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公開日 2001/02/23 18:19
<Q&A全問掲載>東芝・松下の液晶新会社設立について
質問に答えた東芝の岡村 正社長(左)、松下の中村邦夫社長(右) |
○この提携はいつから交渉がはじまったのか?
<東芝>昨年の10月頃から松下様に打診を開始した。
○この新会社で製造されるのはすべてOCB方式による高速駆動な液晶なのか? OCBは量産が難しいと言われているが、2002年の会社設立時点で量産は可能なのか?
<松下>設立時点では、すべてOCBというわけではない。まだ技術が完成したばかりで、これから量産化のために努力していきたい。一日も早い量産化を目指していく。
○両社がパートナーシップを組む具体的なメリットは?
<東芝>両社が持つ技術を補完しあうことによるメリット、両社が共同でパネルを作ることによる規模のメリット、この二つが重要な要因となった。
○新会社で作ったパネルは親会社である両社が買い取るということだが、その買い取る量は出資比率に応じて配分されるのか?
<東芝>その方向で進んでいる。
○米国を中心にIT不況が叫ばれている中、液晶に多額の投資をすることをどう考えているか?
<東芝>米国のIT不況は一過性のもので、ただの在庫調整という認識だ。2002年〜2003年にかけ、携帯電話やPDA、ノートパソコンの伸びに合わせて液晶の需要はますます増えると予測している。
<松下>DV、TVなど液晶を必要とする製品は数多い。設備投資はシンガポールに集中し、効率を上げていく。
○東芝はアモルファス液晶分野ではIBMと提携していたが、今回はIBMとは交渉しなかったのか?
<東芝>どこと交渉をしたか、具体的には言えない。
○低温ポリシリコン液晶は有機EL分野への応用が期待できるというが、新会社で具体的に研究していくことはあるか?
<東芝>現在のところ考えていない。
○OCB方式が搭載されるとカラーフィルターが要らなくなるといわれているが、それは本当か?
<松下>将来的には要らなくなるだろう。そのために現在努力しているところだ。カラーフィルターがなくなればさらなるコストダウンにつながるので、力を入れていきたい。
○フロンティア的な分野での両社の提携が目立つが、何か理由があるのだろうか?
<東芝>特殊な関係だとは思っていないが、色々な分野で目指す方向性が似ているということだろう。我々は日本マーケットだけを見ているわけではなく、グローバルな視点でベストな選択をしていると考えている。
○シンガポールに設立したメリットは?
<東芝>電気の安定供給、インフラの充実などが挙げられる。シンガポール政府からのインセンティブは、現在協議中だ。
○出資比率「東芝67%松下33%」はどうやって決めたのか?
<東芝>言い出したのは東芝だということ、スタートの段階の技術力は我々がリードしているということなどから決定した。
○両社は米国の景気がトーンダウンしていることで業績を下方修正しているが、それに対するコメントを。
<松下>米国の景気はソフトランディングするという認識だ。事実、個人消費は落ちていないようだ。一時的に落ちてもまたすぐに回復するだろう。
○将来的に有機ELと低温ポリシリコン液晶はどう棲み分けを行うのか?
<東芝>有機ELは、量産開始当初は携帯電話など小さい液晶パネル用途に期待している。そのあとはまだ具体的に検討していない。
○ずばり、両社の合併はあるのか?
<東芝>両社の様々な提携は、あくまでグローバル市場に立ち向かうための方策の一つ。あくまで事業単位で考えており、合併はない。
<松下>現在のところ考えていない。
○新会社の量産開始当初の売り上げ規模、シェアは?
<東芝>1000億円を超える規模、シェアは2ケタレベルを予定している。
○シンガポールに新会社を設立したことの位置的なメリットは?
<東芝>東南アジアには生産拠点がたくさんある。その点でシンガポールはベストな選択肢だ。
<松下>シンガポールには関連会社を8社持っている。後工程にも有利となる。
○新会社設立により液晶の価格は下がるのか?また、テレビへの応用も期待できるのか?
<松下>テレビへの応用は我々にとっても関心事だ。テクノロジーを用いてコストを下げ、安価な液晶テレビの生産に力を注ぎたい。
○シンガポール以外においても両社は技術を供与する予定はあるか?
<東芝>先のことはわからない。協調はしていきたいが、いまのところ未定である。
○新会社で生産した液晶パネルを、親会社である両社以外の会社に外販する事はあるか?
<東芝>あくまで両社の製品に使用するためであって、いまのところ全く考えていない。
(Phile-web編集部)