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公開日 2005/07/13 19:11
次世代オーディオコーデック「ドルビーデジタル・プラス」のセミナーが開催される(AES東京コンベンション2005)
7月12日から、東京・九段の科学技術館にて「AES東京コンベンション2005」が開催中である(主催:AES日本支部)。同コンベンションは、2年に1度、日本のプロオーディオの最先端を一同に集めて開催されるが、今回は「人・環境にやさしいオーディオエンジニアリング(What Audio Could Do for Humans and Environment in the New Era)」をメインテーマに、技術発表、ワークショップ、機器展示などが行われている。会期は明日14日まで。
2日目・13日午後のプロダクトセミナーで、AVファン注目のテーマが取り上げられた。ひとつは「ドルビーデジタル・プラス(Dolby Digital Plus)」、もうひとつは「DTS−HD」である。どちらも次世代DVDに採用されたオーディオコーデックとして話題の最新技術である。
ここでは、ドルビーラボラトリーズインタナショナル サービスインク日本支社による「次世代オーディオコーデックDolby Digital Plus とMLP Lossless」のセミナーを紹介しよう。プレゼンターは同社の白柳 亨氏。
ドルビーデジタルプラス(以下、DD+)は、その名のとおりドルビーデジタル(以下、現行DD)の拡張版である。基本的なアルゴリズムは、現行DDと同じ(聴覚心理に基づいたデジタル音声圧縮技術)である。
詳細は、ETSI(European Telecommunications Standards Institute)のウェブサイトから入手できる。同サイトの検索で見つけられるが、DD+という名前ではなく、Enhanced AC-3と表記されているので、AC-3で検索すればよい。またDD+は、ATSCにも同様のスペックが提出済み。ATSCでは年内中に正式に承認される見込みとのこと。
現行DDとDD+の違いとしては、まずビットレートが挙げられる。現行DDは96kbps-640kbps、DD+は32kbps-6Mbpsと大幅に拡張されている。高ビットレートは次世代ディスクからの要求で、高音質かつ5.1ch以上が望まれた結果である。一方で低ビットレートにも対応しており、これは衛星・ケーブルテレビからの要求によるもの。しかしながら低ビットレートでも音質を保つ改良が施されている。これは昨年秋にAESのコンベンションで開示されたホワイトペーパーに詳細が記されているという。
現行DDとDD+の違いのもうひとつはチャンネル数である。なんとDD+は13.1chまで対応可能となっている。白柳氏によると、13.1chはドルビーが決めたチャンネル数ではなく、将来のD-Cinemaに対応するために出てきた数ということ。それはSMPTEによる「PROPOSED SMPTE RECOMMENDED PRACTICE」でD-Cinemaの数が記されている。→下図参照。
これによるとD-Cinemaのチャンネル数は20チャンネル以上あるが、実際の使用時には選択される。また「聴覚障害者用チャンネル」と「視覚障害者用チャンネル」も含まれている。D-Cinemaでは最大16chを規定し、そこから障害者用チャンネル2つを引くと14chになり、LFE(低音用)を含んでいるので、13.1chという計算になる。現実的かどうかは別として、やろうと思えば、DD+は現在20ch(18.2ch)までをカバーできるという。
では、ビットストリームの構成についてはどうなっているのか。5.1ch以上をどのように実現するかである。DD+はサブストリームを利用することでそのチャンネル数を可能にしている。「インディペンダント・サブストリーム(以下、IS)」は単独でデコード可能。「ディペンダント・サブストリーム(以下、DS)」はISへの追加チャンネル情報にあたり、複数のサブストリームの形で6Mbpsを構成するが、このサブストリームの考え方で拡張も可能であるという。
例として7.1chエンコードシステムが紹介された。ただし5.1chから増えた2ch分はハリウッドの統一見解が出ていないので、LB(レフトバック)、RB(ライトバック)になるとは限らないので暫定的なものである。
