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公開日 2006/06/27 18:47
増田和夫が見た“Wooo”「W42P-HR9000」(3)本機のキモ、録画機能を試す
今回は、まず操作性をチェックしてみよう。本機の操作画面は、TV操作のほか、EPGや再生リストなど録画系のGUIを備えている点が特徴だ。これらGUIは基本的に前モデルと同じだが、EPGなどの表示速度が高速化され、番組予約がとても快適になった。同時に、操作性も向上している。録画予約を行うEPGでは、デジタルのサイマル放送チャンネルを別々に表示することも可能になった。また、録画中にEPG予約が可能になり、いつでも予約できるようになった。EPGで放送開始後の番組の録画が可能になったことも正統な進化といえるだろう。
細かい部分では、クイック録画タイマーで、時間設定のほか「番組終了まで」録る、も選べるようになった。クイックタイマーの録画停止も、リモコンの停止ボタンで行えるようになった。実際に使ってみると、こうした細かい改良が便利に感じられる。
録画機能はやはり便利
録画機能も本機の大きな特徴である。性能で定評のある日立GST社製HDDを内蔵し、ハイビジョン画質のHDD録画が可能だ。HDDは、前モデルの160GBから250GBに大容量化されている。録画操作は、EPGで予約録画し、サムネイル一覧から再生する、というレコーダーと同じ作法になる。このため、リモコンもレコーダーとほぼ同じボタンを備えている。レコーダーの操作に慣れた人なら、すぐに使いこなせるだろう。
2基のデジタルチューナーを備え、TV視聴中にHDDへの裏録画が可能だ。片方のチューナーは視聴専用という設定で、デジタル・ダブル録画には対応していないが、使ってみると、録画機能はとても重宝する。まず、HDD録画によるタイムシフト視聴が可能になり、TVの放送時間に縛られず視聴できるのが助かる。レコーダーの設置スペースが不要で、いちいち外付けのレコーダーを立ち上げて録画する手間と時間も必要ない。一般の録画はもちろん、ワンタッチで即録画できるので、ちょっとしたメモ録りにも活用できるだろう。
高圧縮録画でHDD容量を倍増
本機の録画機能は、さらに機能向上が図られている。カナダViXS社製のトランスレート技術「XCodeHD」を新たに搭載することで、長時間のハイビジョン録画を可能にしているのだ。本LSIを使うと、ストリーム記録のデータのまま、さらに圧縮率を上げて記録することが可能になる。従来のようにSD画質にダウンコンバートしてデータ削減するのではなく、本LSIでは、ハイビジョン画質のまま、解像度を落とさずに圧縮できる点が新しい。約半分のビットレートでハイビジョン録画が可能であるため、250GBHDDを実質500GB相当として使える、という大きなメリットが得られる。
高圧縮の仕組みは公開されていないが、横方向の解像度を3/4にして、データ放送部分を削ることでデータを削減しているようだ。さらにVBRの幅を広げて、動きの少ないシーンでレートを落としていると推測される。圧縮率を高めてはいるが、フォーマットはMPEG2ストリームデータなので、汎用性は確保されている。
実際に高圧縮映像を視聴してみると、確かにハイビジョンの繊細さは保たれている。高圧縮であるため、音楽ライブやアクション系の映画はやや苦手だが、動きの少ないトーク&バラエティ番組などの録画では十分に使えるだろう。
同社レコーダーとリンクも行える
録るだけでなく、DVD保存の手段も用意されている。i.LINK(TS)出力端子で、同社のDVDレコーダーDV-DH1000D/500Dと接続すれば、本機で録画したデジタル放送をレコーダーにムーブ可能なのだ。ムーブ操作もDVDレコーダーとほぼ同じ要領で簡単に行える。ムーブしたタイトルはDVDへのダウンコンバート保存が可能だ。「XCodeHD」で圧縮したタイトルもムーブでき、レコーダーでの再生や、DVD保存ができる(DVDへのムーブはダウンコンバート画質になる)。
本機を総じて見ると、他社と同じ価格帯でありながら、より高解像度で視聴でき、さらに録画もできてしまう、というコストパフォーマンスの高さが魅力だ。充実した機能を備え、日立のフラットTVへの攻めの姿勢が感じられる意欲作といえるだろう。ハイビジョンを多彩に楽しみたい人に勧められる見どころの多いプラズマTVである。
(増田和夫)
バックナンバー
第1回:高画質を支える数々の新技術
第2回:1080ALISパネルで画質はどう変わったか
増田和夫 プロフィール
パソコン&ネット歴十数年のベテランPC使い。PC雑誌やデジタル映像関係のメディアで活躍中。デジカメにも精通し、写真誌にスチル作品を発表するフォトグラファーでもある。 AV歴も長く、VTRは黎明期からβ・VHS共に熱中した大の録画機ファン。自宅ロフトでプロジェクターを楽しむ映画ファンでもある。DVDなどの記録媒体の記事にも強い。取材は現場主義で、ジャーナリスティックなインタビュー記事も得意としている。