
コルグは同社の映像/音声配信システム「Live Extreme」を中心にブースを構成。“業界史上最高音質” を謳う同システムでは、最大4Kの高解像度映像とともに、ビットパーフェクトのロスレス/ハイレゾ・オーディオ(最大 PCM 384kHz/24bit および DSD 5.6MHz) をライブ配信できる。利用者はブラウザで気軽に楽しめるのも特徴だが、一方でスマートフォン環境では、iPhoneでのハイレゾ再生やAndroidでのドルビーアトモス再生などができないという、ブラウザの仕様がボトルネックになるのも課題だった。
今回コルグは、「Live Extreme Experience」アプリを参考出展した。これはLive Extremeをアプリ形式にすることで、iPhoneではUSB DAC使用によりハイレゾ再生を可能にしたり、Androidでのドルビーアトモス再生に対応するほか、各配信プラットフォームとの連携も可能といった特徴を備えたもので、上述の課題を補完するような位置づけとなる。まだ提供時期などは未定とのことだが、このアプリが登場すれば、Live Extremeの活用シーンがさらに広がりそうだ。
ミューシグナルがデモするのは、パッシブスピーカーの “ワイヤレス化” を実現する「ミュートラックス」だ。パソコンに繋いだ親機から、Wi-Fiを利用して、音源データを子機へとワイヤレス伝送、子機からスピーカーへはアナログ/デジタル両方の出力で接続できる。ワイヤレス化に加え、複数台を同時接続できるのもポイントで、現在検証済みの同時接続台数は20台に及ぶという。ハイレゾにも対応するほか、指向性のあるWi-Fiを使って500m先のスピーカーへの伝送も可能とのことで、イベント会場など幅広いケースでの使用が可能であるとアピールしていた。
オーディオイベントの出展は珍しいというフラウンホーファーのブースでは、LC3/LC3plusコーデックの視聴体験ができるようになっていた。このように、普段なかなかオーディオファンでも体験する機会のないデモが行われているのが今回のOTOTENのB1Fブースの特徴といえる。
その特徴は、デモカー3台が並ぶカーオーディオ体験コーナーからも感じられる。パイオニア(カロッツェリア)、アルパイン、ハーマンインターナショナル(マークレビンソン)の3社がそれぞれデモカーを用意しており、ハイグレードなサウンドを視聴することが可能だ。
過去にもOTOTENではカーオーディオコーナーを用意してきたが、毎回その人気は高く、整理券を用意するマークレビンソンのデモカーは開始30分で昼過ぎまでの視聴予約が埋まってしまっていた。カロッツェリアとアルパインにも常に視聴待ちの行列ができていたが、「パブリックな会場でのイベントでこのクラスのデモカーを体験できるのは年に1回あるかないか」(マークレビンソン担当者)とのことだったので、それだけの価値はあるだろう。なお、会場5階(G505)では、カロッツェリアのユニットを使用し、なるべく車内で聞けるサウンドに近づけたというスピーカーの音が体験できるので、そちらにも足を運んでみてほしい。
カーオーディオコーナーの奥には、WOWOWが7.1.4chサラウンドサウンドの体験ブースを構えている。同社とNTTスマートコネクトが協業して開発された、ハイレゾ音源や3Dオーディオ(AURO-3D)再生を楽しめる「ωプレーヤー」を利用したデモで、「設置会場の関係で天井がないが、それにもかかわらず高さ方向の音がとても感じられる」と担当者はアピールしていた。
昨年に引き続いてのリアル開催となった今年のOTOTENは、入場登録こそ必要なものの、熱意のあるオーディオファンが詰めかけ、イベント開場の10時には行列ができていた。入場受付口からそのまま続くかたちで配置されたB1Fの出展ブースは、BtoB向けのソリューションやサラウンド体験など、ピュアオーディオ製品とはまた異なった展示が目立つ。
イベントを主催する一般社団法人日本オーディオ協会は、OTOTEN2023ではその来場者の幅を広げることを目標に展示内容を拡大、「オーディオ、ホームシアターに加え、カーオーディオ、イヤホン・ヘッドホン、マイクなど様々な用途、シーンの提案を行って、さらに楽しんでいただけるもの」にしたと説明している。『明日ちゃんのセーラー服』などの作者として知られる漫画家の博氏が制作したキービジュアルが大きくデザインされた入場ゲートも、その活動の一環だ。
そういった試みを受けてか、OTOTENイベントに初参加のメーカーも多い。オーディオブレインズもその1つで、これまでbeyerdynamic社の設備音響や会議用スピーカーフォンを取り扱ってきたが、この3月からイヤホン/ヘッドホンなどコンシューマーシリーズ製品の取り扱いを開始したことから、ユーザーの認知拡大を狙う。
