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公開日 2006/09/13 15:23
米アップル、PCとテレビを無線で結ぶ「iTV」を2007年第1四半期に発売
米アップルは本日、新製品の発表会を開催した。既にお伝えしたとおり、iPod 3シリーズをフルモデルチェンジ(関連ニュース)したほか、新たなコンテンツ管理ソフト「ITunes 7」(関連ニュース)をリリースした。
発表会では、いつもの通り、同社CEOのスティーブ・ジョブズ氏がプレゼンテーションを行った。iPodやiTunesの新モデル、映画ダウンロードの開始などを紹介した後、最後に“One last thing”として紹介したのが、コードネーム“iTV”という新製品。2007年の第1四半期に発売予定で、価格は299ドルを予定する。日本での販売は未定。
ジョブズ氏は冒頭、「秘密主義で知られる我々が、これから発売する製品を公表することは極めて異例」と述べ、「ユーザーやアナリストに、我々の戦略を知ってもらいたいと考えた」と発表に至った経緯を説明した。
コードネーム“iTV”は、PCから無線LANで送られてきたコンテンツを受信し、テレビやオーディオシステムに出力する製品。WindowsとMacの両方に対応している。現在、iTunesでダウンロードした動画はPCかiPodで再生することしかできないが、iTVが登場することで、手持ちのテレビやプロジェクターなどで表示することが可能になる。
本体はMac miniを薄くしたような形状で、本体に電源と802.11ワイヤレスLANを内蔵。「802.11」とだけ表示しているのがポイントで、理論値の通信速度が54Mbps程度の「802.11a/g」を採用するのか、理論値で144Mbpsの通信が可能な次世代規格「802.11n」を採用するのかは明らかにされていない。
背面には出力端子を備える。USB2.0、イーサネット、HDMI端子、RCAコンポーネント、アナログ2ch音声、光デジタル音声の各端子を1系統ずつ装備。特にHDMI端子を装備したのが注目点で、映像と音声をケーブル1本でデジタル伝送することが可能になる。
発表会では、ジョブズ氏によるデモも行われた。GUIは非常にシンプルで、iMacやMac miniに搭載される操作環境「Front Row」に似た雰囲気。Front Rowと同様、操作はシンプルなリモコン一つで行える。メニュー画面では、映画/テレビ/音楽/ポッドキャスト/写真の各項目が並び、選択するとそれぞれのコンテンツリストが表示される。たとえば映画を選ぶと、アートワークが左側に表示される。その際、違う映画にカーソルを合わせると、「iTunes 7」の新機能“Cover Flow”のようにアートワークが滑らかに切り替わる。音楽やテレビなども、同様にアルバムジャケットや番組のサムネイル画像が表示される。
また、インターネットに接続し、apple.comを介して、最新映画のトレーラーをストリーミング再生することもできる。
ジョブズ氏は、「これで戦略の全体像が完成した」と自画自賛。「この製品で、我々がどんな世界に行こうとしているか理解してもらえただろう。アップル製品は、書斎、リビングルーム、クルマ、ポケットの中で展開される」と、同社製品の広がりをアピールした。
■国内での映画ダウンロード開始がカギに
アップルは従来から、iTunesの楽曲を無線伝送し、オーディオシステムに出力できる「AirTunes」という技術を実用化しており、無線LAN機器「AirMac Express」に搭載している。この技術を進化させ、動画に対応させたのが今回の「iTV」と言えるだろう。
HDMIやRCAコンポーネントなど映像出力端子も充実しており、価格も手頃。何より、iTunesでダウンロードした動画をテレビで楽しむには本機を使うしかないので、TV番組や映画のダウンロードが可能な米国内では受け入れられそうだ。米国内での課題は、現在はディズニー系列だけの映画の供給元を、着実に増やしていくことだろう。
国内での発売は今のところアナウンスされていない。国内での映画配信、テレビ番組配信が開始されるまでは、iTVの機能をフル活用することができないからだろう。ただしiTVでは、ビデオカメラで撮影した映像も再生できるようだから、もし国内で早期に発売されたら、iMovieなどで編集したコンテンツを再生する用途に活用することができそうだ。