5.1chエンコードのときはオリジナルの7.1chをダウンミックスし、ISへエンコードされる。残りの2チャンネルはLB、RBだけでなく、LS(レフトサラウンド)、RS(ライトサラウンド)も加えられた4chでDSへエンコードされる(下図の左側がエンコード)。
ユーザーによる再生時には、5.1ch再生はISだけをデコードすることで実現する。ダウンミックスによってLB、RB成分も含まれたLS’とRS’によってオリジナルに近い5.1ch再生となる。さらに7.1再生のときはまずISをデコードし、デコードされた5.1chから、LS’とRS’を外して、DSからデコードされたオリジナルの4chを加えて7.1chとする。DD+では、これを「リプレイス&コンバイン」と呼ぶ。(上図の右側がデコード)
さらにDD+では、2chダウンミックスの手法が変わる。現行DDはLo/Ro、Lt/Rtがあり、後ろをプロロジックデコードし、LCRSの分離が可能だった。DD+はプロロジックUデコードすることで、LCRとLS,RSが分離可能になった。また、LFEミックスができる。現行DDではLFEがダウンミックスされなかったが、DD+からはメタデータから生成可能になったという。
さらなる機能も紹介された。DD+ではオーディオ・ミキシングにも対応する。オーディオ・ミキシング機能は、プライマリーオーディオだけでなく、セカンダリー・オーディオに対応するというもの。映画を見ている最中に、ユーザーのリモコンでメニュー選択画面から「監督のコメンタリー」を選択すると、映画を再生しながら、それにインターネットからストリーミングされた、コメンタリーオーディオがミキシング可能になる。
プライマリーオーディオの音声をコントロールするメタデータなどが入っている。またパンニングのメタデータもあり、モノラル・デュアルモノの左右振りができる。(「できる」という意味は、HD-DVDもBlu-rayも必ずしも前記のとおり実施されるとは限らないことに注意)。
AVファンの興味は、現行DDとDD+の互換性であろう。現行DDデコーダーはDDビットストリームのみデコード可能。DD+デコーダーは現行DD、DD+どちらのビットストリームもデコード可能。つまり「上位互換」である。しかしながらDD+には、DDコンバーターという機能がある。DD+の信号が次世代デコーダーに入ると、SPDIF(いわゆるデジタル音声出力)から現行DDを出力可能になっているので、現行AVアンプでも5.1ch再生がサポート可能となる。ただし、セットトップボックス+チューナーはそのとおりだが、次世代ディスクプレーヤーではオーディオ・ミキシング機能とのトレードオフで、DDコンバーターが付かない場合もある。
ドルビーではデコーダーのことを正確には「DD+デコーダー・コンバーター」と呼ぶ。現行DDへのコンバーターは、DD+デコード後のPCM音声を現行DDに再エンコードするわけではなく、DD+のビットレートに関わらず、常に640bpsのDDに変換するという。周波数上軸上のデータを取り出してDDビットストリームに変換する。その際に640bpsという最上位をサポートする。これはエンコーダー側で常に変換しやすいように工夫している。
では、SPDIF(現行のデジタル音声出力)では現行DDストリームが出てくるとなると、次世代プレーヤーではDD+のビットストリームは出てこないのかという疑問が生じてくる。これは将来的にHDMIまたはIEEE1394で出力することになる。やはりSPDIFでは出力しない方針だ。ドルビーとしては、まずはHDMIでDD+を出力することを第一に考えているという。7.1ch「DD+」デコーダー搭載AVアンプは06末から07年初になる予定。また「DD+」仕様のAVアンプはイコール7.1chになる。5.1chというモデルは想定されていないということだ。
さて続いて、同じくドルビーがサポートするMLPについて解説が続いた。
MLPは英国のメリディアン社の開発したロスレス音声圧縮方式。DVDオーディオに採用済みなので、知っているユーザーも多いであろう。DVDオーディオプレーヤーでは、Packed PCMという呼び名もある。今年に入ってからドルビーがライセンスと技術サポートを行っているという。
柔軟性に富んだ方式で、将来的にfs、ch数拡張可能。業界で実証済みの最も信頼できるロスレス方式である。ロスレスはエンコード前とデコード後のビット数が完全に一致する方式のこと。ではどのくらい圧縮できるのか。例として映画4.61Mbpsが1.4Mbps前後くらいに圧縮可能。つまり約1/3くらいの圧縮である。モノによっては1/4に可能という。音楽ソースに関しては1/2に圧縮できる。次世代ディスク方式でも採用決定しており、HD-DVDではマンダトリー(必須)、BDではサブ規定となっている。
