HOME > ニュース > AV&ホームシアターニュース
公開日 2007/02/09 10:47
ExHD? AQUOモーション? − 商標から予想するAVメーカーの新製品
ふだん何気なく目にしている、“Wooo”や“DIGA”、“BRAVIA”といった製品の愛称。これらは、そのほとんどが商標として登録されている。
各社が出願した商標は、特許庁のホームページにデータベースとして公開されていて、誰でも閲覧することができる。商標からの検索はもちろん、出願した会社、出願日、書換日など様々な条件を組み合わせて検索することもできる、かなり高機能なものだ。
出願された商標の中には、まだ公式には発表されていない名称もあり、そこから内容を想像することができる。AVメーカーが出願した商標を調べて、各社の新サービスや新製品を予想してみよう。
あらかじめお断りしておくが、登録された商標が実際に使われるとは限らない。メーカーによっては、とりあえず使いそうな名前を抑えておく、というふうに気軽に出願するところもある。こういったメーカーの商標は、そのほとんどが使われずに終わってしまうことになるわけだ。
●ソニーが次世代HD規格を準備中?
最初にソニーが出願した商標を見てみよう。試しに出願人に「ソニー株式会社」と入力して検索すると、4605件もヒットする。これではとても全て調べきれない。そこで、出願日を2006年1月1日以降に限定すると、86件に絞り込まれた。これなら調べやすい。というわけで、今回は2006年以降に出願された商標を対象に見ていくことにする。
86件に絞り込まれた商標には、既に発表済みのBRAVIA ENGINE、AVCHD、DSD、音匠、x.v.Colorなどの名前が並んでいる。出願商標の製品化率はかなり高そうで、期待が持てる。
まず、「TRIVIO」という名前が目にとまった。読み方としては「トリビオ,トライビオ,トリバイオ,トライバイオ」が挙げられている。トリニトロンと「トリ」部分がカブっているのが気になるし、“VAIO”や“BRAVIA”とも何となく似ているような気がする。商標の範囲は「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」となっており、映像に関係した名前と見てよさそうだ。
ほかに「IPELA VC Link」というものも見つかった。「イペラブイシイリンク」と読むらしい。これは怪しい、と思ったが、ググってみたらビデオ会議の簡単接続サービスとしてすでに発表されているものだった。残念。
そうこうしているうちに、これは本命では、と思われるものが見つかった。「ExHD」だ。“EX”は「外へ」を表す接頭辞だから、HDを超えた性能を持つ規格、あるいはサービスではないかと想像できる。2Kや4Kといった、ハイビジョン解像度を超える規格はすでにデジタルシネマなどで使われているが、これらをExHDという名称で呼ぼうとしているのではないか、いや全く新しい規格かも、などと想像が膨らむ。
ほかには「FINE FIDELITY」というものも発見した。ご存じのように「High Fidelity」は略して「HiFi」と表記され、一般的に使われているが、FINE FIDELITYは聞いたことがない。ExHDと同じように、高いクオリティを示すものだろうが、何に使われるのかは見当がつかない。
●松下電器はディーガに新機能を搭載か
次に松下電器産業の出願商標を調べてみた。AV機器だけでなく白物家電も展開する同社だけに、出願している商標も「逃がさんパック」「ふとんノズル 清潔」「DDのこランナー」など、それらしいものが多い。ほかには「最強コミック」や「脳problem」など、同社の事業内容と容易に結びつかないものもあった。ちなみに「脳problem」は、同社の携帯電話に搭載されている脳トレゲームだった。
AV機器からは微妙に離れるが、「INFINIUM(インフィニウム)」という名前が電池分野で出願されていたのが目を引いた。オキシライドのような、電池の新しいブランドとして展開するのだろうか。ただ、同社が手がける電池は乾電池だけでない。ハイブリッドカーや燃料電池車用の電池、また太陽電池などの線も考えられる。