ともあれ、ジョブズ氏の言う「戦略の完成」を国内でも実現するためには、何はなくとも映画配信を日本でスタートさせる必要がある。ジョブズ氏は、映画配信について「2007年中には他国でも展開したいという希望を持っている」と述べており、国内での早期開始を期待したい。
(Phile-web編集部)
発表会では、いつもの通り、同社CEOのスティーブ・ジョブズ氏がプレゼンテーションを行った。iPodやiTunesの新モデル、映画ダウンロードの開始などを紹介した後、最後に“One last thing”として紹介したのが、コードネーム“iTV”という新製品。2007年の第1四半期に発売予定で、価格は299ドルを予定する。日本での販売は未定。
ジョブズ氏は冒頭、「秘密主義で知られる我々が、これから発売する製品を公表することは極めて異例」と述べ、「ユーザーやアナリストに、我々の戦略を知ってもらいたいと考えた」と発表に至った経緯を説明した。
コードネーム“iTV”は、PCから無線LANで送られてきたコンテンツを受信し、テレビやオーディオシステムに出力する製品。WindowsとMacの両方に対応している。現在、iTunesでダウンロードした動画はPCかiPodで再生することしかできないが、iTVが登場することで、手持ちのテレビやプロジェクターなどで表示することが可能になる。
本体はMac miniを薄くしたような形状で、本体に電源と802.11ワイヤレスLANを内蔵。「802.11」とだけ表示しているのがポイントで、理論値の通信速度が54Mbps程度の「802.11a/g」を採用するのか、理論値で144Mbpsの通信が可能な次世代規格「802.11n」を採用するのかは明らかにされていない。
背面には出力端子を備える。USB2.0、イーサネット、HDMI端子、RCAコンポーネント、アナログ2ch音声、光デジタル音声の各端子を1系統ずつ装備。特にHDMI端子を装備したのが注目点で、映像と音声をケーブル1本でデジタル伝送することが可能になる。
発表会では、ジョブズ氏によるデモも行われた。GUIは非常にシンプルで、iMacやMac miniに搭載される操作環境「Front Row」に似た雰囲気。Front Rowと同様、操作はシンプルなリモコン一つで行える。メニュー画面では、映画/テレビ/音楽/ポッドキャスト/写真の各項目が並び、選択するとそれぞれのコンテンツリストが表示される。たとえば映画を選ぶと、アートワークが左側に表示される。その際、違う映画にカーソルを合わせると、「iTunes 7」の新機能“Cover Flow”のようにアートワークが滑らかに切り替わる。音楽やテレビなども、同様にアルバムジャケットや番組のサムネイル画像が表示される。
また、インターネットに接続し、apple.comを介して、最新映画のトレーラーをストリーミング再生することもできる。
ジョブズ氏は、「これで戦略の全体像が完成した」と自画自賛。「この製品で、我々がどんな世界に行こうとしているか理解してもらえただろう。アップル製品は、書斎、リビングルーム、クルマ、ポケットの中で展開される」と、同社製品の広がりをアピールした。
■国内での映画ダウンロード開始がカギに
アップルは従来から、iTunesの楽曲を無線伝送し、オーディオシステムに出力できる「AirTunes」という技術を実用化しており、無線LAN機器「AirMac Express」に搭載している。この技術を進化させ、動画に対応させたのが今回の「iTV」と言えるだろう。
HDMIやRCAコンポーネントなど映像出力端子も充実しており、価格も手頃。何より、iTunesでダウンロードした動画をテレビで楽しむには本機を使うしかないので、TV番組や映画のダウンロードが可能な米国内では受け入れられそうだ。米国内での課題は、現在はディズニー系列だけの映画の供給元を、着実に増やしていくことだろう。
国内での発売は今のところアナウンスされていない。国内での映画配信、テレビ番組配信が開始されるまでは、iTVの機能をフル活用することができないからだろう。ただしiTVでは、ビデオカメラで撮影した映像も再生できるようだから、もし国内で早期に発売されたら、iMovieなどで編集したコンテンツを再生する用途に活用することができそうだ。
ともあれ、ジョブズ氏の言う「戦略の完成」を国内でも実現するためには、何はなくとも映画配信を日本でスタートさせる必要がある。ジョブズ氏は、映画配信について「2007年中には他国でも展開したいという希望を持っている」と述べており、国内での早期開始を期待したい。
(Phile-web編集部)