MLPは、現行DVDオーディオ用では6chであるが、次世代用MLPでは8chまでサポートするようになる。ピークデータレートは9.6Mbpsから18.0Mbpsまでサポート。映画音声を扱うことを想定して、ダイアログ・ノーマライゼーションや、ダイナミックレンジコントロールもある。Format_syncは、FBBストリームからFBAストリームになるという。
互換性はDD+と似ている。旧MLPデコーダーはFBBストリームのみデコード可で、新MLPデコーダーはFBA、FBBどちらもデコード可能。MLPもサブストリーム構成を採っている。サブストリームがDVDオーディオでは「0」「1」までのサブストリームだったが、「2」までサポートしている。ということはサブストリームを増やすことで将来的なチャンネル増にも対応できるということである。逆に2chデコーター、6chデコーダー、8chデコーダーという開発も可能で、デコードに必要なリソース量(MIP値、メモリー量)はデコードチャンネル数に比例していく。このあたりはDD+ではあまり変わらない。HD-DVDでは最低2chのMLPデコーダーがマンダトリー(必須)になっている。
MLPデコーダーではビットストリームが入っていくると、サブストリーム「0」をデコードし、マトリックス回路を通して再生する。6chデコーダーでもマトリックス処理で信号になる。これがメジャーな手法になるという。
MLPのビットストリームは、DVDオーディオのときも出していなかった。もともとSPDIFでは帯域が足りないためだが、次世代DVDではHDMI経由でMLPビットストリーム出力があり。次世代8chMLP対応AVアンプもDD+対応アンプと同時期に出てくることが予想される。
現行DDはDD+に置き換わっていくが、DD+ではこれまでの5.1chではなく、低ビットレートで放送用に使われ、高ビットレートで高音質かつ5.1ch以上のコンテンツに使われることになる。MLPは現時点は当面、DD+と共存併用していくことになる。しかしMLPはかなり高いビットレートなので、パッケージメディアにおいては高音質盤、プレミアム盤に使われていくのに最適となる。
ドルビーでは、次世代ディスク用MLPに新しい名前を検討中である。正式発表は9月初旬を予定。これまでのDVDオーディオ用であるMLP Losslessの名前は継続されるという。
<参考>ドルビーデジタル・プラス(DD+)に関しては、月刊AVレビュー6月号にも関連記事があります。
(月刊AVレビュー編集部)
2日目・13日午後のプロダクトセミナーで、AVファン注目のテーマが取り上げられた。ひとつは「ドルビーデジタル・プラス(Dolby Digital Plus)」、もうひとつは「DTS−HD」である。どちらも次世代DVDに採用されたオーディオコーデックとして話題の最新技術である。
ここでは、ドルビーラボラトリーズインタナショナル サービスインク日本支社による「次世代オーディオコーデックDolby Digital Plus とMLP Lossless」のセミナーを紹介しよう。プレゼンターは同社の白柳 亨氏。
ドルビーデジタルプラス(以下、DD+)は、その名のとおりドルビーデジタル(以下、現行DD)の拡張版である。基本的なアルゴリズムは、現行DDと同じ(聴覚心理に基づいたデジタル音声圧縮技術)である。
詳細は、ETSI(European Telecommunications Standards Institute)のウェブサイトから入手できる。同サイトの検索で見つけられるが、DD+という名前ではなく、Enhanced AC-3と表記されているので、AC-3で検索すればよい。またDD+は、ATSCにも同様のスペックが提出済み。ATSCでは年内中に正式に承認される見込みとのこと。
現行DDとDD+の違いとしては、まずビットレートが挙げられる。現行DDは96kbps-640kbps、DD+は32kbps-6Mbpsと大幅に拡張されている。高ビットレートは次世代ディスクからの要求で、高音質かつ5.1ch以上が望まれた結果である。一方で低ビットレートにも対応しており、これは衛星・ケーブルテレビからの要求によるもの。しかしながら低ビットレートでも音質を保つ改良が施されている。これは昨年秋にAESのコンベンションで開示されたホワイトペーパーに詳細が記されているという。
