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公開日 2006/04/28 21:05
松下、05年度決算を発表 − 4期連続の増収増益、営業利益率5%が視界に
松下電器は28日、2005年度連結決算概要ならびに、2006年度連結決算見通しについて発表を行った。
グルーバル
05年度の連結決算は、売上高8兆8943億円(前年比102%)、営業利益4143億円(同134%)、税引前利益3713億円(同150%)、当期純利益1544億円(同264%)となり、4期連続の増収増益を達成するとともに、2月に発表した予測数値を上回る結果となった。
冒頭あいさつに立った中村邦夫社長は「依然として、経営環境は厳しいものと認識せざるを得ないが、06年度はちょうど、三ヵ年計画の躍進計画の総仕上げの年度となる。お約束した営業利益率5%の実現へ向け、全社員一丸となって競争に打ち勝っていきたい」と決意を示した。
06年度の事業計画については「営業利益は4500億円、営業利益率は5%、純利益は1900億円と前年の約1.2倍の水準とした。当社はこれまで、事業構造改革を行ってきたが、海外を含め、ブラウン管事業など大規模なものは05年度で終えている。06年度以降は、成長へ軸足を置いた事業計画を加速していきたい」と、目標達成に自信をのぞかせた。
この後、川上徹也副社長が、詳細な内容について説明。05年度連結決算は「売上げも過去最高になったが、思い切った構造改革が功を奏し、営業利益、純利益とも、1990年度以来、15年振りの高い水準になった」と語り、パナソニック商品、ナショナル商品、ナショナル小物商品と、「3マーケット本部とも量販実需シェアトップを実現した」と語った。
06年度の連結決算については、売上高8兆9500億円、営業利益4500億円、税引前利益4000億円、当期純利益1900億円という見通しを立てた。売上げの商品別増減として「アナログからデジタルへの交代期にあり、CRTなどのアナログで1900億円減少するが、デジタルで2900億円増加し、差し引きで557億円の成長になる。ワールドカップの年で、電機業界にとっては大きな商機。大幅にデジタル商品を伸ばしていきたい」と意欲を見せた。
今後は、けん引役となるV商品に引き続き注力。「06年度は82品目、1兆8000億円のV商品を計画している。6割以上をワールドカップ開催前の前半に投入し、力強いスタートダッシュをしたい」と力強く語った。
セグメント別には、代表例としてプラズマテレビをあげ、「圧倒的に勝ち続けていくために大画面のHD化を加速し、グローバルシェア40%へ向けて取り組んでいく」とする一方、成長著しいデジタルカメラ事業で、「強みである手ブレ補正に加え、28mm広角レンズを搭載したFX01が現在市場で大変高い評価を獲得している。年内には念願のデジタル一眼レフにも参入し、800万台、グルーバルシェア10%実現に向けて取り組んでいく」と、事業の柱として位置付けた。
以下、質疑応答の模様をすべて紹介する。
Q 営業利益率が5%に手が届くまで回復している。その要因をどう考えるか。さらなる成長への中村改革の宿題をどう考えるか。
中村 01年度に多額の赤字を出したが、「このままでは松下は危ない」と、改革を即やる、しかもひとつではなく、経営の全側面にわたって構造改革を行わなければならないという意思結集ができたため、改革が進んだと考えている。06年度に営業利益率5%が望めるところまできたが、水準的には5%では物足らない。2010年度10%を目指して進めていこうという考えになると、事業構造改革だけでは成長は望めない。もう一度、製造業の原点に返り、新体制で進めていくものと思う。
Q 社長としての最後の決算の感想は
中村 改革はとてもひとりではできない。松下の全社員が一丸となって意思結集して進めてきた結果であると思う。
Q 電機業界は他業界、海外に比べると利益率が低いのでは
中村 当社は2010年、グローバルエクセレンスの仲間入りをしたい。それは、営業利益率10%、時価総額10兆円、配当をもっと上げていかなければならないなど、高いバーに挑戦していくことになる。従って、電機業界とか自動車業界とか、業界でものを見るべきではない。グローバルエクセレンスは、企業戦略と同時に、高い意欲と成果を継続的にあげている体質を持っている。そうした事業体にならなければならないと考えている。松下もその仲間入りをしていきたいと念願している。
Q 改革は一段落したというが、「窮地は脱したが、危機は続く」という考え方に変化はあるか