新サービスや新技術らしきものも2つほど発見できた。一つは「サウンドアップ」で、名称から音質を向上させる技術ではないか、と期待させられる。もう一つは「新番組オートチェック」で、これはレコーダーに関連した機能だろう。文字通り、EPGから新番組だけを抽出して表示する機能ではないか。同種の機能はパイオニアのレコーダーで既に実現しているが、DIGAシリーズにも近々搭載されるのだろうか。
続いて日立製作所をチェック。ここは、正直に言って収穫が少なかった。秒撮、エコ・ポン・パッ、いいとこ観、らくリモといった、既におなじみの商標が掲載されているが、まだ発表前の機能やサービスと思われるものは発見できなかった。発表と同時に出願するなど、情報流出へのガードを固めているのかもしれない。
シャープも見てみた。ここではAQUOS関連の商標が多数目につく。「インターネットAQUOS」や「AQUOS ファミリンク」などももちろん出願されている。見慣れないのは、「AQUOS CRYSTAL」「AQUOモーション」「AQUOSコンソール」といったあたり。特にAQUOモーションは、動きに関連したものと考えられるだけに、液晶パネルの倍速駆動技術の名称に使われる可能性もある。
●ナゾの新製品「ヘッドドームプロジェクター」
東芝は、gigabeatシリーズの特別モデル「gb GORGEOUS」「gb NANA」などを一つ一つ出願している。ダイナブックに採用されている「おたすけナビ」や、東芝の新コーポレートキャッチである「Leading Innovation」などもきっちり登録されている。
興味をそそられたのが「ヘッドドームプロジェクター」。字義通り解釈すれば、上部がドーム型になっているプロジェクターとなるのだろうが、だとしたらプラネタリウムのようなものだろうか。それとも、頭に装着するドーム型のプロジェクターなのだろうか。個人的には後者を期待したいところだが、どちらにしても面白そうだ。
また、「フルブラック」という商標も発見。黒がよく沈むテレビやプロジェクターに使うのでは、と想像できる。SEDに使おうとしていたのでは、などと妄想を膨らませるのも楽しい。さらに、「HD2」という名称もキナ臭い。HDが2乗になっているのだから何だか凄そうだ。HD DVDに関係があるのだろうか。
●ビクターに続いてパイオニアもクラフトスピーカーを準備中?
最後はパイオニア。ここで気になった商標は「CraftSpeaker」だ。先日、日本ビクターがウッドコーンスピーカーの自作キットを発売(関連ニュース)して話題になったが、パイオニアもクラフトスピーカーのキットを準備している可能性がある。ピュアモルトスピーカーは販売が非常に好調だそうだが、このキットが販売されたら確実に人気を集めるだろう。
このほか日本ビクターなど数社の出願状況も見てみたが、あまり面白そうなものは見あたらなかった。番外編としてプレイステーションを販売しているソニー・コンピュータエンタテインメントも調べてみたら、「ピーエスフォー」「ピーエスファイブ」を発見。また、任天堂はWiiに関連して、アルファベットの「Aii」「Bii」からはじまり、「Zii」までをすべて商標として抑えている。ゲーム分野は、アジアなどで海賊版の被害を受けていると聞く。類似品、コピー品対策なのだろうが、ご苦労様と声をかけたくなる。
今回の調査は以上となる。名称だけでは情報が少なすぎ、今回予想した内容が当たっているとは限らないが(というよりほとんど外れているだろうが)、妄想を膨らませるのは意外に楽しかった。また、いくつかの商標はかなり具体的なサービスや機能を示唆していたように思う。機会を改めて、再び調査結果をお届けしたい。
(Phile-web編集部・風間)
各社が出願した商標は、特許庁のホームページにデータベースとして公開されていて、誰でも閲覧することができる。商標からの検索はもちろん、出願した会社、出願日、書換日など様々な条件を組み合わせて検索することもできる、かなり高機能なものだ。
出願された商標の中には、まだ公式には発表されていない名称もあり、そこから内容を想像することができる。AVメーカーが出願した商標を調べて、各社の新サービスや新製品を予想してみよう。
あらかじめお断りしておくが、登録された商標が実際に使われるとは限らない。メーカーによっては、とりあえず使いそうな名前を抑えておく、というふうに気軽に出願するところもある。こういったメーカーの商標は、そのほとんどが使われずに終わってしまうことになるわけだ。
●ソニーが次世代HD規格を準備中?