現行DDとDD+の違いのもうひとつはチャンネル数である。なんとDD+は13.1chまで対応可能となっている。白柳氏によると、13.1chはドルビーが決めたチャンネル数ではなく、将来のD-Cinemaに対応するために出てきた数ということ。それはSMPTEによる「PROPOSED SMPTE RECOMMENDED PRACTICE」でD-Cinemaの数が記されている。→下図参照。
これによるとD-Cinemaのチャンネル数は20チャンネル以上あるが、実際の使用時には選択される。また「聴覚障害者用チャンネル」と「視覚障害者用チャンネル」も含まれている。D-Cinemaでは最大16chを規定し、そこから障害者用チャンネル2つを引くと14chになり、LFE(低音用)を含んでいるので、13.1chという計算になる。現実的かどうかは別として、やろうと思えば、DD+は現在20ch(18.2ch)までをカバーできるという。
では、ビットストリームの構成についてはどうなっているのか。5.1ch以上をどのように実現するかである。DD+はサブストリームを利用することでそのチャンネル数を可能にしている。「インディペンダント・サブストリーム(以下、IS)」は単独でデコード可能。「ディペンダント・サブストリーム(以下、DS)」はISへの追加チャンネル情報にあたり、複数のサブストリームの形で6Mbpsを構成するが、このサブストリームの考え方で拡張も可能であるという。
例として7.1chエンコードシステムが紹介された。ただし5.1chから増えた2ch分はハリウッドの統一見解が出ていないので、LB(レフトバック)、RB(ライトバック)になるとは限らないので暫定的なものである。
5.1chエンコードのときはオリジナルの7.1chをダウンミックスし、ISへエンコードされる。残りの2チャンネルはLB、RBだけでなく、LS(レフトサラウンド)、RS(ライトサラウンド)も加えられた4chでDSへエンコードされる(下図の左側がエンコード)。
ユーザーによる再生時には、5.1ch再生はISだけをデコードすることで実現する。ダウンミックスによってLB、RB成分も含まれたLS’とRS’によってオリジナルに近い5.1ch再生となる。さらに7.1再生のときはまずISをデコードし、デコードされた5.1chから、LS’とRS’を外して、DSからデコードされたオリジナルの4chを加えて7.1chとする。DD+では、これを「リプレイス&コンバイン」と呼ぶ。(上図の右側がデコード)
さらにDD+では、2chダウンミックスの手法が変わる。現行DDはLo/Ro、Lt/Rtがあり、後ろをプロロジックデコードし、LCRSの分離が可能だった。DD+はプロロジックUデコードすることで、LCRとLS,RSが分離可能になった。また、LFEミックスができる。現行DDではLFEがダウンミックスされなかったが、DD+からはメタデータから生成可能になったという。
さらなる機能も紹介された。DD+ではオーディオ・ミキシングにも対応する。オーディオ・ミキシング機能は、プライマリーオーディオだけでなく、セカンダリー・オーディオに対応するというもの。映画を見ている最中に、ユーザーのリモコンでメニュー選択画面から「監督のコメンタリー」を選択すると、映画を再生しながら、それにインターネットからストリーミングされた、コメンタリーオーディオがミキシング可能になる。
プライマリーオーディオの音声をコントロールするメタデータなどが入っている。またパンニングのメタデータもあり、モノラル・デュアルモノの左右振りができる。(「できる」という意味は、HD-DVDもBlu-rayも必ずしも前記のとおり実施されるとは限らないことに注意)。
AVファンの興味は、現行DDとDD+の互換性であろう。現行DDデコーダーはDDビットストリームのみデコード可能。DD+デコーダーは現行DD、DD+どちらのビットストリームもデコード可能。つまり「上位互換」である。しかしながらDD+には、DDコンバーターという機能がある。DD+の信号が次世代デコーダーに入ると、SPDIF(いわゆるデジタル音声出力)から現行DDを出力可能になっているので、現行AVアンプでも5.1ch再生がサポート可能となる。ただし、セットトップボックス+チューナーはそのとおりだが、次世代ディスクプレーヤーではオーディオ・ミキシング機能とのトレードオフで、DDコンバーターが付かない場合もある。
