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公開日 2006/02/15 18:10
見えてきた“もう一つの地デジ” デジタルラジオの新サービスが明らかに
2006年秋に本放送を開始する予定の「デジタルラジオ」。音声放送が高品質になるだけでなく、文字データや静止画、動画なども配信が可能な新サービスで、首都圏と近畿圏を中心に、すでに2003年から試験放送がはじまっている。
デジタルラジオの放送波は8セグメントで構成され、これがさらに音声を中心にした放送の1セグメント放送5つと、高音質放送やデータ放送など「拡張放送」を行う3セグメント放送に分割される。
1セグメントあたりのビットレートは地上デジタルテレビの「ワンセグ」と同じ約333kbpsで、デジタルラジオの3セグメント放送では、ワンセグ放送を上回る情報量を扱えることになる。
この3セグメント放送の有効な利用法を探るべく、2005年6月に放送局や受信機メーカー、コンテンツ関係者が中心になって設立したのが「デジタルラジオ ニュービジネス フォーラム」。今年1月時点で86社が参加しており、サービスモデルの検討や意見交換、コンテンツ開発などを行ってきた。
本日、「デジタルラジオ ニュービジネス フォーラム」は都内で成果報告会を開催。デジタルラジオの本放送開始後のサービスモデルが明らかにされた。
冒頭、フォーラムを代表して(株)エフエム東京の藤勝之氏が活動の概要を説明。組織の構成や、現在、10のワーキンググループが活動していることを説明した。また同氏は、デジタルラジオのサービスイメージを紹介するビデオを上映。「データ放送で番組情報やパーソナリティーのプロフィールを見る」、「リスナー登録を行っておくと、嗜好に応じたコンテンツが放送される際に告知を行う」、「オンエア楽曲をその場でダウンロードする」、「録音した声を番組に届ける『ボイスメール』で番組に参加する」、「リスナーが番組に参加すると『ステーションポイント』を与え、一定のポイントで商品と交換する」など、現在検討を行っているデジタルラジオの新たなサービスが紹介された。
今後、デジタルラジオのセグメントの利用方法など様々な事項は、(株)エフエム東京 取締役会長の後藤亘氏が発起人会代表を務めるマルチプレックス ジャパン社が決定していく。放送免許も同社が認可を受け、チャンネル編成や放送の維持運行、インフラ整備などを行っていく。
後藤氏は、「イギリスやアメリカのデジタルラジオを視察したが、データ放送など技術的な側面では世界で日本が一番進んでいる。今後は、この技術を収益に活かす工夫や、迅速な端末開発、販売体制の強化などが課題になる」と述べ、「2008年までに500万台の受信端末普及を目指す」とした。
発表会場では、デジタルラジオ受信機や、フォーラムの各ワーキンググループ(以下WG)の成果が展示発表された。
受信機については、(株)ピクセラが単体受信機とPCカード型受信機を展示。単体受信機は、すでに同社が開発を発表(関連記事)しているもので、デジタルラジオのほか、地上デジタルテレビのワンセグ放送やFMラジオも受信が可能。今年5月に同社ウェブサイトで発売する予定で、価格は5万円程度の見込み。「店頭販売すると価格がさらに上がり、ニーズがあるかどうか疑問。このためダイレクト販売のみにする」(同社)という。ソフトウェアはすべて自社開発で、LSIなどについても、現在は他社製品を使用しているが、順次自社開発品に置き換えていくという。なお、5月の発売時点ではデジタルラジオには対応せず、受信機能は後日行うアップデートで付加する予定。
PCカード型受信機はデジタルラジオ受信機能のみ搭載する。8月に発売を予定し、価格は2万円前後になる見込み。対応OSはWindows XP。
「楽曲ダウンロードWG」では、ファイル形式にAACを、暗号化にAESなどを利用することなどを規格として提言。ただし、細かな技術仕様は、サービスを実施する放送事業者の独自規定・管理にゆだねている。ダウンロードは有償も視野に入れており、課金方式は、携帯電話の場合、キャリアの回収代行を利用し、それ以外の場合は個別に対応するとしている。
「車載向け音楽レコメンデーションサービスWG」は、その名の通り、クルマの走行状況に応じて様々な楽曲を推薦(レコメンド)するサービス「m-Chef」を発表。デジタルラジオを聴いているあいだ、楽曲データや推薦データを数千〜数万曲分HDDに蓄えておき、日時や季節、車速、天候などクルマの走行状況や環境情報に応じて、最適な楽曲を再生するもの。推薦者(シェフ)は複数用意され、同じ状況でもシェフによって異なる楽曲が再生される。また再生中の楽曲について好き嫌いを選択すると、ユーザーの嗜好を蓄積し、より精度の高い楽曲選定を行う仕組みも備える。
サービスは有料を想定しており、数百円程度の月額課金を検討している。決済方法については、ETCシステムなどで採用されているDSRC(車用狭域通信)の利用を検討している。サービス登録後、一定期間内にコンビニやガソリンスタンド等のDSRCスポットに行くと、自動的にDSRCを使ってクレジットカード決済が行われるといった方法を探っているという。
「プッシュWG」では、デジタルラジオ機能を起動していない待ち受け状態の時に、ユーザーに情報を“プッシュ”し、番組や関連情報、映像などにアクセスさせるサービスを提案。ユーザーの状況やプロフィールに応じて、軽量なウェイクアップデータを配信し、チューナーやブラウザを起動させる仕組み。たとえば放送番組と連動し、番組の前後に情報を提供したり、新曲の発売にあわせてミュージックビデオにアクセスさせる、などのサービスを検討している。
