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公開日 2006/12/19 18:54
iVDRいよいよ発進 − 日立がiVDR対応薄型テレビを来夏発売
iVDRコンソーシアムは本日、「iVDR is now taking off」と題したセミナーを開催した。日立製作所が来夏にiVDR対応薄型テレビを発売することを表明するなど、「take off=離陸」とのタイトル通り、iVDRがいよいよ実用化に向けて動き出した印象だ。
iVDRは、iVDRコンソーシアムが推進するリムーバブル型のHDDドライブ。コンソーシアムにはキヤノンや富士通、日立製作所、パイオニア、三洋電機、シャープ、日本ビクターなど現在53社が加盟している。これまで数年間に渡り規格策定作業を行い、CEATECなどでもたびたび試作機を展示してきた。
iVDRカートリッジのサイズは、現在2.5インチのiVDRと、1.8インチのiVDR Mini、1インチのiVDR Microの3規格がある。このうち、一番小さいMicro以外は仕様が確定している。
昨年4月に設立された「SAFIA」ライセンスグループがiVDR用コンテンツ保護技術を開発し、このコンテンツ保護技術を搭載したiVDRを、「iVDR-Secure」として規格化。社団法人電波産業会(ARIB)から、デジタルテレビ放送の記録メディアとして正式に認可された。これにより、実際の製品発売が行えることになった(関連ニュース)。
本日行われたセミナーには、コンソーシアム代表の日置敏昭氏のほか、日立製作所 ユビキタスプラットフォームグループ 担当本部長の吉野正則氏、日立マクセル マーケティング部長の松岡建志氏、アイ・オー・データ機器 社長の細野昭雄氏、トヨタ自動車 情報システム室長の藤原靖久氏など、iVDRを推進するメーカー各社の担当者が出席。各社の事業計画を発表した。
その中で日立製作所の吉野正則本部長は、来夏にiVDR対応の薄型テレビを発売すると表明。会場には試作機も展示し、実際に挿入したiVDR内のコンテンツを再生したりするデモも行われた。また、2007年のCESで、よりくわしい情報を公開するという。
吉野氏は、HDDを搭載した同社の薄型テレビ“Wooo”シリーズについて触れ、「弊社がWoooにHDD搭載モデルを用意したのは2003年が最初で、当初は弊社役員もこれほどHDD対応モデルが受け入れられるとは考えていなかった」と説明。今年からは「録画もできないプラズマなんて」というキャッチフレーズでHDD搭載モデルの拡販に努め、その結果2006年度上期は、同社のプラズマテレビのうち70%をHDD搭載モデルが占めたという。
同社では、24型以上のブラウン管ユーザー(20代から60代)106名を対象に、iVDRの受容性調査を実施。その結果、基本機能のうち高くなっても欲しいと答えた項目では、「HDD内蔵」と「iVDR対応」がともに68%を占め、「フルHD」の50%を大幅に上回る結果が出たという。また、iVDRの魅力点については、「増設が可能な点」が76%を占めたという。
さらに、1TBの内蔵HDD固定と、250GBの内蔵HDD固定と80GBのiVDRメディア2個の組み合わせでは、250GB+iVDRを欲しいと答えた回答者が76.4%を占めたとのことで、「Woooでも、これから500GB、1TBと内蔵HDDを増やしていくよりは、iVDRに対応した方がユーザーニーズを満たせると考えた」という。
吉野氏は、iVDR対応テレビの魅力について、「増設できる」「ワンタッチで内蔵/iVDRのどちらにも録画できる」「取り替えできる」「高速ムーブができきる」「ユーザーごとにライブラリー管理ができる」という5点を強調した。
試作機は、右側面にiVDRスロットを搭載。コンテンツのリスト表示画面を見ることができたほか、内蔵HDD←→iVDRのダビング/ムーブも行え、開発が順調に進んでいることをうかがわせた。製品の価格については、「iVDRスロットを付けることがコストアップ要因になる」とのことで、現行製品より若干高くなる見通しだ。また、試作機の脇には、「パパ」「ママ」などと書かれた複数のiVDRメディアが置かれ、家族でライブラリー管理が行える便利さをアピールしていた。
また、会場内には、サンヨーが試作したiVDR対応ナビや、iVDRスロットを備えた車内用モニターなども展示されていた。
iVDRメディアについては、日立マクセルの松岡氏が説明した。iVDRの特性について松岡氏は、記憶容量や転送スピード、コスト、著作権保護技術などで光ディスクやフラッシュメモリーなどより優れていると説明。耐衝撃性についても、「現在は75cmの高さからラワン材に落としても耐えることができる。将来的には、1〜2mの高さから落としても耐えられるよう、研究開発を続けている」とした。