最初にソニーが出願した商標を見てみよう。試しに出願人に「ソニー株式会社」と入力して検索すると、4605件もヒットする。これではとても全て調べきれない。そこで、出願日を2006年1月1日以降に限定すると、86件に絞り込まれた。これなら調べやすい。というわけで、今回は2006年以降に出願された商標を対象に見ていくことにする。
86件に絞り込まれた商標には、既に発表済みのBRAVIA ENGINE、AVCHD、DSD、音匠、x.v.Colorなどの名前が並んでいる。出願商標の製品化率はかなり高そうで、期待が持てる。
まず、「TRIVIO」という名前が目にとまった。読み方としては「トリビオ,トライビオ,トリバイオ,トライバイオ」が挙げられている。トリニトロンと「トリ」部分がカブっているのが気になるし、“VAIO”や“BRAVIA”とも何となく似ているような気がする。商標の範囲は「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」となっており、映像に関係した名前と見てよさそうだ。
ほかに「IPELA VC Link」というものも見つかった。「イペラブイシイリンク」と読むらしい。これは怪しい、と思ったが、ググってみたらビデオ会議の簡単接続サービスとしてすでに発表されているものだった。残念。
そうこうしているうちに、これは本命では、と思われるものが見つかった。「ExHD」だ。“EX”は「外へ」を表す接頭辞だから、HDを超えた性能を持つ規格、あるいはサービスではないかと想像できる。2Kや4Kといった、ハイビジョン解像度を超える規格はすでにデジタルシネマなどで使われているが、これらをExHDという名称で呼ぼうとしているのではないか、いや全く新しい規格かも、などと想像が膨らむ。
ほかには「FINE FIDELITY」というものも発見した。ご存じのように「High Fidelity」は略して「HiFi」と表記され、一般的に使われているが、FINE FIDELITYは聞いたことがない。ExHDと同じように、高いクオリティを示すものだろうが、何に使われるのかは見当がつかない。
●松下電器はディーガに新機能を搭載か
次に松下電器産業の出願商標を調べてみた。AV機器だけでなく白物家電も展開する同社だけに、出願している商標も「逃がさんパック」「ふとんノズル 清潔」「DDのこランナー」など、それらしいものが多い。ほかには「最強コミック」や「脳problem」など、同社の事業内容と容易に結びつかないものもあった。ちなみに「脳problem」は、同社の携帯電話に搭載されている脳トレゲームだった。
新サービスや新技術らしきものも2つほど発見できた。一つは「サウンドアップ」で、名称から音質を向上させる技術ではないか、と期待させられる。もう一つは「新番組オートチェック」で、これはレコーダーに関連した機能だろう。文字通り、EPGから新番組だけを抽出して表示する機能ではないか。同種の機能はパイオニアのレコーダーで既に実現しているが、DIGAシリーズにも近々搭載されるのだろうか。
続いて日立製作所をチェック。ここは、正直に言って収穫が少なかった。秒撮、エコ・ポン・パッ、いいとこ観、らくリモといった、既におなじみの商標が掲載されているが、まだ発表前の機能やサービスと思われるものは発見できなかった。発表と同時に出願するなど、情報流出へのガードを固めているのかもしれない。
●ナゾの新製品「ヘッドドームプロジェクター」
興味をそそられたのが「ヘッドドームプロジェクター」。字義通り解釈すれば、上部がドーム型になっているプロジェクターとなるのだろうが、だとしたらプラネタリウムのようなものだろうか。それとも、頭に装着するドーム型のプロジェクターなのだろうか。個人的には後者を期待したいところだが、どちらにしても面白そうだ。
また、「フルブラック」という商標も発見。黒がよく沈むテレビやプロジェクターに使うのでは、と想像できる。SEDに使おうとしていたのでは、などと妄想を膨らませるのも楽しい。さらに、「HD2」という名称もキナ臭い。HDが2乗になっているのだから何だか凄そうだ。HD DVDに関係があるのだろうか。
●ビクターに続いてパイオニアもクラフトスピーカーを準備中?
最後はパイオニア。ここで気になった商標は「CraftSpeaker」だ。先日、日本ビクターがウッドコーンスピーカーの自作キットを発売(関連ニュース)して話題になったが、パイオニアもクラフトスピーカーのキットを準備している可能性がある。ピュアモルトスピーカーは販売が非常に好調だそうだが、このキットが販売されたら確実に人気を集めるだろう。
このほか日本ビクターなど数社の出願状況も見てみたが、あまり面白そうなものは見あたらなかった。番外編としてプレイステーションを販売しているソニー・コンピュータエンタテインメントも調べてみたら、「ピーエスフォー」「ピーエスファイブ」を発見。また、任天堂はWiiに関連して、アルファベットの「Aii」「Bii」からはじまり、「Zii」までをすべて商標として抑えている。ゲーム分野は、アジアなどで海賊版の被害を受けていると聞く。類似品、コピー品対策なのだろうが、ご苦労様と声をかけたくなる。
今回の調査は以上となる。名称だけでは情報が少なすぎ、今回予想した内容が当たっているとは限らないが(というよりほとんど外れているだろうが)、妄想を膨らませるのは意外に楽しかった。また、いくつかの商標はかなり具体的なサービスや機能を示唆していたように思う。機会を改めて、再び調査結果をお届けしたい。
(Phile-web編集部・風間)