中村 「窮地は脱したが、危機は続く」という考え方には変わりはない。常に危機にあるという考え方でないと、電機業界では生き残ることはできない。今の電機業界はオセロゲーム競争時代と言われる。今日勝っていても、明日は負けるかもしれない。新しい技術がどんどん出てくる。危機感を原動力にして新事業を立ち上げていこう、あるいは、既存分野でもお客様の価値観にミートした製品をつくりあげていくことが大事だと思う。また、常に危機意識を持つと同時に、経営は皆様のものだから、常に正直でなくてはならない。透明性の高い「スーパー正直経営」を続けていかなければならない。
Q ユニバーサルデザイン(UD)に配慮した商品が売上げに貢献しているが、その重要性とブラックボックス技術についてどう考えているか
中村 V商品を02年度から発売しており、成長の原動力と位置付け発売してきた。05年度からは、その条件として、1.ブラックボックス技術を持つか、ブラックボックス技術で生産されたもの。2.省エネなど、環境に配慮していること。3.使い勝手のよさ、UDを体現していること。以上3点の条件を満たすものを、V商品として認定するということで進めてきた。大変好評をいただいているV商品が多い。お客様の価値観が非常に変わってきている。そこにミートしたときに、爆発的に売れることがわかってきた。もっともっとお客様のニーズ、価値観の変化を的確に捉えて商品化していくことが重要になってくる。それが競争の原点であり、製造業の原点である。V商品をより充実、強化していきたいと考えている。
Q IT革新プロジェクトをどのように評価しているか
中村 「IT革新なくして経営革新なし」と進めてきた。ITが経営改革の重要な、ただひとつの武器であると実感している。IT革新によるひとつの成果として、国内の生産性の急上昇に表れている。ITインフラの充実・強化は、経営革新に不可欠だと確心している。しかし、IT革新は、一旦やめるとそこで止まってしまう面がある。継続的なIT投資が必要であり、松下グループ全体として400〜500億円の投資が必要だと考えている。
Q 2010年で10%の営業利益目標はこれまでの努力の延長線上では難しいとの見解をもっているのか。だとすればどういうことが必要か
中村 次期社長が目標としてやってくれると思う。私からのコメントは控えたい。新社長が誕生したらどうぞご質問ください。
(Senka21編集部)
グルーバル
05年度の連結決算は、売上高8兆8943億円(前年比102%)、営業利益4143億円(同134%)、税引前利益3713億円(同150%)、当期純利益1544億円(同264%)となり、4期連続の増収増益を達成するとともに、2月に発表した予測数値を上回る結果となった。
冒頭あいさつに立った中村邦夫社長は「依然として、経営環境は厳しいものと認識せざるを得ないが、06年度はちょうど、三ヵ年計画の躍進計画の総仕上げの年度となる。お約束した営業利益率5%の実現へ向け、全社員一丸となって競争に打ち勝っていきたい」と決意を示した。
06年度の事業計画については「営業利益は4500億円、営業利益率は5%、純利益は1900億円と前年の約1.2倍の水準とした。当社はこれまで、事業構造改革を行ってきたが、海外を含め、ブラウン管事業など大規模なものは05年度で終えている。06年度以降は、成長へ軸足を置いた事業計画を加速していきたい」と、目標達成に自信をのぞかせた。
この後、川上徹也副社長が、詳細な内容について説明。05年度連結決算は「売上げも過去最高になったが、思い切った構造改革が功を奏し、営業利益、純利益とも、1990年度以来、15年振りの高い水準になった」と語り、パナソニック商品、ナショナル商品、ナショナル小物商品と、「3マーケット本部とも量販実需シェアトップを実現した」と語った。
06年度の連結決算については、売上高8兆9500億円、営業利益4500億円、税引前利益4000億円、当期純利益1900億円という見通しを立てた。売上げの商品別増減として「アナログからデジタルへの交代期にあり、CRTなどのアナログで1900億円減少するが、デジタルで2900億円増加し、差し引きで557億円の成長になる。ワールドカップの年で、電機業界にとっては大きな商機。大幅にデジタル商品を伸ばしていきたい」と意欲を見せた。
今後は、けん引役となるV商品に引き続き注力。「06年度は82品目、1兆8000億円のV商品を計画している。6割以上をワールドカップ開催前の前半に投入し、力強いスタートダッシュをしたい」と力強く語った。