ドルビーではデコーダーのことを正確には「DD+デコーダー・コンバーター」と呼ぶ。現行DDへのコンバーターは、DD+デコード後のPCM音声を現行DDに再エンコードするわけではなく、DD+のビットレートに関わらず、常に640bpsのDDに変換するという。周波数上軸上のデータを取り出してDDビットストリームに変換する。その際に640bpsという最上位をサポートする。これはエンコーダー側で常に変換しやすいように工夫している。
では、SPDIF(現行のデジタル音声出力)では現行DDストリームが出てくるとなると、次世代プレーヤーではDD+のビットストリームは出てこないのかという疑問が生じてくる。これは将来的にHDMIまたはIEEE1394で出力することになる。やはりSPDIFでは出力しない方針だ。ドルビーとしては、まずはHDMIでDD+を出力することを第一に考えているという。7.1ch「DD+」デコーダー搭載AVアンプは06末から07年初になる予定。また「DD+」仕様のAVアンプはイコール7.1chになる。5.1chというモデルは想定されていないということだ。
さて続いて、同じくドルビーがサポートするMLPについて解説が続いた。
MLPは英国のメリディアン社の開発したロスレス音声圧縮方式。DVDオーディオに採用済みなので、知っているユーザーも多いであろう。DVDオーディオプレーヤーでは、Packed PCMという呼び名もある。今年に入ってからドルビーがライセンスと技術サポートを行っているという。
柔軟性に富んだ方式で、将来的にfs、ch数拡張可能。業界で実証済みの最も信頼できるロスレス方式である。ロスレスはエンコード前とデコード後のビット数が完全に一致する方式のこと。ではどのくらい圧縮できるのか。例として映画4.61Mbpsが1.4Mbps前後くらいに圧縮可能。つまり約1/3くらいの圧縮である。モノによっては1/4に可能という。音楽ソースに関しては1/2に圧縮できる。次世代ディスク方式でも採用決定しており、HD-DVDではマンダトリー(必須)、BDではサブ規定となっている。
MLPは、現行DVDオーディオ用では6chであるが、次世代用MLPでは8chまでサポートするようになる。ピークデータレートは9.6Mbpsから18.0Mbpsまでサポート。映画音声を扱うことを想定して、ダイアログ・ノーマライゼーションや、ダイナミックレンジコントロールもある。Format_syncは、FBBストリームからFBAストリームになるという。
互換性はDD+と似ている。旧MLPデコーダーはFBBストリームのみデコード可で、新MLPデコーダーはFBA、FBBどちらもデコード可能。MLPもサブストリーム構成を採っている。サブストリームがDVDオーディオでは「0」「1」までのサブストリームだったが、「2」までサポートしている。ということはサブストリームを増やすことで将来的なチャンネル増にも対応できるということである。逆に2chデコーター、6chデコーダー、8chデコーダーという開発も可能で、デコードに必要なリソース量(MIP値、メモリー量)はデコードチャンネル数に比例していく。このあたりはDD+ではあまり変わらない。HD-DVDでは最低2chのMLPデコーダーがマンダトリー(必須)になっている。
MLPデコーダーではビットストリームが入っていくると、サブストリーム「0」をデコードし、マトリックス回路を通して再生する。6chデコーダーでもマトリックス処理で信号になる。これがメジャーな手法になるという。
MLPのビットストリームは、DVDオーディオのときも出していなかった。もともとSPDIFでは帯域が足りないためだが、次世代DVDではHDMI経由でMLPビットストリーム出力があり。次世代8chMLP対応AVアンプもDD+対応アンプと同時期に出てくることが予想される。
現行DDはDD+に置き換わっていくが、DD+ではこれまでの5.1chではなく、低ビットレートで放送用に使われ、高ビットレートで高音質かつ5.1ch以上のコンテンツに使われることになる。MLPは現時点は当面、DD+と共存併用していくことになる。しかしMLPはかなり高いビットレートなので、パッケージメディアにおいては高音質盤、プレミアム盤に使われていくのに最適となる。
ドルビーでは、次世代ディスク用MLPに新しい名前を検討中である。正式発表は9月初旬を予定。これまでのDVDオーディオ用であるMLP Losslessの名前は継続されるという。
<参考>ドルビーデジタル・プラス(DD+)に関しては、月刊AVレビュー6月号にも関連記事があります。
(月刊AVレビュー編集部)