マクセルでは、当初はiVDR-Secureタイプを発売する計画だ。また、将来的には、業務向けのノンリニア編集用にiVDRを活用し、「iVDR PRO」規格を起ち上げる計画も表明した。
メディアの販売については、国内では全国の家電量販店、ドラッグストア、ホームセンター、ディスカウントショップなど、同社販売チャネルをフル活用する。また、海外についても、世界各国の同社子会社を通じ、北米、欧州、アジアで強固な販売体制を構築する計画だ。松岡氏は「メディアの供給体制に不安を感じているメーカーさんもいらっしゃるかも知れないが、マクセルとして総力を挙げて供給を行う。DVDメディアのように、どこでも購入する体制を作っていく」と述べた。
PCでのiVDRの展開については、アイ・オー・データ機器の細野社長がプレゼンテーションを行った。同社では2004年4月から、世界初となるiVDRメディアとUSB接続のPC用アダプターを販売し、これまで累計6,000台以上を販売してきたという。同社は、PCとAV機器のブリッジメディアとしてiVDRを活用する考えで、3.5インチの組込型iVDRをiVDR対応テレビに接続し、2.5インチメディアに比べより大きな容量を実現することを計画。また、PCからiVDR内にOSやデータをまるごと保存し、別室のiVDRプレーヤーで環境やデータごと切り替えて再生する、などのソリューションも提案した。
トヨタ自動車の藤原氏は、クルマの中でのiVDRの展開について説明。同氏は、「将来、クルマは動くリビングルームとしての価値がますますクローズアップされる。個々人のプライベートルームとしての役割が大きくなる」と予想し、「オンデマンドの番組配信サービスなどにも注目が集まると考えられるが、Wi-MAXなどが普及しても、通信が途切れることが考えられ、車内VODには適当でない。それならHDDにあらかじめ入れた方が良い」とiVDRを評価した。
藤原氏はまた、車内でのiVDRを使ったサービスとして、「iVDRに映画コンテンツを記録してレンタルしたり、動画でのドライブガイドを提供するなどが考えられる。また、ナビ案内の音声をカスタマイズしたり、家電と連携して映像や音声を再生することも有望」とし。さらに、HDDナビの地図書き換えなどにもiVDRが活用できるとし、「iVDRはユビキタスメディアの本命」と、強い意気込みを示した。ただし藤原氏は、トヨタ車へのiVDR採用については「家庭用で普及しないと決断できない」とコメントし、慎重な姿勢を崩さなかった。
(Phile-web編集部)
iVDRは、iVDRコンソーシアムが推進するリムーバブル型のHDDドライブ。コンソーシアムにはキヤノンや富士通、日立製作所、パイオニア、三洋電機、シャープ、日本ビクターなど現在53社が加盟している。これまで数年間に渡り規格策定作業を行い、CEATECなどでもたびたび試作機を展示してきた。
iVDRカートリッジのサイズは、現在2.5インチのiVDRと、1.8インチのiVDR Mini、1インチのiVDR Microの3規格がある。このうち、一番小さいMicro以外は仕様が確定している。
昨年4月に設立された「SAFIA」ライセンスグループがiVDR用コンテンツ保護技術を開発し、このコンテンツ保護技術を搭載したiVDRを、「iVDR-Secure」として規格化。社団法人電波産業会(ARIB)から、デジタルテレビ放送の記録メディアとして正式に認可された。これにより、実際の製品発売が行えることになった(関連ニュース)。
本日行われたセミナーには、コンソーシアム代表の日置敏昭氏のほか、日立製作所 ユビキタスプラットフォームグループ 担当本部長の吉野正則氏、日立マクセル マーケティング部長の松岡建志氏、アイ・オー・データ機器 社長の細野昭雄氏、トヨタ自動車 情報システム室長の藤原靖久氏など、iVDRを推進するメーカー各社の担当者が出席。各社の事業計画を発表した。
その中で日立製作所の吉野正則本部長は、来夏にiVDR対応の薄型テレビを発売すると表明。会場には試作機も展示し、実際に挿入したiVDR内のコンテンツを再生したりするデモも行われた。また、2007年のCESで、よりくわしい情報を公開するという。
吉野氏は、HDDを搭載した同社の薄型テレビ“Wooo”シリーズについて触れ、「弊社がWoooにHDD搭載モデルを用意したのは2003年が最初で、当初は弊社役員もこれほどHDD対応モデルが受け入れられるとは考えていなかった」と説明。今年からは「録画もできないプラズマなんて」というキャッチフレーズでHDD搭載モデルの拡販に努め、その結果2006年度上期は、同社のプラズマテレビのうち70%をHDD搭載モデルが占めたという。