セグメント別には、代表例としてプラズマテレビをあげ、「圧倒的に勝ち続けていくために大画面のHD化を加速し、グローバルシェア40%へ向けて取り組んでいく」とする一方、成長著しいデジタルカメラ事業で、「強みである手ブレ補正に加え、28mm広角レンズを搭載したFX01が現在市場で大変高い評価を獲得している。年内には念願のデジタル一眼レフにも参入し、800万台、グルーバルシェア10%実現に向けて取り組んでいく」と、事業の柱として位置付けた。
以下、質疑応答の模様をすべて紹介する。
Q 営業利益率が5%に手が届くまで回復している。その要因をどう考えるか。さらなる成長への中村改革の宿題をどう考えるか。
中村 01年度に多額の赤字を出したが、「このままでは松下は危ない」と、改革を即やる、しかもひとつではなく、経営の全側面にわたって構造改革を行わなければならないという意思結集ができたため、改革が進んだと考えている。06年度に営業利益率5%が望めるところまできたが、水準的には5%では物足らない。2010年度10%を目指して進めていこうという考えになると、事業構造改革だけでは成長は望めない。もう一度、製造業の原点に返り、新体制で進めていくものと思う。
Q 社長としての最後の決算の感想は
中村 改革はとてもひとりではできない。松下の全社員が一丸となって意思結集して進めてきた結果であると思う。
Q 電機業界は他業界、海外に比べると利益率が低いのでは
中村 当社は2010年、グローバルエクセレンスの仲間入りをしたい。それは、営業利益率10%、時価総額10兆円、配当をもっと上げていかなければならないなど、高いバーに挑戦していくことになる。従って、電機業界とか自動車業界とか、業界でものを見るべきではない。グローバルエクセレンスは、企業戦略と同時に、高い意欲と成果を継続的にあげている体質を持っている。そうした事業体にならなければならないと考えている。松下もその仲間入りをしていきたいと念願している。
Q 改革は一段落したというが、「窮地は脱したが、危機は続く」という考え方に変化はあるか
中村 「窮地は脱したが、危機は続く」という考え方には変わりはない。常に危機にあるという考え方でないと、電機業界では生き残ることはできない。今の電機業界はオセロゲーム競争時代と言われる。今日勝っていても、明日は負けるかもしれない。新しい技術がどんどん出てくる。危機感を原動力にして新事業を立ち上げていこう、あるいは、既存分野でもお客様の価値観にミートした製品をつくりあげていくことが大事だと思う。また、常に危機意識を持つと同時に、経営は皆様のものだから、常に正直でなくてはならない。透明性の高い「スーパー正直経営」を続けていかなければならない。
Q ユニバーサルデザイン(UD)に配慮した商品が売上げに貢献しているが、その重要性とブラックボックス技術についてどう考えているか
中村 V商品を02年度から発売しており、成長の原動力と位置付け発売してきた。05年度からは、その条件として、1.ブラックボックス技術を持つか、ブラックボックス技術で生産されたもの。2.省エネなど、環境に配慮していること。3.使い勝手のよさ、UDを体現していること。以上3点の条件を満たすものを、V商品として認定するということで進めてきた。大変好評をいただいているV商品が多い。お客様の価値観が非常に変わってきている。そこにミートしたときに、爆発的に売れることがわかってきた。もっともっとお客様のニーズ、価値観の変化を的確に捉えて商品化していくことが重要になってくる。それが競争の原点であり、製造業の原点である。V商品をより充実、強化していきたいと考えている。
Q IT革新プロジェクトをどのように評価しているか
中村 「IT革新なくして経営革新なし」と進めてきた。ITが経営改革の重要な、ただひとつの武器であると実感している。IT革新によるひとつの成果として、国内の生産性の急上昇に表れている。ITインフラの充実・強化は、経営革新に不可欠だと確心している。しかし、IT革新は、一旦やめるとそこで止まってしまう面がある。継続的なIT投資が必要であり、松下グループ全体として400〜500億円の投資が必要だと考えている。
Q 2010年で10%の営業利益目標はこれまでの努力の延長線上では難しいとの見解をもっているのか。だとすればどういうことが必要か
中村 次期社長が目標としてやってくれると思う。私からのコメントは控えたい。新社長が誕生したらどうぞご質問ください。
(Senka21編集部)