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公開日 2005/12/06 17:15
きょうは「音の日」−日本オーディオ協会が「音の匠」を顕彰
(社)日本オーディオ協会は本日、「音の日」行事を東京都内で開催。「音の匠」顕彰式をはじめとする様々なイベントが行われた。
「音の日」が制定されたのは1994年のこと。エジソンがフォノグラフを発明したのが1877年12月6日だったことにちなみ、日本オーディオ協会と日本音楽スタジオ協会などが協調して制定した。
本日のイベントでは、第10回となる「音の匠」顕彰式が行われた。今年の「音の匠」は、(株)ミキサーズ・ラボ代表取締役社長の内沼映二氏、パイオニア(株)技術開発本部 顧問の沢口真生氏、ソニー(株)ビデオ事業本部 兼 オーディオ事業本部 シニアエンジニアの西尾文孝氏の3名。さらに、今回は10回目の記念の年ということで、特別賞として録音エンジニア/音楽プロデューサーのエリオット・シャイナー氏が表彰された。各受賞者の受賞理由と略歴は以下の通り。
内沼映二氏は「ステレオからサラウンドにいたる録音技術と作品制作」が受賞理由。内沼氏は1944年生まれ。テイチク、ビクター、RVCなどの録音部を経て、1979年にレコーディング・エンジニア集団の(株)ミキサーズ・ラボを設立。エンジニアの派遣業とともに、1990年には自社運営のレコーディング・スタジオ「WESTSIDE」を設立した。最近では映画のサントラ等のサラウンドミックスも手がけ、2004年には音楽を楽しみながら再生システムのチューニングができる5.1chサラウンドチェック・ディスク「CHECKING DVD BY MUSIC」をプロデュースし、自社レーベルよりリリースした。1994年から1998年には(社)日本音楽スタジオ協会の会長を務めている。
沢口真生氏は「サラウンド音声番組制作とその技術開発・普及啓蒙」という功績に授賞された。沢口氏は1948年生まれ。1971年NHKに入局し、1987年音声チーフエンジニア。1999年音響デザイン部長。2003年制作技術センター長の要職を歴任。2005年パイオニア(株)技術開発本部顧問に就任。専門分野はドラマのサウンドデザイン。1985年以降はデジタル時代のサラウンド音声スタジオ設備設計とソフト開発に従事。1991年よりAESを中心としてサラウンド制作の技術発表やワークショップ等を担当。また1992年から96年にかけ、HD-TV MSSG研究会でハイビジョン時代のサラウンド制作に必要な音響設計ガイドラインを策定した。近年はInter BEE国際シンポジウムの企画運営、JPPA-AWARDミキシング部門審査員やAES技術委員会スタジオセクションの共同議長を務める。
西尾文孝氏の受賞理由は「ステレオ及びサラウンドの録再システム音質向上」。西尾氏は1961年生まれ。1986年九州大学総合理工学研究科エネルギー変換工学専攻修士卒。同年ソニー(株)入社。半導体事業本部を経て、1988年にプロオーディオ事業部へ異動。Sony Classicalレーベル向けの20bitレコーダー用ADコンバーター開発を担当した。1994年オーディオ開発本部への異動後、1bitΔΣ変調信号の直接記録・編集・再生技術(後の“Direct Stream Digital”)開発を開始。1996年にDSD編集処理LSIを開発し、プロトタイプのDSDレコーダーとDSD編集機の試作を行った。2000年以降は各社DSDレコーダーや編集機の商品化に関与しDSD方式の普及定着に努めた。
特別賞のエリオット・シャイナー氏は「サラウンド音楽制作および車載サラウンド機器開発」が表彰理由。1947年生まれ。ニューヨークのA&R RecordingでPhil Ramone氏のアシスタントとして出発。1973年にフリーのエンジニア/プロデューサーとして独立した。常に最先端技術に挑戦し、DVDオーディオ・DVDビデオ・デュアルディスクのためのサラウンドサウンド作品を制作、イーグルスの「ホテルカリフォルニア」、クイーンの「A Night at the Opera」等のサラウンド音楽作品を手がけた。車載機器部門ではホンダ/アキュラTLに搭載のELSサラウンドシステム等を開発し、車室空間におけるDVDオーディオとサラウンドサウンドの普及に貢献した。グラミー賞5回ほか多数の賞を受賞している。
顕彰式の冒頭、日本オーディオ協会会長の鹿井信雄氏が登壇し、「今年は愛知万博があり、NHKのスーパーハイビジョンでは22.2chが使われ、ソニー館でもサラウンド再生が話題になった。サラウンドの起源はステレオだが、これは1881年のパリ万博で、一般人が2台の電話機で同時に通話したことで発見されたと言われている。実際に商業用途で実用化されたのは、1940年の『ファンタジア』のことだ」とサラウンド音声の歴史を紹介した。今回の「音の匠」受賞者については「サラウンドが広がりつつある現状を受けて、サラウンドの発展に功績を残した方を表彰させて頂いた」と説明。また、今後のオーディオ業界について同氏は、「2011年の地上波テレビ放送の完全デジタル化を受けて、音の世界もさらに発展していくだろう。最近ではネットオーディオが隆盛だが、圧縮音声を極力いい音で楽しむのも重要だ」と述べ、「今後のオーディオ関係者の努力に期待したい」と述べ、挨拶を締めくくった。