同社では、24型以上のブラウン管ユーザー(20代から60代)106名を対象に、iVDRの受容性調査を実施。その結果、基本機能のうち高くなっても欲しいと答えた項目では、「HDD内蔵」と「iVDR対応」がともに68%を占め、「フルHD」の50%を大幅に上回る結果が出たという。また、iVDRの魅力点については、「増設が可能な点」が76%を占めたという。
さらに、1TBの内蔵HDD固定と、250GBの内蔵HDD固定と80GBのiVDRメディア2個の組み合わせでは、250GB+iVDRを欲しいと答えた回答者が76.4%を占めたとのことで、「Woooでも、これから500GB、1TBと内蔵HDDを増やしていくよりは、iVDRに対応した方がユーザーニーズを満たせると考えた」という。
吉野氏は、iVDR対応テレビの魅力について、「増設できる」「ワンタッチで内蔵/iVDRのどちらにも録画できる」「取り替えできる」「高速ムーブができきる」「ユーザーごとにライブラリー管理ができる」という5点を強調した。
試作機は、右側面にiVDRスロットを搭載。コンテンツのリスト表示画面を見ることができたほか、内蔵HDD←→iVDRのダビング/ムーブも行え、開発が順調に進んでいることをうかがわせた。製品の価格については、「iVDRスロットを付けることがコストアップ要因になる」とのことで、現行製品より若干高くなる見通しだ。また、試作機の脇には、「パパ」「ママ」などと書かれた複数のiVDRメディアが置かれ、家族でライブラリー管理が行える便利さをアピールしていた。
また、会場内には、サンヨーが試作したiVDR対応ナビや、iVDRスロットを備えた車内用モニターなども展示されていた。
iVDRメディアについては、日立マクセルの松岡氏が説明した。iVDRの特性について松岡氏は、記憶容量や転送スピード、コスト、著作権保護技術などで光ディスクやフラッシュメモリーなどより優れていると説明。耐衝撃性についても、「現在は75cmの高さからラワン材に落としても耐えることができる。将来的には、1〜2mの高さから落としても耐えられるよう、研究開発を続けている」とした。
マクセルでは、当初はiVDR-Secureタイプを発売する計画だ。また、将来的には、業務向けのノンリニア編集用にiVDRを活用し、「iVDR PRO」規格を起ち上げる計画も表明した。
メディアの販売については、国内では全国の家電量販店、ドラッグストア、ホームセンター、ディスカウントショップなど、同社販売チャネルをフル活用する。また、海外についても、世界各国の同社子会社を通じ、北米、欧州、アジアで強固な販売体制を構築する計画だ。松岡氏は「メディアの供給体制に不安を感じているメーカーさんもいらっしゃるかも知れないが、マクセルとして総力を挙げて供給を行う。DVDメディアのように、どこでも購入する体制を作っていく」と述べた。
PCでのiVDRの展開については、アイ・オー・データ機器の細野社長がプレゼンテーションを行った。同社では2004年4月から、世界初となるiVDRメディアとUSB接続のPC用アダプターを販売し、これまで累計6,000台以上を販売してきたという。同社は、PCとAV機器のブリッジメディアとしてiVDRを活用する考えで、3.5インチの組込型iVDRをiVDR対応テレビに接続し、2.5インチメディアに比べより大きな容量を実現することを計画。また、PCからiVDR内にOSやデータをまるごと保存し、別室のiVDRプレーヤーで環境やデータごと切り替えて再生する、などのソリューションも提案した。
トヨタ自動車の藤原氏は、クルマの中でのiVDRの展開について説明。同氏は、「将来、クルマは動くリビングルームとしての価値がますますクローズアップされる。個々人のプライベートルームとしての役割が大きくなる」と予想し、「オンデマンドの番組配信サービスなどにも注目が集まると考えられるが、Wi-MAXなどが普及しても、通信が途切れることが考えられ、車内VODには適当でない。それならHDDにあらかじめ入れた方が良い」とiVDRを評価した。
藤原氏はまた、車内でのiVDRを使ったサービスとして、「iVDRに映画コンテンツを記録してレンタルしたり、動画でのドライブガイドを提供するなどが考えられる。また、ナビ案内の音声をカスタマイズしたり、家電と連携して映像や音声を再生することも有望」とし。さらに、HDDナビの地図書き換えなどにもiVDRが活用できるとし、「iVDRはユビキタスメディアの本命」と、強い意気込みを示した。ただし藤原氏は、トヨタ車へのiVDR採用については「家庭用で普及しないと決断できない」とコメントし、慎重な姿勢を崩さなかった。
(Phile-web編集部)