(Phile-web編集部)
デジタルラジオの放送波は8セグメントで構成され、これがさらに音声を中心にした放送の1セグメント放送5つと、高音質放送やデータ放送など「拡張放送」を行う3セグメント放送に分割される。
1セグメントあたりのビットレートは地上デジタルテレビの「ワンセグ」と同じ約333kbpsで、デジタルラジオの3セグメント放送では、ワンセグ放送を上回る情報量を扱えることになる。
この3セグメント放送の有効な利用法を探るべく、2005年6月に放送局や受信機メーカー、コンテンツ関係者が中心になって設立したのが「デジタルラジオ ニュービジネス フォーラム」。今年1月時点で86社が参加しており、サービスモデルの検討や意見交換、コンテンツ開発などを行ってきた。
本日、「デジタルラジオ ニュービジネス フォーラム」は都内で成果報告会を開催。デジタルラジオの本放送開始後のサービスモデルが明らかにされた。
冒頭、フォーラムを代表して(株)エフエム東京の藤勝之氏が活動の概要を説明。組織の構成や、現在、10のワーキンググループが活動していることを説明した。また同氏は、デジタルラジオのサービスイメージを紹介するビデオを上映。「データ放送で番組情報やパーソナリティーのプロフィールを見る」、「リスナー登録を行っておくと、嗜好に応じたコンテンツが放送される際に告知を行う」、「オンエア楽曲をその場でダウンロードする」、「録音した声を番組に届ける『ボイスメール』で番組に参加する」、「リスナーが番組に参加すると『ステーションポイント』を与え、一定のポイントで商品と交換する」など、現在検討を行っているデジタルラジオの新たなサービスが紹介された。
今後、デジタルラジオのセグメントの利用方法など様々な事項は、(株)エフエム東京 取締役会長の後藤亘氏が発起人会代表を務めるマルチプレックス ジャパン社が決定していく。放送免許も同社が認可を受け、チャンネル編成や放送の維持運行、インフラ整備などを行っていく。
後藤氏は、「イギリスやアメリカのデジタルラジオを視察したが、データ放送など技術的な側面では世界で日本が一番進んでいる。今後は、この技術を収益に活かす工夫や、迅速な端末開発、販売体制の強化などが課題になる」と述べ、「2008年までに500万台の受信端末普及を目指す」とした。
発表会場では、デジタルラジオ受信機や、フォーラムの各ワーキンググループ(以下WG)の成果が展示発表された。
受信機については、(株)ピクセラが単体受信機とPCカード型受信機を展示。単体受信機は、すでに同社が開発を発表(関連記事)しているもので、デジタルラジオのほか、地上デジタルテレビのワンセグ放送やFMラジオも受信が可能。今年5月に同社ウェブサイトで発売する予定で、価格は5万円程度の見込み。「店頭販売すると価格がさらに上がり、ニーズがあるかどうか疑問。このためダイレクト販売のみにする」(同社)という。ソフトウェアはすべて自社開発で、LSIなどについても、現在は他社製品を使用しているが、順次自社開発品に置き換えていくという。なお、5月の発売時点ではデジタルラジオには対応せず、受信機能は後日行うアップデートで付加する予定。
PCカード型受信機はデジタルラジオ受信機能のみ搭載する。8月に発売を予定し、価格は2万円前後になる見込み。対応OSはWindows XP。
「楽曲ダウンロードWG」では、ファイル形式にAACを、暗号化にAESなどを利用することなどを規格として提言。ただし、細かな技術仕様は、サービスを実施する放送事業者の独自規定・管理にゆだねている。ダウンロードは有償も視野に入れており、課金方式は、携帯電話の場合、キャリアの回収代行を利用し、それ以外の場合は個別に対応するとしている。
「車載向け音楽レコメンデーションサービスWG」は、その名の通り、クルマの走行状況に応じて様々な楽曲を推薦(レコメンド)するサービス「m-Chef」を発表。デジタルラジオを聴いているあいだ、楽曲データや推薦データを数千〜数万曲分HDDに蓄えておき、日時や季節、車速、天候などクルマの走行状況や環境情報に応じて、最適な楽曲を再生するもの。推薦者(シェフ)は複数用意され、同じ状況でもシェフによって異なる楽曲が再生される。また再生中の楽曲について好き嫌いを選択すると、ユーザーの嗜好を蓄積し、より精度の高い楽曲選定を行う仕組みも備える。
サービスは有料を想定しており、数百円程度の月額課金を検討している。決済方法については、ETCシステムなどで採用されているDSRC(車用狭域通信)の利用を検討している。サービス登録後、一定期間内にコンビニやガソリンスタンド等のDSRCスポットに行くと、自動的にDSRCを使ってクレジットカード決済が行われるといった方法を探っているという。
「プッシュWG」では、デジタルラジオ機能を起動していない待ち受け状態の時に、ユーザーに情報を“プッシュ”し、番組や関連情報、映像などにアクセスさせるサービスを提案。ユーザーの状況やプロフィールに応じて、軽量なウェイクアップデータを配信し、チューナーやブラウザを起動させる仕組み。たとえば放送番組と連動し、番組の前後に情報を提供したり、新曲の発売にあわせてミュージックビデオにアクセスさせる、などのサービスを検討している。
(Phile-web編集部)