beyerdynamicの製品を視聴できるのはもちろん、ブースではPowersoftブランドの「Mover ID」という “振動トランスデューサー” のデモスペースが目を引く。これはコンテンツに含まれる低音成分に対し振動を生成して、骨伝導の応用で直接低い周波数を人体に届けるというもので、4DXシネマで座席が振動するようなイメージだ。実際、4Dシネマやテーマパーク、振動床のアミューズメントなどで活用できるものだそうで、デモスペースでは製品サイズからは想像ができない振動が体験できた。
エミライはテレワークやリビングなどの環境で楽しめるような、省スペースで実現できるオーディオシステムを中心に展示を行っていた。Ferrum AudioのDAC/プリ「WANDLA」やDCパワーサプライ「HYPOS」などが並ぶトールボーイスピーカーシステム、FiiO初のアクティブスピーカー「SP3」を使ったデスクトップシステムなどが体験できるようになっていたが、注目なのは調音パネルだ。
これはArtnovionというポルトガルの音響パネルメーカーの製品で、近日の取り扱い開始を予定しているとのこと。同ブランドはB&W本社の視聴室にも採用されており、音響工学を修めた創業者により理論に基づいた設計がなされており、さらにデザイン性に優れていることから、調音効果と導入しやすさを兼ね備えている点が特徴となる。製品はパネルデザインと表面素材、内部構造の組み合わせが5,000種類にのぼるということから、今回展示した製品と同じものが取り扱われるかはわからないが、続報に期待したい。
コルグは同社の映像/音声配信システム「Live Extreme」を中心にブースを構成。“業界史上最高音質” を謳う同システムでは、最大4Kの高解像度映像とともに、ビットパーフェクトのロスレス/ハイレゾ・オーディオ(最大 PCM 384kHz/24bit および DSD 5.6MHz) をライブ配信できる。利用者はブラウザで気軽に楽しめるのも特徴だが、一方でスマートフォン環境では、iPhoneでのハイレゾ再生やAndroidでのドルビーアトモス再生などができないという、ブラウザの仕様がボトルネックになるのも課題だった。
今回コルグは、「Live Extreme Experience」アプリを参考出展した。これはLive Extremeをアプリ形式にすることで、iPhoneではUSB DAC使用によりハイレゾ再生を可能にしたり、Androidでのドルビーアトモス再生に対応するほか、各配信プラットフォームとの連携も可能といった特徴を備えたもので、上述の課題を補完するような位置づけとなる。まだ提供時期などは未定とのことだが、このアプリが登場すれば、Live Extremeの活用シーンがさらに広がりそうだ。
ミューシグナルがデモするのは、パッシブスピーカーの “ワイヤレス化” を実現する「ミュートラックス」だ。パソコンに繋いだ親機から、Wi-Fiを利用して、音源データを子機へとワイヤレス伝送、子機からスピーカーへはアナログ/デジタル両方の出力で接続できる。ワイヤレス化に加え、複数台を同時接続できるのもポイントで、現在検証済みの同時接続台数は20台に及ぶという。ハイレゾにも対応するほか、指向性のあるWi-Fiを使って500m先のスピーカーへの伝送も可能とのことで、イベント会場など幅広いケースでの使用が可能であるとアピールしていた。
オーディオイベントの出展は珍しいというフラウンホーファーのブースでは、LC3/LC3plusコーデックの視聴体験ができるようになっていた。このように、普段なかなかオーディオファンでも体験する機会のないデモが行われているのが今回のOTOTENのB1Fブースの特徴といえる。
その特徴は、デモカー3台が並ぶカーオーディオ体験コーナーからも感じられる。パイオニア(カロッツェリア)、アルパイン、ハーマンインターナショナル(マークレビンソン)の3社がそれぞれデモカーを用意しており、ハイグレードなサウンドを視聴することが可能だ。
過去にもOTOTENではカーオーディオコーナーを用意してきたが、毎回その人気は高く、整理券を用意するマークレビンソンのデモカーは開始30分で昼過ぎまでの視聴予約が埋まってしまっていた。カロッツェリアとアルパインにも常に視聴待ちの行列ができていたが、「パブリックな会場でのイベントでこのクラスのデモカーを体験できるのは年に1回あるかないか」(マークレビンソン担当者)とのことだったので、それだけの価値はあるだろう。なお、会場5階(G505)では、カロッツェリアのユニットを使用し、なるべく車内で聞けるサウンドに近づけたというスピーカーの音が体験できるので、そちらにも足を運んでみてほしい。
カーオーディオコーナーの奥には、WOWOWが7.1.4chサラウンドサウンドの体験ブースを構えている。同社とNTTスマートコネクトが協業して開発された、ハイレゾ音源や3Dオーディオ(AURO-3D)再生を楽しめる「ωプレーヤー」を利用したデモで、「設置会場の関係で天井がないが、それにもかかわらず高さ方向の音がとても感じられる」と担当者はアピールしていた。