(Phile-web編集部)
「音の日」が制定されたのは1994年のこと。エジソンがフォノグラフを発明したのが1877年12月6日だったことにちなみ、日本オーディオ協会と日本音楽スタジオ協会などが協調して制定した。
本日のイベントでは、第10回となる「音の匠」顕彰式が行われた。今年の「音の匠」は、(株)ミキサーズ・ラボ代表取締役社長の内沼映二氏、パイオニア(株)技術開発本部 顧問の沢口真生氏、ソニー(株)ビデオ事業本部 兼 オーディオ事業本部 シニアエンジニアの西尾文孝氏の3名。さらに、今回は10回目の記念の年ということで、特別賞として録音エンジニア/音楽プロデューサーのエリオット・シャイナー氏が表彰された。各受賞者の受賞理由と略歴は以下の通り。
内沼映二氏は「ステレオからサラウンドにいたる録音技術と作品制作」が受賞理由。内沼氏は1944年生まれ。テイチク、ビクター、RVCなどの録音部を経て、1979年にレコーディング・エンジニア集団の(株)ミキサーズ・ラボを設立。エンジニアの派遣業とともに、1990年には自社運営のレコーディング・スタジオ「WESTSIDE」を設立した。最近では映画のサントラ等のサラウンドミックスも手がけ、2004年には音楽を楽しみながら再生システムのチューニングができる5.1chサラウンドチェック・ディスク「CHECKING DVD BY MUSIC」をプロデュースし、自社レーベルよりリリースした。1994年から1998年には(社)日本音楽スタジオ協会の会長を務めている。
沢口真生氏は「サラウンド音声番組制作とその技術開発・普及啓蒙」という功績に授賞された。沢口氏は1948年生まれ。1971年NHKに入局し、1987年音声チーフエンジニア。1999年音響デザイン部長。2003年制作技術センター長の要職を歴任。2005年パイオニア(株)技術開発本部顧問に就任。専門分野はドラマのサウンドデザイン。1985年以降はデジタル時代のサラウンド音声スタジオ設備設計とソフト開発に従事。1991年よりAESを中心としてサラウンド制作の技術発表やワークショップ等を担当。また1992年から96年にかけ、HD-TV MSSG研究会でハイビジョン時代のサラウンド制作に必要な音響設計ガイドラインを策定した。近年はInter BEE国際シンポジウムの企画運営、JPPA-AWARDミキシング部門審査員やAES技術委員会スタジオセクションの共同議長を務める。
西尾文孝氏の受賞理由は「ステレオ及びサラウンドの録再システム音質向上」。西尾氏は1961年生まれ。1986年九州大学総合理工学研究科エネルギー変換工学専攻修士卒。同年ソニー(株)入社。半導体事業本部を経て、1988年にプロオーディオ事業部へ異動。Sony Classicalレーベル向けの20bitレコーダー用ADコンバーター開発を担当した。1994年オーディオ開発本部への異動後、1bitΔΣ変調信号の直接記録・編集・再生技術(後の“Direct Stream Digital”)開発を開始。1996年にDSD編集処理LSIを開発し、プロトタイプのDSDレコーダーとDSD編集機の試作を行った。2000年以降は各社DSDレコーダーや編集機の商品化に関与しDSD方式の普及定着に努めた。
特別賞のエリオット・シャイナー氏は「サラウンド音楽制作および車載サラウンド機器開発」が表彰理由。1947年生まれ。ニューヨークのA&R RecordingでPhil Ramone氏のアシスタントとして出発。1973年にフリーのエンジニア/プロデューサーとして独立した。常に最先端技術に挑戦し、DVDオーディオ・DVDビデオ・デュアルディスクのためのサラウンドサウンド作品を制作、イーグルスの「ホテルカリフォルニア」、クイーンの「A Night at the Opera」等のサラウンド音楽作品を手がけた。車載機器部門ではホンダ/アキュラTLに搭載のELSサラウンドシステム等を開発し、車室空間におけるDVDオーディオとサラウンドサウンドの普及に貢献した。グラミー賞5回ほか多数の賞を受賞している。
顕彰式の冒頭、日本オーディオ協会会長の鹿井信雄氏が登壇し、「今年は愛知万博があり、NHKのスーパーハイビジョンでは22.2chが使われ、ソニー館でもサラウンド再生が話題になった。サラウンドの起源はステレオだが、これは1881年のパリ万博で、一般人が2台の電話機で同時に通話したことで発見されたと言われている。実際に商業用途で実用化されたのは、1940年の『ファンタジア』のことだ」とサラウンド音声の歴史を紹介した。今回の「音の匠」受賞者については「サラウンドが広がりつつある現状を受けて、サラウンドの発展に功績を残した方を表彰させて頂いた」と説明。また、今後のオーディオ業界について同氏は、「2011年の地上波テレビ放送の完全デジタル化を受けて、音の世界もさらに発展していくだろう。最近ではネットオーディオが隆盛だが、圧縮音声を極力いい音で楽しむのも重要だ」と述べ、「今後のオーディオ関係者の努力に期待したい」と述べ、挨拶を締めくくった。
(Phile-web編集部)